富士通総研

紀宮様のご成婚

2005年11月17日(木曜日)

11月15日、紀宮さまの結婚式と披露宴が行われた。お相手は東京都庁職員の黒田慶樹さんである。紀宮さまはご結婚後、皇族ではなく一般国民として黒田清子さんとなった。

紀宮さまは、天皇皇后両陛下の第三子であり、ただ一人の女子として、天皇皇后両陛下の格別の寵愛を受けて育たれた。しかしなかなか縁に恵まれず30代半ばまで独身で過ごされた。

この紀宮さまの結婚式並びに披露宴は、いくつかの点で特別に象徴的な意義があったといえる。一つは、それが天皇家の子女の結婚であるにもかかわらず、日本の平均的な市民の結婚披露宴と同程度(comparable)の、すこぶる質素で堅実な形で行われたことである。会場も帝国ホテルという一般人の利用するホテルであり、招かれた客も150人程度、総費用は600万、仲人も立てず、ごく親しい方々や関係の近い方だけでこじんまりと行われたことである。

第二に、天皇皇后両陛下が披露宴に出席され、慈しんだ子供を送り出す宴に終始ご同席され歓談されたことである。天皇皇后両陛下が他家に嫁ぐ子供の結婚披露宴に参加されたことは、2000年余の天皇家の歴史上初めてのことである。特に新郎新婦は、一般の結婚式で行われているように高い段に座るということがなく、両親である天皇皇后両陛下と同じテーブルを囲み懇談され、ほのぼのとした披露宴を演出された。これは一般市民の結婚披露宴以上に親密で、親子の絆を深く感じさせるものだった。

第三に、天皇皇后両陛下が、他家に嫁がせる娘に対して格別の親愛の情を示したことである。天皇陛下は、「今後は、公的な仕事を共にすることはなくなるが、家族の絆は変わらないので、折々にいらっしゃい」と言われたとされ、皇后陛下は、嫁ぐ娘を抱きしめて「大丈夫よ」と何度も言われたとされる。天皇皇后両陛下のお立場を考えると、これ以上の愛情表現は無いだろう。

以上ようなエピソードを通じて、我々国民が受ける印象は、天皇家の大切な祝事であるにも関わらず、ささやかで質実で、形式にとらわれず、親が子を慈しみ、子が親を敬う深い愛情を、もっとも率直な形で体現された心温まる御結婚であったということである。

今日の日本は、様々な意味で家庭が崩壊し、親子の関係が薄れ、愛情を真に確かめ合うことが忘れかけられている社会的風潮が強い。そうした中で、紀宮さまのご結婚を通じて天皇家が示された姿は、家族の愛を、飾らずに深く尊ぶというほのぼのとした人のあるべき生き方の原点そのものではなかったかと思う。

黒田慶樹さん・清子さんご夫妻が、末永く幸せな家庭を営まれることを祈りたいと思う。