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ADESS(気象情報伝送処理システム)、気象観測/予測データを集配信、基幹業務のミッションクリティカルシステムを1年半で構築

気象庁様 導入事例


気象観測データの集配信と予報・警報の発表・提供など気象業務を実施する基幹業務システムをわずか1年半で構築しました。

[ 2006年6月27日掲載 ]


導入事例概要
業種: 官公庁
ハードウェア: UNIXサーバ PRIMEPOWER
PCサーバ PRIMERGY
ストレージシステム ETERNUS6000/3000
ソフトウェア: インテグレーション・プラットフォーム Interstage
統合運用管理ソフトウェア Systemwalker
高信頼データベース Symfoware
高信頼基盤ソフトウェア PRIMECLUSTER

「我々が何を求めているかを正しく理解していただかないと、中途半端な理解で進めていただくと絶対うまく進まない。」(気象庁)

天気予報でなじみの深い気象庁。気象情報を発信し、地震・津波・火山情報を含む各種気象警報、注意報を発表しています。また、これらの情報は全国数百カ所から送られてくるさまざまな気象観測データが基となっています。気象観測データを集信し、気象情報として加工・編集して、所定の送り先に配信したり、スーパーコンピュータが出力する数値予報を、図表化したり、描画しておなじみの予報図にするのがADESS(気象情報伝送処理システム)です。ADESSは、365日、24時間止まることが許されないシステムです。気象庁様との協業によりミッションクリティカルシステムをわずか1年半で構築しました。

課題と効果
1 専用線はコストが高く、回線距離を短くしてコストを下げるために稼働効率を犠牲にして地方分散型の処理システムとしていた 距離に依存しない通信サービスの採用により回線コストが低減された。距離が回線コストに影響しなくなり中央集中型のシステムが実現し、稼働効率が向上した
2 気象情報の精度向上に伴って情報量が増大し、システムの処理能力が限界に近づいている 高性能サーバ、高速広帯域ネットワーク、大容量ストレージと最適なミドルウェアの導入により、システム全体の性能が向上し、処理能力に余裕ができた
3 レガシーな技術で作られており、最新のITで最適な業務拡張への対応が困難になっていた オープンシステムの採用でハード・ソフトともに変化への対応が強化された。拡張性の高い開発環境を持つミドルウェアの導入で、新しい業務の取り込みも可能になった

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導入の背景

ネットワーク環境が大幅に改善。分散から集中へ

気象情報伝送処理システムADESSの役割は、大きく二つあります。
一つは、国内外から送られてくる気象観測データを集め、そのデータを加工・編集して気象情報として配信する通信機能です。ADESSは、国内の各気象官署、空港、国連の下にあるWMO(世界気象機関、World Meteorological Organization)加盟の外国の気象機関など全世界中のネットワークに接続されており、日本はアジア地域における通信の中枢として大きな役割を担っています。
もう一つのADESSの役割は、観測したデータを基にスーパーコンピュータシステムが高速演算して出力する数値予報を、図表類に変換したり、描画を行ったりして、予報官が各種の情報を発表する形態に作り上げる機能です。
これまでのADESSは本庁(清瀬)に中枢となるシステムを置き、各管区等(札幌、仙台、東京、大阪、福岡、沖縄)にサブのシステムを、さらに各官署に作業する端末を設置した地方分散型でした。システムを整備した当時、専用回線は距離で料金が加算され利用料が高価なため、回線料金を少しでも下げるための方策でした。
気象情報の精度は日々進化しており、精度が上がるたびに取り扱いデータ量が増え続け、旧システムの処理能力が限界に近づいていました。保守部品が入手できないケースも発生し、レガシーな技術に基づいて設計されており、最新のITを利用した最適な業務拡張も困難でした。システムの更新は急務となっていました。
実際のシステムの更新にあたっては3つの基本方針が掲げられました。
一点目は「最新の情報通信及び情報処理技術によるシステムの効率化・合理化」。通信回線に距離に依存しない通信サービスを採用することで、回線使用料の低減、広帯域化を実現し、地方分散型からより効率のよい中央集中型へシステム統合などが計画されました。
二点目は「トータルコストを上げることなくシステムの処理能力の増強・安定化」。ADESSのシステム更新は「電子政府構築」のための「レガシーシステム見直しのための国交省アクションプログラム」の最初のプロジェクトに位置づけられており、業務の合理化・効率化だけでなく、全体的な経費等の節減に結果を出すことを求められていました。
三つ目は「気象情報のサービス向上及び情報配信の迅速・確実性の確保」。ネットワークの信頼性や拡張性の確保、オープン系プラットフォームによるシステム構築などが計画されました。

