7月6日に富士通総研でサービス・イノベーションのワークショップが行われた。このワークショップは、これまで当研究所のサービス・イノベーション研究チームが、3ヶ月ほど研究を進めてきた成果を、外部の専門家の方々の前で発表し、コメントや批判をいただいて、さらに次の発展に繋げようという趣旨である。亀岡秋男先生(北陸先端科学技術大学院大)をはじめ、研究部門、企業、富士通関係者、外部の専門家等、合計約50人をお招きした。我々は、このような形式のワークショップを数カ月おきに適宜開催して、外部の方々の批判や提案を吸収しながら研究を進め、研究の質を高めていこうと考えている。
今回のワークショップでは、5つの研究発表を行った。一つ目は、安部忠彦研究主幹による発表であり、研究全体の枠組みとエビデンス・ベースド・サービスについての仮説提示であった。2つ目は、長島直樹上席主任研究員による「娯楽サービスの科学」であり、ディズニー・リゾートの事例をもとに、シニア層の娯楽分野への関心とコンテンツ創出についての研究であった。3つ目は、浜屋敏主任研究員による「共同イノベーション・プラットフォームとしてのCGM」であり、CGMがイノベーション発生・発展のプラットフォームとなりえることについての提示であった。4つ目は、木村達也主任研究員による「物流・商流におけるイノベーション」であり、ケーススタディに基づいて、サービス・プロダクトはICT等設備のシステム化によって、サービス・デリバリーは組織のシステム化によってイノベーションが促進されるという分析をケーススタディから示した。5つ目は、峰滝和典主任研究員・吉田倫子上級研究員による共同研究「情報技術革新の進展が生み出すサービス・イノベーション」であり、ブログやSNSが、社員間のコミュニケーションを活発化させ、異なるドメインの知識の融合によるイノベーションについて発表を行った。
これらの研究発表を通じ、参加者の皆様から大変有益なコメントをいただいたので、その要点を摘記してみたい。
コメントには大きく分けて3つのまとまった意見があったように思う。
というコメントがあったが、違いを意識することを通じて真の共通概念は何かを探る糸口になるとも考えられる。また、
といった、意見があり、サービス研究を支える広く深く基本的な知識体系の構築の必要性が異口同音に強調されたように思う。
このようなコメントがあったが、CGMでは、情報の受け手側での定型化されていないやや粘着性のある情報の遣り取りが注目される。
情報の受け手側でのより粘着性の高い情報の吸収については、教育・医療サービスやコンサルティングサービスなどがより深い例を提供できるように思う。
このコメントについては、確かにサービス・イノベーション研究が追求する基礎的概念や知識体系の構築は、そのままで日々のビジネスや営業に役立つわけではない。むしろ、日々の営業やビジネスに携わる人々が、そうした基礎研究で追求しようとしている重要な概念や理論体系があることを認識する重要さにおいて、激動の時代に生きる企業人の進化力や適応力という意味で価値があるのではないかと思う。