中川自民党政調会長の講演
2006年6月20日(火曜日)
自民党の政務調査会長中川先生の講演を聞いた。講演は、私が主催する企業経営者の勉強会で、富士通総研の研究者も交えて行われた。全国から集まったオーナー型の経営者やベンチャー企業経営者で、元気があり、探究心の強い人々の集まりであり、非公開の会議だったので、中川先生は、大変フランクにご自分のお考えを展開された。
講演の中で、私どもにとって大いに参考になるメッセージがいくつかあったのでここでご紹介させていただきたいと思う。
中川先生は、歳出歳入一体改革を党主導でしっかりすすめてもらいたいとの要望を小泉総理から強く受けており、役所に頼らず、副大臣や政務官などの方々を政調会長として総動員し、案を固めているところである。
一体改革では、歳出を出来るだけ合理化し、圧縮することが最大の課題であるが、日本の政府は政府職員数や歳出規模などで見れば、諸外国と比べそれほど大きくは無い。ただ、政府が国の経済活動の4割にも及ぶ範囲で多くの規制や認可権を持っているため、結果として効率的な市場規模が損なわれており、社会主義経済的な性質が強いので、このあたりの仕組みを抜本的に改革しなければならない。
また、官尊民否の気風が依然として残っているが、官の支配だけでなく民の側にもそれを助長する面がある。具体的には、民の中に、「こんなことは官にやらせればいい」、「自分たちのやることではない」、という態度が根強くはびこっていることが問題であり、国民全体の意識改革が必要だ。政府と市場の二分法で社会を考えるのではなく、税の負担を言う前に、民が社会に対して何が出来るかということを積極的に考える社会を作るべきである。
改革をさらに推進しようという観点から展開された先生のお話の中で、特に印象的だったのは、現在進行中のIT革命の意義を、どう認識するかという点である。中川先生によれば、IT革命は、まさに19世紀に世界を変えた産業革命にも匹敵する意味を持っている。
19世紀後半のアジア諸国の中でその産業革命の波に乗って近代化を実現した唯一の国は日本だった。超大国であった中国もインドも東南アジア諸国も、産業革命を自らの進化に活用することが出来ず、100年の遅れを招いた。翻って今の日本が、この世界史的なIT革命をどのように受け止めようとしているかについては、はなはだ問題が多いといわざるを得ない。むしろ、韓国やインド、中国の方が、IT革命の波をとらえて新しい国づくりを進めている。
日本が明治維新の時のように、この世界史的な技術革命を、自らの進化の為に本格的に活用できるかどうかによって、これからの世界における日本の位置づけが決まる。新成長戦略を掲げ、構造改革を推進しようという中川先生の発想が、以上のような歴史観に貫かれていることに注目したい。
