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FIP IT Box Vol.22 地球環境時代に求められる環境経営

PDF Vol.22 [178KB]


地球環境時代に求められる環境経営

地球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素や、大気を汚染する排気ガスを出さない「究極のエコカー」として、現在、燃料電池車の実用化が進んでいます。また、環境先進企業では、倉庫の全廃やトラック便の本数削減、効率的な配送体制の整備など、物流部門の効率化が進められています。

環境問題への関心が高まり、国際的なCO2排出抑制の枠組みを定めた京都議定書の発効も近づいている今、事業活動の効率化や省エネ製品の開発といった環境負荷低減への取組みが企業の重要な課題となっています。

21世紀の企業経営では、経済的・社会的な発展と環境の保全の維持を目指すことが求められています。今号では、企業における環境マネジメントの取組みと、環境経営の展開についてご紹介します。

図1: ISO14001審査登録件数推移

進む環境マネジメントシステムの導入

企業において環境に配慮しながら事業活動を進めるツールとして、環境マネジメントシステム(EMS(注1))の導入が進んでいます。

EMSの国際規格には、組織活動や製品・サービスについて環境方針の策定やEMSの運用、監査といった要求事項を規定したISO14001があります。EMSにISO14001を活用する企業は年々増加傾向にあり、2003年2月時点の日本の認証取得サイト数は11,477(注2) と2位のドイツを大きく引き離し、世界のトップとなっています。(図1)


(注1): Environmental Management Systems (環境マネジメントシステム)
(1)組織の行動規範を示した環境方針策定 (2)環境目的・目標の計画立案 (3)実施・運用 (4)点検・是正処置 (5)経営層による見直しの手順をPDCAサイクルによって維持・向上させる

(注2): (財)日本規格協会 (環境管理規格審議委員会事務局) 調べ




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環境負荷の分析と環境側面

図2: 製造工程のInput/Output

EMSを構築するためには、企業の活動や製品・サービスが、環境にどのような負荷をかけているかを分析する必要があります。

分析では通常、自社の工場の製造工程(洗浄~加工~梱包)などにおいてInput/Output解析を行ないます。また、製品・サービスによる負荷の全体を把握するためには、調達から消費・廃棄に至る製品ライフサイクルに対して、Input/Output解析を行ないます。

この解析では、原材料の材質やエネルギー資源の投入量などを「インプット」、製品・サービスや、それらを生産・流通する過程で発生する大気汚染・水質汚濁物質や廃棄物などを「アウトプット」として、製造工程やライフサイクル毎に環境への負荷を定量的に把握します。(図2、3)

図3: 製品ライフサイクルのInput/Output

この結果、環境に大きな影響を与えている「側面」(著しい環境側面)が明らかになります。企業はこの「環境側面」を環境マネジメントで取組むべき主要テーマとし、環境負荷の軽減に努めます。

ISO14001の認証を取得する場合は、環境方針の策定からスタートし、環境側面の抽出・環境影響評価を実施し、環境目的・目標を掲げた上で、環境保全活動に取り組んでいきます。活動は、事前準備を含め、EMSの構築から運用・是正までを約1年かけて行ない、PDCAサイクルを確立していきます。(図4)


図4: ISO14001の認証取得プロセス

環境マネジメントから環境経営へ

EMSの導入は、企業経営にとって、CO2削減などの直接的な効果だけでなく、間接的な効果ももたらします。

環境に配慮した製品・サービスを提供することは、「環境にやさしい企業」としてブランド力強化やイメージアップにつながります。また、生産を効率化したり、廃棄物の量を抑えることで、原材料の調達費用や廃棄にかかるコストも削減できます。

このように、技術・人材・資金などの経営資源を効果的に投入し、積極的な環境経営を目指すことは、企業全体の経営基盤の強化につながります。

環境経営を推進する取組み例としては、以下のようなものがあります。

環境ラベル


図5: 環境ラベルの例

環境経営を推進する企業は、環境負荷を低減した製品に環境ラベル(EL(注3))を表示します。

環境ラベルには、第三者が認証するタイプI、企業の自己宣言によるタイプII、環境負荷の度合いを数値で表すタイプIIIがあります。

タイプIの例としては(財)日本環境協会のエコマーク、タイプIIの例では富士通(株)のPCグリーンラベル、タイプIIIの例では(社)産業環境管理協会のエコリーフマークなどがあります。

企業はこれらの環境ラベルを用いることで環境に配慮した製品を消費者に分かりやすい形で提供すると同時に、環境への取組みもアピールできます。(図5)

(注3): Environmental Labelling




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グリーン購入

グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)が2001年4月に施行されました。企業はこのグリーン購入法に基づいて環境への負荷が少ない製品を生産し、これらの製品・サービスを「グリーン製品」として優先的に調達してもらうことで、環境負荷低減への取組みを促進します。

