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金融政策における量的緩和策の解除をめぐる論争

2005年11月22日(火曜日)

日本銀行が、金融政策の量的緩和政策の解除について、次第に明確な方向性を打ち出している。日本銀行の立場は、CPIがプラスになることが確実に展望されたな時に、量的緩和政策を解除しようというものである。その背景には、いくつかの理由があると思われる。

第一に、経済実態の認識として、企業の利潤が増大し政府の税収増大が見込まれることから、量的緩和を解除して金利を高めても、経済が十分耐えられる。第二は、金融政策における金利によるコントロールの機能を取り戻すことである。第三は、金融政策の金利機能を復活させることで企業経営ならびに財政運営の規律を高めること、第四に、そのことによって経済の構造改革が促進されると日銀は考えているようだ。

これに対して、政府当局側からは最近になって、量的緩和の早期解除に対し批判的な見解が強まっており、中でも自民党の中川秀直政調会長に象徴されるような発言が相次いでいる。その立場は、デフレ脱却の判断指標は、CPIではなくGDPのデフレータで見るべきだというものである。つまり、CPIがプラスになったとしても依然として企業物価ではマイナス傾向が当分見込まれており、そこで金利を引上げれば、企業収益を圧迫し、景気の回復に水を差すという懸念もある。量的緩和政策のもとで成長がさらに続けば、やがて税収増が確実になり国債の発行高も抑制できるという読みである。

もう一つ別なポイントは、膨大に増大した国債発行残高の下で、金利が上がれば政府の国債管理が難しくなり、債務の削減計画に支障をきたしかねないということである。また、景気回復基調は依然としてそれほど強くはなく、来年度は回復の鈍化を予想する向きもあり、金利の引き上げがデフレを招きかねないという恐れがある。そうした懸念の下で、政府当局者の間に、日銀の量的緩和解除の構えを強く牽制する発言が出てきている。

ここで、注意しなくてはならないのは、中央銀行の金融政策の独立性と政府の経済政策とのバランスである。金融政策について、日銀の独立性を担保するために、1997年6月11日の参議院本会議において、政府提案の日本銀行法改正案が可決・成立(橋本総理・三塚大蔵大臣(当時))しており、これによって日銀の金融政策における「独立性」と「透明性」が制度的により強く担保されることになった。こうした条件の下で日銀が金融政策を専権的に管理することによって、例えば、市場にサプライズを与え、金融政策の効果をさらに強めることも可能になる。

今回の量的緩和政策の解除については、日銀は丁寧に時間をかけてシグナルを市場に送り続けることによって、サプライズではなく、市場に新政策の受け入れの素地を醸成しようとしている。

政府当局者は、上記のような懸念から、日銀の政策変更が時期尚早にならないように警告を発しており、その懸念の背景の1つは、2000年に日銀がゼロ金利政策を解除し、それが予期せぬ結果を生んだために解除を訂正したという経緯についての不信感も残っているように思われる。

いずれにせよ、日銀の金融政策における独立性は基本原則として尊重されるべきであり、政府は、政策推進のために日銀の独立性を尊重しつつ十分な話し合いを行うべきである。また、日銀は、日銀の判断を政府に対しても十分に説明する必要があり、互いにその立場を尊重しつつ十分な情報共有をし、いたずらな摩擦や不信感の発生を極力避け、日本経済の安定的成長のために協力してもらいたいと思う。