富士通クオリティ・ラボ

  1. ホーム >
  2. 製品 & サービス >
  3. RoHS規制対応 >
  4. RoHS分析あれこれ >
  5. 分析結果からの不適合の原因推定

第三回 : 分析結果からの不適合の原因推定(プリント板の例)

前回は、「分析の目的は是正すべき不適合を発見することである」というお話をしました。なるほどネ、とか、そういう考えもあるネ、と思われた方もいらっしゃると思いますが、コンセプトとか方針といったものは、それだけでは実感を伴わず意味が理解されにくいものです。話は飛びますが、現在策定中のIEC(国際電気標準会議)のサンプリングガイドライン(規制化学物質の分析に先立つ機器や部品の分解と分析箇所の特定に関するもの)においても、コンセプトだけでは理解されにくいので具体例をたくさんAnnexに添付する方向で進められています。

そこで、今回は、分析結果から何が分かるか?発見された不適合についてどのように対処すべきか?ということについて、プリント板ユニットについての鉛はんだ分析の例を紹介してご説明します。

図は、プリント板ユニットを細い(φ100μm)X線ビームで走査することにより得られる蛍光X線の元素マッピング技術の活用例で、「プリント板ユニットのRoHS規制関連分析」のページで紹介しているものです。

右側の図で、緑色は鉛(Pb)が検出された場所、赤色は錫(Sn)が検出された場所です。鉛と錫が両方検出された場所は錫鉛はんだが存在している場所ということになります(下の図)。下の図で、①左側のピン接合部、②右上に表面実装された部品のリード部、③右下の配線上のはんだ部、の3箇所から鉛含有部分が見つかっています。

 外観
プリント板ユニットの外観
 鉛(緑色)と錫(赤色)の分布
錫(赤)と鉛(緑)の分布
 鉛と錫の共存部
錫と鉛の共存部(はんだ)

この分析結果と現物を照合させると次のようなことが分かります。

① 左側のピン接合部 : 挿入実装部品(表側に搭載されています)のピンに錫鉛はんだがめっきされている。

② 右上に表面実装された部品のリード部 : リードが錫鉛はんだめっきされている表面実装部品が複数使用されている。

③ 右下の配線上のはんだ部 : (写真からではよく見えませんが)はんだ表面が平滑ではなく、はんだゴテで修正した跡がある。このことから、はんだゴテのコテ先に残留していた鉛が手はんだの際に転写したものと推定される。

この分析結果を受けて、リードやピンのはんだめっきから鉛が検出された部品を鉛フリー品に交換するよう取引先であるユニット品メーカーに依頼すればよいのでしょうか? また、はんだゴテ先を新品と交換するよう依頼すれば済むのでしょうか?

上記の結果を基に、もう一歩踏み込んで考えてみると、この会社について次のようなイメージが浮かんできませんか。

  1. リードやピンが鉛フリー対応されていない部品が多数使用されていることから、この会社では「鉛フリーはんだではんだ付けすれば良い」と考えている、あるいは部品のリードについても対策が必要なのは分かっているが、そこまで手が回らない。
  2. はんだゴテからの汚染があることから、この工場では鉛フリーはんだの製品と従来の鉛はんだ使用製品の両方が生産されている。また、鉛はんだ品から鉛フリー品に替える際の段取りが明確になっていない。

もしこの会社がこのような状態であったとしたら、不適合が見つかった部分だけ対処しても、もぐら叩きになってしまいます。これに対して、分析結果から取引先の管理レベルを推定し、気になる点について確認や改善を勧めて頂ければ、徐々にリスクを低減できるのではないでしょうか。また、工場監査を行うにしても、事前に問題点の指摘と改善をお願いしておくことで随分効率的に進められるのではないでしょうか。

上記の分析例の場合(片面、10cm角基板)弊社の分析費用は十数万円ですが、その分析結果をお客様がどのように活用するかによって、安い買い物にも高い買い物にもなります。お客様には、是非、分析結果を活用して「安い買い物」と思って頂きたい・・ということで、今回は分析結果から何がわかるかについてお話しました。

次回は、効率的に問題点(不適合)を発見するための考え方についてご説明します。