導入事例
新日本石油株式会社様
将来のエネルギー事業基盤となる新基幹システムを構築
スピーディーなシステム統合をInterstageにより実現
[2003年2月28日 掲載]
(本内容は、日経コンピュータ2003年2月10日号に掲載広告事例として掲載されたものです。)
「ENEOS」ブランドで知られる新日本石油では、基幹システムを全面的に再構築した。長年にわたって利用してきた旧システムでは、今後のビジネス環境の変化に対応していくことは困難であり、企業合併の効果をより早期に発揮する上でも、新たなIT環境が必要との結論に達したためである。新販売物流システムを支えるプロダクトとして「Interstage Application Server」を採用。またプロセス統合に「Interstage CollaborationRing」を利用することで、次世代に向けた業務基盤を実現している。
多様化する顧客ニーズに応えられる総合エネルギー企業を目指す

三中 茂氏
新日本石油株式会社
情報システム部長

原田 光三氏
新日本石油株式会社
情報システム部 部長
「ENEOS」ブランドのサービスステーションで、一般にも広く知られる新日本石油は、日本石油と三菱石油の合併によって1999年に発足した。国内シェア1/4を誇る巨大石油企業である。
情報システム部長 三中 茂氏は「20世紀の社会は石油を基盤として飛躍的な発展を遂げたわけですが、資源保護や環境問題に対する意識がグローバルに高まる中で、石油のみに依存する従来の社会構造を見直す動きも出てきています。当社としても、今後は様々なエネルギーをお客様のニーズに応じてご提供する『総合エネルギー企業』に発展していきたいと考えています」と力強く語る。
同社では、LPG(液化石油ガス)や、埋蔵量が豊富でCO2の発生量も少ないLNG(液化天然ガス)などの事業も意欲的に展開している。電力事業も積極的に推進しており、電力会社向けの発電事業や2つ以上のエネルギーを出力できるコージェネ設備を使ったオンサイト発電事業なども広く手がけている。
特にオンサイト発電は、大型発電所で発電した電力を都市部に供給する方式に比べて格段に効率が高いため、多くの企業や団体から注目されている。「オンサイト発電は電柱や電線を張り巡らす必要がないので、景観を損なう心配がありません。廃熱も温水給湯などに利用できるため、大規模商業施設やホテルなどで広く活用していただいています。最近では事業会社で導入されるケースも増えています」と説明するのは、情報システム部 部長 原田 光三氏。病院やデータセンターのように、社会的に重要な役割を担う施設からも引き合いが多いという。
石油事業の効率化で次世代ビジネスを支える
新日本石油では、次世代のエネルギー源として期待される、燃料電池事業にも注力している。自動車用の動力源として話題になることが多い燃料電池だが、定置式の設備であれば家庭用電源としても利用できる。将来的に低価格で実用化されれば、我々の生活が一変する可能性さえある。「もちろん当社だけではカバーできない部分もありますので、様々なパートナー企業ともアライアンスを組みつつ研究を進めていきたいですね」と、原田氏は抱負を語る。
こうした新規事業を展開していく上では、様々な課題もまた存在している。特に重要なのが、事業に要するコストの問題である。一つのエネルギー源を実用化に導くためには、莫大な額の費用や期間が必要になる。事実、同社が海外で展開しているLNG開発でも、事業が軌道に乗るまでには約10年の歳月を要した。エネルギー供給を手がける企業には、この負担に耐えられる体力が必要なのである。
「新しいエネルギー事業を育てていくためにも、現在の主力エネルギーである石油事業において、盤石な経営基盤を作り上げておくことが必要です。上流から下流までの一貫体制を築き上げ、効率的なビジネスを実現すること。これが我々にとって重要な課題となっているのです」(三中氏)。
1999年の合併によって、新日本石油はこうした課題を解消する大きな武器を手に入れたと言える。現在では国内の石油グループ各社の中でも、業界トップの総合力を誇っている。たとえば京浜、阪神地区などの大需要地を中心に生産拠点を展開するグループが多い中で、北は北海道から、南は九州まで全国規模で製油所ネットワークを展開。特に、九州地区と東北地区の双方に拠点を有しているのは同社だけである。
バラエティ豊かな製品群をマーケットに供給
「石油製品を供給する際の一番の課題は、実は国内の輸送に掛かる時間やコストなのです。その点当社は、製品を需要地の近くで生産してお納めすることができますから、お客様のご要望にスピーディーに応えられます」と三中氏は胸を張る。
新日本石油の製品と言えば、ガソリンやエンジンオイル、灯油などがまず思い浮かぶ。だが、こうした石油と直接関連するもの以外にも、様々な製品の開発・販売を行っている。
「たとえば、液晶画面の視認性を高める光学フィルムを『LCフィルムシリーズ』として製品化しており、市販の携帯電話や液晶ディスプレイなどに数多くご採用いただいています。また、当社では様々な炭素繊維関連製品を製造していますが、このノウハウを生かしてゴルフクラブなども開発しています」と語る原田氏。これ以外にも、アウトドア用品、カー用品、各種業務用機器など、多彩な製品群を取り揃えている。
こうした、石油と一見関係のなさそうな製品にも、本業から生まれたテクノロジーが脈々と息づいている。高度な技術力を生かして、今後も新しい製品が次々と生まれてくることは間違いない。

