ライブドア事件の予期せぬ波紋
2005年4月4日(月曜日)
今、日本のメディアを最もにぎわせている話題の一つが、新進ITサービス・ライブドアによるニッポン放送買収ならびにフジテレビへの参画攻勢である。ライブドア社が資本市場のルールの盲点をつく作戦を次々と繰り出したこともあって、日本中が企業買収や株の操作についてにわか物知りになったような状況がある。この問題は人々にいくつかの教訓を投げかけたと同時に日本への対日投資促進という重要な国家戦略にも影響を与えた節があるので、この場を借りてコメントしておきたい。
この事件は多くの人々に、1.企業経営における株式市場戦略の重要性、2.株式市場など資本市場の法制度の不備、3.放送業界など規制で保護された産業に超過利潤がたまっていること、などを改めて自覚させることとなった。そしてさらに重要な問題について予期せぬ波紋を投げかけることになった。それは、日本への対日投資促進という国家戦略に一時的にブレーキがかかったことである。
先進成熟国となった日本は、経済活性化のために、外国からの投資による新鮮な刺激をますます必要としており、政府は2003年1月の小泉総理大臣の所信表明演説における対日投資倍増宣言を受けて、対日直接投資のために門戸開放の制度改革を進めてきていた。その中でもっとも重要な役割を果たすと期待されていたのが、外国企業の親会社の株式を合併の対価に活用するという三角合併の法制である。政府はこれまで5年間ほどかけて商法の抜本的な見直しをすすめてきており、その一環として三角合併制度が加えられることになっていた。
ところが、ライブドア事件を契機に、そうした商法改正が企業乗っ取りの危険を高めるものとの懸念が高まり、一部の経営者や政治家の危機感を煽り立てる結果になった。一部の有力な経営者達は、対日投資を促進する側にあった経団連の方針を鈍化させ、一部の声高な政治家達は合併を容易にする商法改正を見直すよう圧力をかけた。その結果、予定された商法の改正は三角合併に関する部分だけ一年凍結されることになった。
日本企業は、グローバル化する経済競争の中で世界各地で合併などを活用しながら、たくましく企業活動を拡大している。日本企業がグローバルにさらに発展するためには、当然日本国内も同様に開放すべきである。商法改正は、そのための制度基盤を整備する意義があったが、これがライブドア事件で遅延することは日本経済の国際的な発展に著しい阻害要因になるといわざるをえない。これから1年間の猶予期間の間に、直接投資の交流の重要性について関係者がもっと理解を深め、資本市場のより適切な仕組みを整備し、健全で強固な投資市場の開放を進めることを強く期待するものである。
