FIP IT Box Vol.23 今、会計システムが変わる
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(2)連結会計中心への移行
従来の日本の制度会計では、企業単体での決算(個別財務諸表)が重視され、その企業の子会社や関係会社を含めたグループ全体での連結決算(連結財務諸表)はあまり注目されていませんでした。
このため、企業単体での業績をよく見せようと、決算の際に子会社に損失を押しつけたり、子会社の利益をつけかえたりするといった利益操作が行なわれ、親会社単体では黒字でも、子会社は債務超過となり、ある日突然グループが経営破綻に陥るという事態も起こっていました。
このような問題を解決するため、決算の主体がこれまでの個別財務諸表から、連結財務諸表へと改正されました。さらに、連結対象会社の範囲が広くなったほか、財務諸表の作成方法も厳密になり、透明度の高い企業情報を提供できるようになりました。
(3)税効果会計の導入
日本では、企業会計は発生主義(注1)、税務会計は現金主義(注2)に、それぞれ基づいて行なわれていたため、会計上の利益と税務上の利益にズレが生じていました。この結果、まったく同じ業績であっても、法人税等の計算方法によって当期利益が異なるなど、企業間比較や同一企業での期間比較が困難でした。
このずれを調整するのが、会計上の法人税等を発生主義で認識する税効果会計です。
また、これまでは不良債権や不良在庫の処理を行なうと、費用計上した上に税金が加算され当期利益が大幅に少なくなっていましたが、税効果会計では税金の加算がなくなり、この問題が解消されました。
(注1): 現金が動いてないものでも収支計算に加える計算方法
(注2): 現金の出入りがあった段階で帳簿に記入する計算方法
(4)時価主義会計の導入
これまで日本企業では、資産を取得時に支払った金額で評価する取得原価主義が採用されてきましたが、この方法では含み益や含み損(注3)が生じるため、利益や損失を先送りすることができてしまいました。
時価主義会計は資産を時価で評価するので、含み益・含み損の存在が明らかになり、企業の財務状況も明確になるほか、決算時には本来の企業の価値を正確に評価できるようになりました。
(注3): 企業の所有する資産が取得原価と比較して値上がりし、売却した際に発生するであろう利益。含み損はその反対。
(5)退職給付会計の導入
これまでは企業年金が財務諸表に計上されていませんでしたが、高金利が続いている間は利息で支障なく企業年金を運用できたので、特に問題は発生しませんでした。
ところが、株価や金利水準の下落によって運用環境が厳しくなると、企業年金の積立不足が発生し、多額の「隠れ債務」を抱える企業が増加し始めました。
この「隠れ債務」を顕在化させ、企業の財政状態を正しく情報開示していこうという観点から、企業年金を財務諸表に明記することを義務づけた「退職給付会計」が採用されました。
同時にこの会計制度は、積立方法の違いから異なる会計処理を行なっていた退職金と企業年金を共通化して会計処理するので、企業間の比較がさらに容易になります。

