石油価格高騰の意味
2005年10月12日(水曜日)
石油価格が高騰している。11日のニューヨーク商業取引所の原油先物相場は、63ドル台で取引を終えている。石油価格の変動は、歴史的に見ると非常に大きな変動をこれまでにも繰り返してきた。第一次オイルショック時(1973年、第四次中東戦争)には石油価格は3ドル / バレルから12ドルに上昇し、第二次オイルショック時(1978年、イラン・イラク戦争)では34ドル / バレル、第三次オイルショック時(1990年、湾岸戦争)には、37ドル / バレルに高騰した。
今回の石油価格の上昇は、かつての5~10年前の上昇とは意味が異なるように思う。かつての石油危機に象徴される高騰は、原油産出国の生産能力の制約、つまり供給側の制約が主たる原因で生じた。例えば、戦争などである。しかし、今回の石油上昇は、米国のハリケーンにより障害を受けた影響もないわけではないが、それは比較的マイナーな原因であり、大きな原因は需要側にある。中国に代表される新興国の石油需要が急増していることが、世界の原油価格の上昇に大きく影響している。
人口13億を超える中国が、年率8から9%で成長しており、それを支える石油需要が膨大なものになっている。中国は1993年に原油の純輸入国となり、いまや大量の原油輸入国である。それでも足りず、中国の石油会社が米メジャーを買収しようというアグレッシブな戦略をとっていることも世界の人目をひきつけている。そうしたここ数年の需要側の大きな変化によって、石油価格が上昇を続けていると考えられる。そうであるとすれば、このような状況は供給側の一時的な要因としてではなく傾向として続くことが考えられ、高止まりすることが考えられる。世界中が影響を受けることになるだろう。
日本は、何度かの石油危機を経験する中で産業界がエネルギー効率を高める努力をしてきた。日本の産業はエネルギー効率が高いので、今回の上昇もある程度吸収する能力はある。にもかかわらず、今回は60ドルを超える上昇が続いており、エネルギー効率が高くても、産業としてのコスト上昇要因として根強い圧力になっている。
日本の産業界は今、これに対して真剣な努力を始めつつある。それは、エネルギー使用のさらなる効率、代替エネルギーの開発などである。これまでは、大きな可能性を持った代替エネルギー、省エネルギー技術が産業界では意識されていたが、コスト的に釣り合わないことから、抜本的な技術開発が行われなかった分野が少なくない。そうした分野に対して、日本の産業界が注目して、組織的な努力を始めようとしている。
原油価格の高騰は、世界経済に大きな影響を及ぼしつつあるが、産業界の技術開発の努力がその圧力をどこまで緩和できるか注目していきたい。