政府・自治体では、2001年度より紙類・OA機器・自動車・制服から公共工事に至るまで、13分野152品目を特定調達品目と定め、それらの製品を優先的に購入しています。また、環境経営を目指す多くの企業でも、このような環境に配慮した製品を優先的に購入する動きがあります。

富士通グループでは、環境保全にすぐれたグリーン製品の開発や、グリーン購入ネットワーク(注4)への製品情報の登録など、環境に配慮した製品開発と情報提供に積極的に取り組んでいます。

(注4): 消費者・企業・行政が参加し、環境への負荷が少ない製品やサービスの優先的購入を推進する全国的なネットワーク

環境報告書・環境会計

経済的・社会的な発展と環境保全との調和を図り、将来までの継続的に発展を目指す経営として現在、「サスティナブル経営」「サスティナビリティ」というキーワードがクローズアップされています。「サスティナブル」とは「持続可能な」という意味であり、サスティナブル経営では、自社の環境負荷削減への取組みを積極的に開示し、消費者・行政・NPO(注5)と環境コミュニケーションを図ることが重要とされています。この情報開示のための取組みとして近年、環境報告書や環境会計を公開する企業が増えています。

図6: 環境報告書と環境会計の公表

環境報告書では、環境保全に関する経営方針や、技術・製品・サービスの環境配慮設計に関する研究開発の状況、環境パフォーマンス指標を外部に公表し、企業の環境活動の成果に関するコミュニケーションを図っています。環境パフォーマンス指標には企業活動における「インプット」「アウトプット」に係わる環境負荷の状況とその低減対策などが含まれます。環境報告書は、経営上の透明性の確保やIR(注6)の機能としても重要視されてきています。

環境会計は、環境負荷低減対策のために投資した費用 (環境保全コスト) とその効果(環境保全効果)をまとめたもので、環境報告書の重要な一要素に位置づけられています。(図6)

(注5): Nonprofit Organization (様々な非営利活動を行なう民間組織)

(注6): Investor Relations (株主・投資家への広報活動)



富士通では、1996年から環境報告書を発行するとともに、環境省が作成した環境会計ガイドラインに準拠した環境会計も公開しています。また、連結会計が柱の一つである国際会計基準の導入に合わせ、2002年からは富士通グループ全体としての環境報告書も公表しています。また、富士通グループの環境報告書は、第三者機関が企業の環境への取組みを評価する環境格付けでも高い評価を得ています。

図7: 環境経営格付機構の評価項目

第三者機関の環境格付けの一例として、産業界・行政・市民らが環境経営について研究・調査・情報発信を行なう環境経営格付機構の格付けがあります。

この格付けでは、環境マネジメント(環境経営信頼性)で4項目、環境パフォーマンス(環境対応)で11項目、社会倫理性(文化・社会・倫理)で5項目と、合計20の具体的な評価項目を設け、それぞれ「戦略」「組織」「成果」の3つの視点から評価します。(図7)




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リオデジャネイロで開催された地球環境サミットから十年が経ちました。地球環境の保全は今や人類共通の最重要課題の一つであり、環境問題に対する企業の対応が企業経営において重要視され始めています。社会から期待される企業であり続けるためには、持続可能な発展を目指した環境経営への積極的な取組みが求められています。

FIPの環境経営支援サービス

FIPでは、1999年度に本社でISO14001認証を取得したのを皮切りに、2001年度までに全事業所で認証を取得するとともに、環境方針を策定するなど、環境に配慮した様々な活動を継続して行なっています。

図8: 環境経営支援サービス

その一方で、事業として展開しているITアウトソーシングサービス(ハウジングやホスティング)やASPサービスの提供は、コンピュータ室や空調・電源設備・プリンタ等の機器の共有化、製造過程・物流工程といった事業活動の効率化を推進し、省資源・省電力をはじめとした環境負荷の低減に貢献しています。

また、ISO14001認証取得時のノウハウを活用し、製造・サービス・流通業など多業種のお客様に対する、認証取得支援サービスを行なうほか、環境会計を含む環境報告書の作成支援といった、環境経営のコンサルティングサービスも提供しています。(図8)

さらに、ISO14001における環境影響評価を定期的かつ継続的に支援するツール(EVERSLIM)や、環境パフォーマンス指標を管理・分析するツール(SLIMOFFICE)など、パッケージも提供しています。


図9: ITによる環境経営ソリューションサービスの提供

今後は企業活動や製品ライフサイクルに対応した環境負荷軽減のために、効率的な調達、生産、物流、販売、リサイクルのシステムを構築してまいります。ITを駆使し、エネルギー利用効率のアップや廃棄物の排出削減を行なうことで環境負荷の軽減とコストダウンを実現し、21世紀の企業経営に貢献する環境経営ソリューションサービスを提供してまいります。(図9)