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サービス・イノベーション研究の進展について

2006年5月19日(金曜日)

これまでこの欄(理事長メッセージ・コーナー)において、当社経済研究所で進めているサービス・イノベーション研究の進捗報告をしてきたが、今回もまた現時点での考え方をご紹介したいと思う。

来る7月6日に、FRIで少数の専門家によるワークショップを開催する予定であることは前回のメッセージで述べた。ワークショップに参加するメンバーは、当社経済研究所からは、安部主席研究員、長島上席主任研究員、浜屋主任研究員、木村主任研究員、峰滝主任研究員・吉田上級研究員が参加をして報告をし、外部からサービス・イノベーション、サービス・マネジメントの有識者をお招きしてプレゼンテーションをしていただく予定にしている。

現段階でのプログラム概要は以下の通りである。

島田理事長挨拶及びワークショップ開催の意図説明
安部忠彦主席研究員  報告
長島直樹上席主任研究員  報告
浜屋敏主任研究員  報告
木村達也主任研究員  報告
峰滝和典主任研究員・吉田倫子上級研究員  報告
外部有識者講演「日本のサービス研究の現状(仮)」


我々は、サービス活動について、サービス・イノベーションとは、本質的には主体と主体の情報交換による付加価値の創出と考えているが、情報の種類、ユーザのタイプ(企業、一般、顧客)、情報交換の仕方を標準化する方向か、高度化する方向か、等によって、それはいくつかのタイプに分けることができる。最も単純な伝達は、主体AからBへの情報伝達であり、Bがその情報を受け取ることによって一定の価値を享受することができればそれは、意味のあるサービスである。

現実のサービスのあり方は、情報伝達に関わる主体の数や情報の伝達の仕方が、双方向であったり累積的な効果を生むかたちであったり、それらが時間や空間を越えて、どのように共有されるのか。そのやり方やしくみによって創造される付加価値も違ってくる。

例えば、近年急速に発達しているeコマースでは、サービスの受け手である顧客が、サービスの提供者に情報をフィードバックし、その結果、サービスの質が改善され、付加価値が高まるという螺旋型の相乗効果を生かす手法が開発されている。

例えば、Amazon.comの顧客情報のフィードバックシステムや、あるいは価格.comのような顧客情報の活用など、いわゆるCGM(Consumer Generated Media)といわれるものがある。また、近年ブログが急速に広まっているが、ブログのような自由な情報の発信を活用しながら、それを一定の約束の下で、信頼できるメンバーにだけ情報のやり取りを共有させるSNS(Social Networking Services)といわれるCGMも開発されてきている。これは、言うならば、お互いに信頼できるクラブのメンバー組織をWEB上で構築するような仕掛であるが、様々な商品のマーケティング等多方面で広く活用される可能性があり、多くの分野に適用性のある方法論と期待される。日本では最近mixiがこのシステムを利用し、広告料収入で利益をだすところまで到達している。

また、大企業における内部での技術開発のあり方についても、多くの研究者や開発者が社内のウェブ上に新しい考え方を情報として自由に発表し、ウェブ空間での取捨選択や選別や評価などを通じて頭角を現したすぐれたアイデアを提案した研究者に資金が配分されるという方法論も、世界的には既にいくつかの主要企業で採用され始めている。これは、言い換えれば、企業組織の中で、多数の参加者が情報を提供し評価しあうことで、企業内に技術開発の競争市場を導入するという試みということもできる。

このように、情報伝達や遣り取り、あるいは共有のあり方が、どのような時間的経過と空間的広がりの中で展開されるのかによって、様々な付加価値の創出のされ方に違いがあり、その中で、より大きな付加価値をより早く実現するための情報交換のあり方こそが、サービス・イノベーションの重要な内容になると考えられる。

7月6日のワークショップでは、サービス・イノベーションの様々なあり方について参加者間の活発な討議が行われ、そのワークショップで新たな付加価値が創出されることが期待される。


この研究会は、原則的に非公開ですが、興味のある方は、事務局(担当:前松[fri-webmaster@ml.jp.fujitsu.com])にご連絡いただければ、限られた範囲で歓迎したいと思っております。有益な議論を共有していただける方々の参加は大いに歓迎いたします。