生産計画サイクルを1ヶ月から1期間(6日)単位に短縮し、需要の変動を吸収。
在庫削減、部品調達リードタイム短縮などの成果を獲得。

新ダイワ工業株式会社様
新ダイワ工業株式会社は、プロ志向の産業機器メーカーです。顧客のニーズに対応するため、サプライチェーンマネジメントの思想を取り入れる生産体制の変革が必要でした。多品種小ロット生産による製品供給機会の増加と需要の変動への追従を目的とし、従来まで1ヶ月だった生産計画サイクルを、6日単位にまでに短縮することにより、製品在庫の削減、部品調達リードタイムの短縮などの成果も合わせて獲得。また、生産計画の回数増加に対応するため、業務の効率化を目的とし、生産計画パッケージ「GLOVIA/SCP FA」(注)を導入。現在もさらなる改革に取り組んでいます。
(注)「GLOVIA/SCP FA」は富士通の計画系システムの開発・構築経験を活かし、そのノウハウを集結させたサプライチェーンプランニングパッケージであり、開発・サポートを当社が担っています。
[2008年2月1日掲載]
| 課題と効果 | |||
|---|---|---|---|
| 1 | 製品在庫の削減 | 日単位サイクルでのスケジューリングが可能となった結果、従来まで1.5ヶ月だった製品在庫を1ヶ月以下にまで削減 | |
| 2 | 部品調達リードタイムの短縮・部品在庫の削減 | 最長3.5ヶ月だった部品調達リードタイムをわずか4日に短縮。ジャスト・イン・タイムな納入指示により、部品在庫を大幅に削減 | |
| 3 | 生産計画業務の効率化 属人化の脱却 |
業務が増加したにもかかわらず、担当人員を2名削減。また、経験の浅い社員でも担当できるようになり、ベテラン社員を生産現場管理に集中 | |
導入の背景
効率化の新たな次元へ、サプライチェーンの刷新

石川安男氏
新ダイワ工業株式会社
常務取締役生産本部長
新ダイワ工業株式会社(以下、新ダイワ工業)は、わが国における電動チェーンソーの草分け的存在として知られる、プロ志向の産業機器メーカーです。1952年の創業当時から「ものづくり」にこだわり続け、チェーンソーや刈払機などの小型エンジン機器から、発電機や溶接機などの産業機器に至るまで、多彩な製品を開発・設計・製造し、国内はもとより世界40カ国以上に供給しています。
新ダイワ工業の中核を担う生産拠点が、広島県山県郡にある千代田事業所です。ここで生産される製品の機種数は月産で350余りに及びます。1製品に関わる部品数も小型エンジン機器で約200点、大型の産業機器では500点以上と多様です。
この数字でも明らかなように、多品種小ロット生産が新ダイワ工業の強みであり、そのさらなる効率化が経営上の大きな課題です。この生産効率化の推進に向けて、サプライチェーン(注1)を刷新するプロジェクトが動き出したのは2003年4月のこと。プロジェクトを率いる石川安男氏(常務取締役生産本部長)は、その狙いを次のように語ります。
「当社の特長は、多品種小ロット生産による“ものづくり”にあります。それを新たな次元へと進化させていくためには、もはやサプライチェーンの改革が不可欠でした。そこで、生産ばかりでなく営業から購買まで関連するすべての部門が参加する、全社的なプロジェクトをスタートさせたのです。」(石川氏)
従来までの生産計画サイクルは、1ヶ月を基本としていました。毎月1回開催する販売会議で3ヶ月先の需要を予測し、それに基づいて生産計画を立案していたのです。しかし、3ヶ月というスパンの間に需要は変動し、それを見込んで生産を行うために、在庫や欠品が増大するという課題がありました。また、1ヶ月という期間も問題でした。急な需要増に生産体制が対応しきれず、ビジネスチャンスを逃してしまうということがしばしばあったのです。
導入の経緯
選定の決め手は、高性能・高機能、そして信頼感

中尾公治氏
新ダイワ工業株式会社
生産本部管理グループ
情報管理チーム リーダー
プロジェクトにあたっては、独自に検討を重ねた結果、サプライチェーン・システムを自社開発することに決定しました。しかし、ひとつ大きな壁がありました。それはシステムの核となる生産計画でした。
