FIP IT Box Vol.24 流通小売業における物流業務の新しい形"ASN"
PDF Vol.24 [172KB]

流通小売業では、厳しい不況を乗り切るため、「コストの削減」、「販売機会の拡大」、「品揃えの強化」といった様々な課題を解決し、利益の出る体質へ転換することが求められています。(図1)
そのために、マーチャンダイジング(注1)(MD)の再構築や販売チヤネル拡大、プライベートブランド商品の強化、さらには拠点の見直しを含めた物流全体の再編等が行なわれています。
今後は、取引先との関係を一層強化し、調達~在庫管理・製品配送までの最適化のためのSCM構築、最終的にはCPFR(注2)の確立が必要といわれています。(図2)
(注1): 適正な商品を、適正な価格・時期・数量で提供するための計画
(注2): Collaborative Planning Forecasting and Replenishment 小売業と製造メーカが商品/需要計画、在庫補充を協業して行なうプロセス


一方で卸売業は、「中抜き(注3)」への対抗策として、フルライン化(注4)や受発注業務代行などで差別化を図るとともに、小売・製造業からの物流効率化の要件に対応するため、物流子会社や3PL(注5)業者を活用し、物流センター業務をアウトソーシングする動きが活発になっています。
また、3PL業者は「物を運ぶ」という従来業務にとどまらず、受発注業務や物流情報の提供など、付加価値ビジネスを今後の戦略として視野に入れています。
(注3): メーカー・生産者と最終消費者の間に位置する卸売業者と小売業者を抜くこと。商品・サービスが直接流れることで、「中」が取っていた中間マージン分の利益がコストセーブされる
(注4): 同じ温度帯で、配送頻度が同じような商品(加工食品・日用雑貨・菓子・酒類など)を一括で配送すること
(注5): 3rd Party Logistics 荷主が第3者であるロジスティクス業者に対し、顧客サービスの向上、物流関連コストの削減、市場競争力の確保などを目的として、契約に基づき物流業務を外部委託(アウトソーシング)すること
FIP IT Box Vol.24 流通小売業における物流業務の新しい形"ASN"
PDF Vol.24 [172KB]
物流業務効率化における課題
流通小売業においてSCMを確立していくためには、メーカを含めたサプライチェーン間の業務改善が不可欠であり、その意味で物流業務全体の更なる効率化が急務であり、「発注量および在庫の適正化(将来的には製造計画の適正化)」「発注から納品までのリードタイムの短縮」「調達先、メーカとの情報ネットワーク構築」「物流センター内作業の合理化」といった課題に早急に取り組む必要があります。
小売業では、店舗数の拡大にともない、検品作業の簡素化・効率化を今まで以上に押し進めるとともに、取引先である卸売業・メーカとの連携を深め、整合のとれた物流業務を行なうことが求められてきています。そのため、各取引先から「小売業各店舗へ直納する」従来方式から、「一旦小売業の物流センターに納品してそこから各店舗に配送する」クロスドッキング方式へと移行が進んでいます。
この方式の採用により、荷扱いが減り、省力化、省スペース化、商品の損傷低減などの効率化が図れましたが、現在ではさらなる効率化やコスト削減のため、物流センター内のコスト(特に人件費)の抑制や作業効率化が特に重要とされています。その解決策としては、物流標準EDI(JTRN(注6) )、WMS(注7)、ASN(注8)などが考えられますが、今回は、物流でのキーワード「ノー検品・ペーパーレス」を実現するASNについてご紹介します。