[図] 気象情報発表までの情報の流れ

導入の経緯

納期短縮を実現した200回以上のレビューと勉強会

「ADESSは気象庁の超重要プロジェクトという位置づけ」で周到な準備が進められました。平成13年の春先に準備が始まり、年末には調達手続きを開始、平成16年度予算が認められたことにより平成16年初頭に入札公告が行われました。準備開始から決定までの2年間に着々と準備が進められ、仕様書の詳細資料完成後も、データフォーマットの変更など刻々と変わり続ける気象通報の条件や新しく発生する業務など内容を最新のものに更新する作業が続けられました。
国際競争入札の中で、富士通が選ばれたのは、メンテナンス経費を含めたライフサイクルコストなどの提案が評価を得たことによります。
プロジェクトは、全庁あげてという体制で進められました。業務ごとに所掌するセクションの職員でグループが作られ、仕様書の作成業務が開始されました。通信関係、ハードウェア、ネットワーク、端末装置などグループの総数は30近くなりました。プロジェクトの全体会合が発注直後に1回だけ開かれ、富士通との協業の進め方について説明が行われました。「我々が何を求めているかを正しく理解していただかないと、中途半端な理解で進めていただくと絶対うまく進まない。」と、相互理解に基づく進行が重要であることが周知徹底されました。その結果、職員の皆様が作成された仕様書を設計書としてブレークダウンする際は、必ずレビュー会議が開かれ、内容の説明、富士通側からの質問とそれに対して回答するかたちで、互いに行うべきことの理解を深めながらプロジェクトが進められました。こうしたレビュー会議や勉強会は200回以上に及びました。このような緻密な作業の積み重ねが、1年半という短い期間で大きなプロジェクトを完成に導いたのです。
プロジェクトの進行にあたっては、多くのグループ間の進み・遅れの調整、「決まらない」事案など問題に対して明快な判断基準が示されました。「“必須”、“必要”、“あったらいいな”、で“あったらいいな”は後ろに置いておく。重要項目は、業務上絶対必要な項目だから最優先で進める。“あったらいいな”は代替措置があるのだからゆっくりで構わない」。例えば、地震関係では、津波情報のように、1分1秒を争うものは「必須」となり最優先で進められました。
基準は明快であっても、ほとんどの場合、決定にあたっては脂汗を伴うような内容であったことが推測されます。しかし、こうした明快な基準がどれほどプロジェクトの進行をスムーズにしたかはかりしれません。

システムの概要

ミッションクリティカルを実現する信頼のハードとミドルウェア、そして責任感

ADESSは気象情報のかなめとなるシステムで、24時間365日止めることができません。高い耐久性と信頼性、可用性が求められます。そこで、新システムに採用されたのが、UNIXサーバ「PRIMEPOWER」、PCサーバ「PRIMERGY」、ストレージシステム「ETERNUS」などの高い信頼性、耐久性、可用性を誇るハードウェアです。さらに「PRIMECLUSTER」「Symfoware」「Systemwalker」「Interstage」の4つのミドルウェアがシステム全体の信頼性、耐久性、可用性をより高く強固なものにしています。
「PRIMECLUSTER」は、信頼性の高い二重化(クラスタ)構成とし、安定したフェールオーバーを実現しています。また、「Symfoware」は、安定稼働と省力運用を実現する高信頼データベースとして気象電文送受信記録データを格納し、PRIMECLUSTERとの組み合わせでフェールオーバー時のデータ亡失を防止します。
「Systemwalker」は、60台以上のサーバやネットワーク機器を監視し、システムの稼働状況や運転状況をリアルタイムに把握して、万一のトラブルへの迅速な対応を可能にしています。
「Interstage」は、今回のシステムの構築と、今後ADESSに他の業務を統合していくための拡張性豊かな実行基盤と開発環境を実現しています。
気象庁様のシステムは、災害など人命に関することがある業務の性質上、内部要因でシステムが止まることのないように、徹底的に耐障害性を高めるための工夫を行っています。サーバ、ディスク、ネットワークはすべて二重化され、一部の障害の影響が全体におよばないように、例えば同じ通信機能でも国際機関向けと国内機関向けは、完全にハードウェアを分割されています。
また、災害時にも地震情報の伝達などの業務を継続するために、通信経路は地上系や衛星など二重三重に用意されています。将来、東ADESS、西ADESSというように二極化し、万一の場合には相互に補完し、一方が被災したときは他方がリカバーするというような運用が予定されています。西ADESSはこれからですが、現在の東ADESSとほぼ同等のものが予定されています。

[図] ADESSシステム構成図

将来の展望

業務システムをADESSに統合

冒頭で述べたようにADESSのシステム更新プロジェクトは「電子政府構築計画」における「レガシーシステム見直しのための国交省アクションプログラム」の一環に位置づけられていました。結果として、運用経費の削減に成功する一方で、防災気象情報の発表区域数を現在の倍程度の数に細分化するなどの気象情報サービスの改善を実現し、経費削減とサービス向上に大きな成果を上げています。
2005年10月に運用を開始した東ADESSは思いどおりの効果を発揮していると評価されています。気象庁様では、今後とも現在のソフトを使い続け、発展させていくとともに、さまざまな要望や、追加される新たな業務を、極力このシステムに取り込み、統合していく方向で進むことが予定されています。

「富士通とは初めてで、最初は気象をよくご存じないので大丈夫だろうかと、不安がありました。しかし、私どもが心配した問題は一切なく、目的の期日までにしっかりしたものを作っていただきました。」と気象庁様のプロジェクトリーダは語ります。

富士通は今後とも万全の支援体制と先進の技術でADESSの成長を支援してまいります。

【気象庁様 概要】

所在地 本庁 〒100-8122 東京都千代田区大手町1-3-4
気象庁長官 平木 哲
設立 1875年6月1日(気象庁の前身東京気象台が観測を開始した)
任務 自然現象を常時観測し、気象、地震、津波、火山活動などに関する情報を関係省庁や地方公共団体、報道機関などに提供することにより、自然災害の防止、交通安全の確保、産業の発展への寄与、国民生活の利便の向上、環境保全の実現
ホームページ 気象庁 ホームページ

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