合併後3年以内の実現を目指し両社のシステム統合に着手

横山 滋氏
新日本石油株式会社
情報システム部 情報インフラグループ マネージャー

佐藤 康弘氏
新日本石油株式会社
情報システム部 システム企画グループ 参事
合併や提携で大きな課題となるのが、お互いが持つ情報システムの統合である。これは、新日本石油においても、避けて通れない道筋であった。
情報システム部 情報インフラグループマネージャー 横山 滋氏は、「強固な経営基盤の実現に向けて、合併後即座にシステム統合の検討チームを発足させました。その際に至上命題として与えられたのが、『必ず3年以内に統合作業を完了させる』ということでした」と当時を振り返る。
しかも、今回の統合の目的は、ただ単に両社のシステムを一本化することではない。今後の激しい競争を勝ち抜くための、新しいビジネスプロセスを作り上げることである。
このため、同社では専門家からのコンサルティングなども受けつつ、大々的なBPR(ビジネスプロセス再構築)に取り組んだ。情報システム部 システム企画グループ参事 佐藤康弘氏は「現場へのヒアリングも並行して実施し、組織や業務フローのあり方を根本的に見直しました。ITの要件定義に入る前の段階で、かなり徹底した議論を行いましたね」と続ける。
検討を行う過程では、日本石油・三菱石油両社の既存システム環境の問題点が次第に明らかになった。横山氏は「これまで両社とも、メインフレームを中心に基幹システムを構築・運用してきました。しかし、数十年にわたって改修を続けてきた結果、大幅な手直しが不可能なくらい複雑化が進んでいたのです」と説明する。
システム統合をスピーディーに行う手法としては、どちらか一社のシステムに片寄せする方法も考えられる。しかし、ビジネスの基盤を支える販売物流システムについては、既存システムを使い続けることは不可能と判断し、全面的な再構築に取り組むことを決断した。
新販売物流統合システムをInterstage Application Serverで構築
新販売物流統合システムの特徴を、佐藤氏は「全国に展開する製油所・出荷基地・特約店・物流企業などをつなぐ大規模分散システムです。業務フロー的には各営業拠点での個別受注ではなく、全国で1ヵ所に集約した受注センターでの一元処理に変更しました。これにより、配送業務の最適化も実現しています」と説明する。
基幹システムの中心となる重要なシステムだけに、会計システムや生産管理システムなど、他のシステムや旧両社のホストシステムとも数多くの連携が行われている。
この新しいシステムを支える基盤製品として選ばれたのが、「Interstage Application Server」である。Interstage Application Serverを選択した理由を、佐藤氏は「まず、環境変化に柔軟に対応するために、新システムはオープン系で構築したいと考えました。しかし、極めて大規模なオンライントランザクション処理を伴うため、性能や信頼性に不安が残るような製品は選べません。その点で、Interstage Application Serverには、富士通が連綿と培ってきたメインフレーム技術が生かされており、高度な処理能力と万全の信頼性を備えています。こうした点を高く評価し、新システムに採用しました」と語る。
システムの処理量は灯油などの販売量が伸びる冬季にピークを迎える。この際の受注トランザクション量は2万6000件/時間にも達する。この大量データを短時間で処理できる製品として、Interstage Application Serverが選ばれたのである。
「また、今回のシステムでは、クライアント側にJavaアプレット、サーバ側にEJBを採用しています。これにより、コンポーネントベースの新たなシステム環境が実現し、システムの保守性や開発生産性、スケーラビリティが大幅に向上しました」と佐藤氏は語る。