(注6): 荷主企業から物流事業者へ、物流事業者から荷主企業へと、全産業の物流・ロジスティクス活動に対し、シームレスな情物一致を実現する、物流EDI標準
(注7): Warehouse Management System (倉庫管理システム) 物流センターにおける作業工程 / 在庫 / 労務管理を行う管理システム。入出庫、ピッキング、荷役の作業レベルの管理、流通加工なども含む流通センター内全般のコスト、情報を一元的に管理する
(注8): Advanced Shipping Notice (事前出荷情報通知) 物流センターや小売店舗が、商品を出荷する納入業者から事前に出荷明細情報をオンラインで受信し、その情報を利用して受領・検品作業を簡素化、効率化する仕組み
ASNを使用した物流EDI
これまでの物流業務は、取引先から出荷する際の検品、物流センターに入荷する際の検品、小売各店舗での入庫時の検品と、場所が変わるたびに同じ検品作業が繰り返され、労力やコストがその分多くかかっていました。
この検品の手間を減らし、正確なチェックを行うことを目的に、現在、ASNを活用した物流EDIによる効率化が進んでいます。
ASN物流EDIでは、まず取引先では小売業からの発注データをもとに商品をピッキングし、店舗別カテゴリ別にカートン(注9)に入れ、カートンにSCMラベル(注10)を添付します。SCMラベルには納入店舗や取引先およびカートンを識別する情報がコード化されています。また、取引先はあらかじめ、ASN (事前出荷明細) データとして、カートンを識別する情報をキーとして梱包されている商品の明細をまとめた情報を小売業に伝送します。小売業では受信したASNデータを物流センターに集め、実際に入荷したカートンのSCMラベルと照合することでカートン単位で検品を行った後店舗ごとに納品を行います。店舗ではカートンの数のみを確認します。
この方式では従来の単品ごとの検品作業が省略できることからリードタイムおよびコストの削減が図れます。
(注9): 単品の場合はオリコン(折り畳みコンテナ)
(注10): Shipping Carton Making Label (梱包表示ラベル)納品用オリコンの内容明細や統一伝票の伝票番号が表示され、箱を開けなくても内容物を確認できる納品ラベル。単品の場合はITFラベル
FIP IT Box Vol.24 流通小売業における物流業務の新しい形"ASN"
PDF Vol.24 [172KB]
FIPが提供するASN物流EDIソリューション
FIPは、かねてより、受発注データ交換を中心とする、流通業界の取引業務効率化を支援する各種EDIソリューション『TradeFront』を提供してきましたが、このたび、これまでご説明してきましたASNデータを活用した新たなEDIソリューションを開始いたしました。
これまでのEDIサービスでは、受発注業務の効率化を主眼においていたため、出荷データは、小売業様より取引先様に送信された発注伝票単位で小売業様に返信されていました。 これでは小売業様は、伝票入出力や仕入確定などの作業は効率化されますが、物流センターや各店舗での納品検品作業という観点では、出荷データを発注伝票単位から一度梱包単位に置き変えなければならず、二度手間となっておりました。
FIPがご提供するASN物流EDIソリューションは、取引先様からの出荷データを梱包単位のASNデータに変換し、小売業様にご提供いたします。 取引先様からのSCMラベル付きの梱包とこのASNデータとの照合により、検品作業の大幅なリードタイム短縮と伝票レス、いわゆる『ノー検品・ペーパーレス』が実現し、物流業務の大幅な効率化やコスト削減が実現します。ASNを活用した物流業務システムの構築にはより多くの取引先様が同じシステムへ参加いただくことが大前提となります。ネットワーク参加型のFIPのASN物流EDIソリューションをご利用いただけば、簡単・短期間で取引先様との間のシステム構築が可能となります。
FIPでは、取引先様でASNデータを作成する仕組みを取引先様の取引規模に応じて以下の2種類のソリューションをご用意しています。
パターン1(図-5):
取引先様にASNデータ作成とSCMラベル出力などを可能とする入出荷検品パッケージ『大車輪』((株)サトー製)をご提供いたしますので、そのパッケージにより、出荷データをASNデータに変換するパターンです。導入コストが多少高価となるため取引額が多い取引先様向けのソリューションです。

パターン2(図-6):
FIP EDIセンター内のASNデータ変換機能(富士電機システムズ(株)開発)をご利用いただき、出荷データをASNデータに変換するパターンです。ハンディシステム((株)サトー製)を導入いただくだけで、短期間で安価にASNデータ変換が実現するため、季節ものなど取引額が比較的少ない取引先様向けのソリューションです。
各パターン共にそれぞれで作成したデータは、お取引先様の基幹システムへのデータ連携が可能となっております。

ユーザ事例「明日へつながるロジスティクス戦略 ~イズミヤ殿事例~」はPDFファイル(172KB)の4ページ目以降をご参照下さい。
