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交通系サービス、総合生活サービスのプラットフォームとしてのICカードシステム導入による顧客満足が地方の運輸事業を活性化させる

伊予鉄道株式会社様 導入事例


喫緊の課題は公共交通の再生。交通系サービス、総合生活サービスのプラットフォームとしてのICカードシステム導入で徹底的な顧客満足を追求。電車、路線バス利用客の減少に歯止めをかけ、グループカード化による固定客化、さらには地元の店舗・施設よりの多くの反響により地域カード化に向けた手がかりをつかむことができました。

[ 2006年2月28日掲載 ]


導入事例概要
業種: 運輸業
ソリューション: ICカードシステムの交通系サービスへの導入
ハードウェア: PCサーバ(IAサーバ) PRIMERGY
UNIXサーバ PRIMEPOWER
ストレージシステム ETERNUS
ソフトウェア: 統合運用管理ソフトウェア Systemwalker
インテグレーション・プラットフォーム Interstage

「坊っちゃん列車」の運行で全国的に知られる伊予鉄道株式会社様は、愛媛県松山市を中心とした鉄道・軌道、バス・タクシーなどの運輸、観光、百貨店、不動産など幅広い事業を手掛け、総合生活サービス産業を目指しています。同社は2005年8月よりICカードおよびおサイフケータイを利用した運賃支払いによる交通系サービスを全国に先がけて導入しました。これは鉄道、路面電車、路線バスだけでなくグループ会社のタクシーなど複数の公共交通手段を網羅する画期的なサービスです。「地域住民にとって便利で使いやすい」を徹底的に追及したサービスは予想以上の普及速度を見せ、同社の運輸事業に新たな可能性を示しています。地方都市における公共交通機関は厳しい状況下におかれていますが、同社のICカード・おサイフケータイを利用した運賃支払いサービスは、地方鉄道会社の新しい展開を示唆する事例として注目を集めています。

課題と効果
1 公共交通利用客の減少に歯止めを掛け、乗客増を目指す 電車、路線バス、タクシーを包括したICカード・おサイフケータイを利用した運賃支払いシステムで利用者減少の歯止めに一定の効果を得た
2 磁気式プリペイドカードシステム対応機器更新の必要が迫っていた ゲートレス式非接触ICカード専用改札機利用システム導入で更新コストを削減
3 バス・軌道降車の迅速化、運行定時性を向上したい カードリーダにタッチするだけで精算ができ、運行の定時性の向上に寄与している
4 鉄道チケットレス改札、キャッシュレス 券売機でのチケット購入が不要となった
5 今後の課題 多額の設備投資に見合う収支バランス、グループカード化、地域カード化による投資回収

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導入の背景

運輸事業の再生と中心市街地の活性化に向けて

よく知られるように、地方の鉄道、路線バスなどの公共交通機関は、モータリゼーションの進展による利用者の大幅な減少という壁の前で足踏みを余儀なくされています。
伊予鉄道様も、鉄道、路面電車や路線バスなどの利用者減に危機感を募らせていました。2000年度までの運輸事業における鉄道の利用客はピーク時の約50パーセント、バス利用者はピーク時に比べ85%減少していました。

公共交通利用者減少に歯止めをかけ、運輸事業を再生させるため、同社は近年、大規模なサービス向上策を打ち出してきました。2001年から2003年の3年間では6回にわたる「サービス向上宣言」を行い、鉄道・バス運賃の思い切った値下げ、松山市駅の完全バリアフリー化、電車・バスの増便、超低床式路面電車の導入、利用客からバスの運行状況が見えるバスロケーションシステム、加えて電車・バス総合情報システムなどハード・ソフト両面にわたり実施しました。さらに「坊っちゃん列車の復元・定時運行」、ターミナルデパート(伊予鉄髙島屋)のグランドオープンなどまちづくりの観点から中心市街地の活性化についても取り組み始めていたのです。