Interstage CollaborationRingを全社のプロセス統合に活用
新しいシステム環境を作り上げていく過程では、もう一つ解決すべき課題があった。横山氏は「オープン系の製品は、確かに連携性に優れています。ですが、統一性のないシステムが社内に乱立したのでは、将来的に問題が生じる可能性も高くなってしまいます。そこで、『共通インフラプロジェクト』を立ち上げ、社内システムの共通化・標準化を進めることにしました」と説明する。
システムの開発・運用方式などに関して一定のガイドラインが敷かれていれば、個別に構築したシステムを後で連携させるような場合もスムーズに作業が進む。メインフレーム時代と違い、複雑に絡み合ったシステムの手直しに頭を悩ませる心配もない。
この共通インフラプロジェクトにおいて導入が進められたのが、プロセス統合を実現する「Interstage CollaborationRing」である。販売物流システムは顧客と直接的につながるシステムだけに、社内の環境を刷新したからといって、既存の環境を一気に止めてしまうわけにはいかない。事実、新システムの構築が終了した段階でも、旧メインフレーム上の受発注システムを利用している企業が数多く存在していた。
そこで、新日本石油ではEAI環境をInterstage CollaborationRingを使って構築し、販売物流統合システムと旧メインフレームとを連携。新システムへの移行が完了するまでの間、顧客企業がこれまでと同様に業務を行える環境を実現した。
「Interstage CollaborationRingを採用したことで、旧システムと新システムのシームレスなプロセス統合が、低コストかつスピーディーに実現できました」と満足げに語る横山氏。新システムへの移行が終了した後も、様々なシステム間の連携にInterstage CollaborationRingを活用していきたいと続ける。
予定通りに本番稼働を開始、大幅なコスト削減効果を見込む
新販売物流統合システムは、2001年10月に配車システムの先行稼働を開始。翌2002年4月には、本番稼働を開始した。1999年4月の合併からちょうど3年。当初の目標通りにシステム統合を実現したのである。
システム統合とBPRを推進したことのメリットについて、原田氏は「実際の効果はこれからですが、物流面では配送の効率化によって年間約10億円の削減を見込んでいます。また、新システムへの移行後は、旧両社のメインフレームを3台、センターを2ヵ所削減できますので、トータルで年間約40億円のコストを削減できると考えています」と胸を張る。
これに加えて、情報系のデータベースをさらに充実させるなど、ユーザーの情報活用を支援する取り組みも強化していく予定である。2002年12月には、富士通とIT分野における提携を発表。今後は開発・保守・運用の包括的アウトソーシングを行うことで、より戦略的なIT活用を進めていくことになる。
三中氏は「我々IT部門の大きな役割の一つは、ビジネスの成長に寄与するインフラを築き上げることです。その基盤として、Interstageは極めて有効な製品だと感じています」と力強く語った。
【会社概要】
新日本石油株式会社
- 本社所在地: 東京都港区西新橋1-3-12
- 資本金: 1,394億円
- 設立: 1888年 (明治21年) 5月10日
- 売上高: 3兆9,000億円 (2001年度連結)
- 事業内容: 旧日本石油と旧三菱石油の合併により誕生した業界最大手の石油会社。ENEOSブランドのサービスステーションを全国に展開するほか、総合エネルギー企業としてLNG事業、LPG事業、発電事業および燃料電池事業などの新規事業にも取り組んでいる。
- ホームページ: 「新日本石油株式会社」ホームページ
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