安倍政権の誕生
2006年9月27日(水曜日)
安倍政権が誕生した。
安倍晋三総理大臣の選出については、まず自民党の中で、安倍晋三氏、谷垣禎一氏、麻生太郎氏の3人の候補による総裁選が行われ、投票の結果は、安倍氏464票、麻生氏136票、谷垣氏102票という結果で、安倍氏の圧倒的な得票数で当選した。26日の臨時国会にて、第90代総理大臣となった安倍氏は、52歳になったばかりであり、戦後最年少の総理大臣である。安倍氏は、この若さと魅力的で誠実な人柄ということで、国民的にも人気が高い。早くから、個性的な小泉純一郎総理大臣の後継者と認知されてきて、この度、予想通りに総理大臣に就任され、安倍政権が発足したわけである。
安倍晋三氏は、安倍晋太郎氏の次男である。安倍晋太郎氏は、1982年鈴木首相の退陣によって行われた自民党総裁予備選挙に出馬し3位となり、中曽根康弘内閣では外務大臣として入閣し、国民的な人気では最も最有力の総裁候補と目されていた。安倍晋太郎氏は、中曽根総裁後の後継総裁候補として竹下登氏、宮沢喜一とともに出馬するが、話し合いの決着がつかず、中曽根裁定で竹下氏が総理に推薦されたために苦渋を飲まされ、その後不運にもがんで亡くなったという経緯がある。安倍晋三氏は、父親の安倍晋太郎の悲願を、52歳の若さで実現したという意味で、名門政治家家系のサラブレッドである。
安倍氏の国民的人気は高いが、今回の総裁選出過程は、いまひとつ盛り上がりに欠けた。それは、小泉前総理の強い支持もあり、安倍首相誕生が、小泉首相の事実上の規定路線になっていたからでもあろう。
そのためか、総裁選の論戦でも、安倍氏の構想は、大きな課題が掲げられている割には中身の具体性は、乏しい憾みがあった。首相になる前に、細かいことで自らに制約を課したくないという思いもあったのかもしれない。実際に総理大臣となった今、国民の関心は、安倍氏が具体的にどのような政策を推進していこうとしているかに注がれている。安倍政権は、憲法改正、教育改革といった根本問題に取り組もうとしており、また官邸の機能を米国のホワイト・ハウスなみに強めたいという工夫も進めている。
そうした目玉戦略が注目されているが、実は、非常に大きな構造改革の課題が山積しており、安倍政権がそれらの問題にどれほど深く本格的に取り組んでいくのかに注目したい。
一つは、社会保障改革である。年金、医療、介護などの課題は、人口減少下の新しい環境で、根本的な再編が求められているが、もともと社会保障分野に造詣の深い安倍総理が、この問題にどれほどの前進をもたらすかが興味深い。また、地方分権と地方の活力の再生も大きな課題である。さらに、人口高齢化の下で、家計貯蓄率が構造的に低下しているが、日本の良好な投資環境を維持するには、海外から良質なエクイティ・キャピタルを潤沢に招き入れる必要がある。さらに、人々の経済格差問題に対し「再チャレンジの出来る社会」をつくるというのが、安倍氏の選挙戦中のアピールだったが、この根本的解決は、実は、生産性の向上と構造改革にあるはずであり、そのための構造改革をどうすすめるのか関心のもたれるところである。
安倍政権の中身は、これまではキャッチフレーズだったが、これから次第に具体的な政策の中身が見えてくるはずであり、その展開を注目したい。