新ダイワ工業では、生産計画立案のベースとなるMRP(注2)をホストコンピュータで管理しています。従来のように1ヶ月単位の生産計画サイクルであれば対応可能でしたが、それを大幅に短縮し計画精度を革新するためには複雑かつ膨大な工数が必要となり、自社開発では限界がありました。そこで、ホストコンピュータをサポートする専用の生産計画パッケージの導入が不可欠となったのです。
今回のプロジェクトで生産計画システムの構築を担当した中尾公治氏(生産本部管理グループ情報管理チーム リーダー)は、その選定について次のように語ります。
「ホストコンピュータとの連携が容易であること、制約条件を細かく設定できること----主な条件となったのは、この2点でした。」(中尾氏)
最終的には複数のベンダーの製品に絞り込み、各社のSEから直接説明を受けるなどして検討を進めました。その結果、新ダイワ工業が選択したのが、「GLOVIA/SCP FA」だったのです。
「GLOVIA/SCP FA」は、強力なシミュレーション能力を備えた生産計画パッケージです。その多彩な機能には、開発元である当社が10年以上にわたって蓄積した膨大な業務ノウハウが凝縮されています。また、構築から運用に至るまでトータルかつ万全なサポートも大きな特長です。
「先にあげた2つの要件をクリアしていたことはもちろんですが、製品説明の時などに感じた“信頼感”も製品を選んだ大きな理由でしたね。パートナーとして信頼できるか否かは、担当者として非常に重要な条件なのです。実際、構築の段階では、ホストコンピュータと生産計画システムの整合など、さまざまな相談にきめ細かく対応してもらい、スムーズに進めることができました。」(中尾氏)
「GLOVIA/SCP FA」の導入を決定したのは、2003年秋のこと。それから半年にも満たない期間で構築が完了し、2004年4月、新ダイワ工業の新しいサプライチェーン・システムが稼働を開始しました。
このシステムでは、ホストコンピュータと「GLOVIA/SCP FA」が緻密に連携。計画立案に必要となるMRPのデータをホストで管理し、それを「GLOVIA/SCP FA」を搭載するサーバに取り込んで自動的にスケジューリングを行っています。

導入の成果
約1.5ヶ月だった製品在庫を、1ヶ月以下に圧縮
導入の成果をご紹介する前に語らなければならないのは、各部門と連携した全社的な取り組みでしょう。生産計画の精度向上はシステムを導入したからといって一朝一夕で実現できるものではありません。すでにご紹介したように、今回の改革は、生産はもちろん営業や購買など関連部門がすべて参加した全社的なプロジェクト。たとえば生産の現場では、社員を技能別にランク分けしたスケジュール表を導入して効率化を図るなど、システムを刷新する一方で、各部門で地道な改善を積み重ねました。
新しいサプライチェーン・システムは、2004年4月に国内向け製品の部品組立工程に導入し、2006年4月には海外向け製品に拡大。このようにシステム、運用の両面にわたる改革によって現在に至っています。
さて、その成果ですが、第一にあげられるのは生産計画サイクルの短縮による計画精度の向上です。従来まで1ヶ月だった生産計画サイクルを6日にまで短縮しました。約1/3という大幅な短縮です。
そればかりでなく、この6日というサイクルは営業部門の販売計画や部品ベンダーへの発注を考慮した枠組みであり、実際にはサイクル内で調整を加える必要も生じるため、日々のスケジューリングも可能にしています。
「早朝にバッチ処理を行い、当日の午前にスケジューリングを自動的に行っています。その後、担当者が計画をチェックして必要であれば調整を加え、その日の夜間にスケジューリングされた日程を基準にMRPを実行し、部品調達計画へ反映させるという流れです。」(中尾氏)
つまり、1ヶ月であった生産計画のサイクルが実質的に1日にまで短縮されたわけです。当然、これらの改革は在庫の削減にも反映されており、導入前には約1.5ヶ月だった在庫期間が現在では1ヶ月以下にまで短縮されました。
