富士通総研

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. 島田前理事長メッセージ >
  4. 2006年4月 >
  5. 地域活性化と富士通の役割

地域活性化と富士通の役割

2006年4月7日(金曜日)

富士通は、従業員150,970名(2005年3月31日現在の連結ベース)を誇る巨大IT企業であり、日本全国に多くの拠点を持ち、サービス・ネットワークを展開している。その各地で、民間企業のみならず、自治体など様々な公的機関に対しても顧客としてサービスを提供させていただいている。

そうした全国各地の方々から、ITサービス企業としての富士通に、地域の問題解決への提案やサービスが求められることが多い。富士通は、地域における現場の諸問題に対して、ITに関わるコンサルティングサービスも提供しているため、なおさらそうした期待が少なくない。ここでは、そうした期待に、富士通がどのように応えることが出来るのか、その可能性を考えてみたい。

全国各地の事業者や自治体、あるいは公的機関が直面している問題に、一つの大きな共通の底流がある。それは、長期的な人口減少の影響である。日本の人口は昨年ピークを打ち減少に転じたが、人口問題研究所の推計に寄れば、2050年までに中位推計で1億人、下位推計で9200万人になると予測されている。また、2000年から2050年までの期間で人口が微増するのは、東京、神奈川、滋賀、沖縄県などであり、大部分の地域は人口が大幅に減少してゆく。特に、地方ではその傾向が著しい。そのことが経済活動の停滞もしくは衰退、そして、資金をもとに運営する様々な社会制度の機能不全をもたらすことが懸念されている。

そのようなメガトレンドがもたらす様々な問題に対応するには、各地域で様々な取り組みがありうるだろうが、巨視的に見て、それに対応する一つの大きな可能性がある。それは、東京をはじめ、首都圏や大都市圏に集中し、高齢化しつつある人口の分布を地方に分散する形で変えてゆくことである。それは、日本列島における経済活動の地域的な格差を縮小することに役立つだけではなく、大都市圏の汚染や喧騒やストレスから多くの人々を解放し、澄んだ空気や水、新鮮な食材、ゆとりとやすらぎなどの条件を備えた地方に移り住む人々に「生活の質の向上」をもたらすという意味でメリットは大きい。

これまでは、そうした可能性がわかっていても、地方には仕事の機会が少ないので人々は移動できなかった。しかし、高齢化社会では大都市圏を中心に定年退職者が続出する。この人々は、地方に就業機会が無くても移住できる経済的条件を備えた人々である。その意味で、定年退職者が多数発生する21世紀初頭は、日本の経済社会構造の大転換と新しい反映の基盤作りにとって、絶好のタイミングなのである。

問題は、そうした人口移動もしくは人口再配分の可能性をどのように具体的に実現するかである。人々の移動は強制することは出来ず、それはあくまで個人個人の合理的な選択に拠る以外ない。従って、望ましい可能性を実現するために、求められることは、地方の生活条件がいかに健康に良いか、また、コストが安いか、といった情報を多くの人々に潤沢に、かつ、きめ細かく提供することである。また、地方の生活インフラや生活サービスを地域の実情に合わせて充実させることである。

このような情報の提供や生活インフラの整備について、富士通の情報とコンサルティング力が貢献する余地はきわめて大きいはずである。

大局観に基づいて、新しい生活立国を支えるインフラの整備や、情報提供について、知恵・知識ときめ細かなサービスを提供することが高齢化し成熟化し人口が減少する日本の全国各地の不安とニーズに富士通が答える基本であると思っている。