6日サイクルで確定した生産計画は、インターネットを利用して部品ベンダーにも随時公開しています。これらの取り組みも相まって、部品の調達リードタイムも大幅に改善されました。国内ベンダーの場合で最長3.5ヶ月だった調達タイムがわずか4日にまで短縮され、ジャスト・イン・タイムの部品調達を実現しています。
もうひとつ忘れてならない成果が、生産計画業務の効率化でしょう。従来までは機種ごとに製品に精通した知識が求められ、合計5名のベテラン社員が担当していました。システム導入後は、生産計画のサイクルが1ヶ月から6日となって業務が大幅に増加したにもかかわらず、担当人員を3名に削減。さらに経験の浅い社員でも容易に業務をこなせるようになり、ベテラン社員を生産現場管理に集中させることが可能となりました。
今後の戦略
製品在庫0.15~0.5ヶ月を目標に、さらなる改革に挑戦
これほど画期的な成果を獲得しているにもかかわらず、プロジェクトリーダーの石川氏は、システムはまだまだ発展途上であると強調します。
「生産の効率化は、我々のようなメーカーにとっては終わりなきテーマです。製品在庫については0.15~0.5ヶ月を目標に今後も改善を続けていきます。また、生産計画業務については完全な自動化を目指しています。私たち本来の仕事は、“計画”をつくることではなく、“もの”をつくることにあるのですから。」
生産も着実に拡大し、改革前に約30万台だった年間生産台数は、2006年度には52万台に達するまでになりました。それとともに生産体制の増強が必要となり、現在、生産方式の変更などをはじめとする改革を進めています。また、サプライチェーン再構築の一環として、新たにERP(注3)パッケージを導入。さらに、生産計画パッケージ「GLOVIA/SCP
FA」についても、今回の成果や充実したサポートを高く評価してバージョンアップを決定しています。
「我々のようなけっして大規模でないメーカーがここまで効率化を追求しているのを知って、驚きの声をあげる人がいます。私は、世界の企業と競い合い、日本に生産拠点を置くメーカーとして勝ち残っていくためには、多品種小ロット生産による“ものづくり”こだわるべきであると考えています。そのためにも生産の効率化は、我々にとって妥協することのできない永遠のテーマなのです。」(石川氏)
新ダイワ工業の成長の原動力となっているのは、「ものづくり」に対する飽くなきこだわりです。改革への挑戦はこれからも続きます。富士通・当社は、先進の製品と充実したサポート体制によって、新ダイワ工業の改革を今後も支援していきます。
新ダイワ工業株式会社様会社概要
| 代表取締役社長 | 浅本 泰 |
|---|---|
| 設立 | 1952年9月1日 |
| 本社所在地 | 〒731-3167 広島県広島市安佐南区大塚西六丁目2番11号 |
| 資本金 | 33億4,022万円 |
| 従業員数 | 従業員数: 463人(連結679名) (2007年3月31日現在) |
| 事業内容 |
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| ホームページ | http://www.shindaiwa.co.jp/ |
関連リンク
注釈
- 注1 サプライチェーン:
-
「供給の鎖」(supply chain)。原材料や部品の調達から生産、流通、販売まで、生産から最終需要までに至る製品供給の流れを意味する。
- 注2 MRP:
-
Materials Resource Planning。資材所要量計画とも呼ばれる。製造業など用いられる生産管理手法のひとつ。生産計画に基づいて必要となる資材の所要量を求め、発注すべき材料や部品、発注時期を割り出すもの。
- 注3 ERP:
-
Enterprise Resource Planning。企業の経営資源を有効に活用し、経営を効率化するための手法、概念のこと。これを実現するための統合型アプリケーションをERPパッケージと呼ぶ。
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