このような一連の取り組みから生まれてきたICカード導入は、従来の、利用客に負担を求める発想とは180度方向を異にするものともいえます。つまり、ICカード・おサイフケータイを利用した運賃支払いを中心とした新サービスシステムは、ITによってコストの削減を狙おうというものではなく、利用者の満足度向上の手段としてとらえ、利便性を実感したお客様が各種の交通手段、百貨店などを利用することで相乗効果が生まれることを見込むという利用者の視点に立った発想からなるものだったのです。

導入の経緯

わかりやすさと便利さを徹底追及したお客様のためのIT化

3ヵ年にわたる「サービス向上宣言」によって、同社は鉄道・バス利用者の減少に歯止めを掛けることに成功し、2001年以降、利用者数は増加に転じています。こうして生まれた追い風の中で、同社はICカードサービスシステムの導入を決め、2004年からFeliCa型カードによる「ICい~カード」の実証実験をスタートさせているのです。じつはおサイフケータイを利用した運賃支払いサービスの試験運用を始めたのも同時期。当時はまだ、同サービスによる支払いシステムは実験段階でしたが、近い将来、若年層を中心に同システム利用者が伸びることを見込んでいたのです。これら思い切ったIT化を後押しした一つの要素が、1994年導入の磁気プリペイドカードシステム用改札機の更新時期到来だったといいます。

同社はシステムの展開にあたり、利用者の利便性を第一に考え、グループの鉄道・路面電車、路線バス、タクシーなど複数の交通手段を一括できるサービスにこだわりました。またICカードの使い勝手については処理速度の速さ、セキュリティ、信頼性を重視しFeliCa型を導入。同時に最新のおサイフケータイを利用した運賃支払いシステムを導入するなど先進的な技術導入に踏み切っています。これにより利用客サイドに立つ新しい地域運輸事業者としての強いメッセージを発信することに成功しています。

2005年には、松山市の「オムニバスタウン計画」の三本柱の一つである「交通IT化」の具体策として、いよいよ交通系サービスの本格導入がスタートしました。おサイフケータイを利用した運賃支払いシステムを使ったサービスを国内トップを切ってスタートしたということは、全国の運輸事業者の耳目を集めたことはいうまでもありません。同社がICカード・おサイフケータイを利用した運賃支払いによる新システムによって、次世代の交通事業を真剣に模索しようとする意気込みは地元金融機関、クレジット会社、携帯電話事業者ともに新会社・株式会社e―カード様の設立に踏み切ったことにも表れています。

システムの概要

公共交通機関としての信頼性に応えるシステムをめざして

FeliCa型カードによる「ICい~カード」は、レギュラーデザインの一般、小児、障害者用カードのほかに、坊っちゃん列車やマドンナバス、観覧車などのレトロな雰囲気のデザインカードなど全部で7種類が用意されています。記名式・無記名式が選択可能で、記名式を選択した場合、500円のデポジットが不要で、紛失時には残額が保証され再発行できます。電車とバスの利用時には約10%が割引され料金もお得に設定されています。また路面電車と都心循環バスに関しては、1日何回乗車しても300円という1DAYチケットサービスもあります。またシステムスタートから2ヵ月後には定期券対応システムが稼働しています。

おサイフケータイを利用した運賃支払い方式の「モバイルい~カード」はデポジット不要で、専用のサイトでお客様登録の手続き後、専用のiアプリをダウンロード、チャージすればすぐに利用が可能となります。

「ICい~カード」のチャージは、ICい~カードの取り扱い窓口、自動チャージ機、および電車・バス車内の端末で行います。また改札は駅に設置されたFeliCaリーダライタ式専用改札機を使用。カードをかざすだけで改札手続きが行われるゲートレス方式。導入コスト及びメンテナンス費用が一般的なゲート方式に比べ安くおさえられるのが特徴。路面電車、路線バスについては、運賃箱に設置されたリーダライタを使用。なお、各カードと改札機・リーダライタについては別メーカーが対応、富士通がこれらを取りまとめています。

システム構築にあたってもっとも配慮がなされたのは、鉄道・軌道・バス・タクシーといった異なる交通モード間での円滑な相互利用を確保する点です。また11月からは電車・バスの定期券サービスが加わるとともに、交通系カードシステムとしてだけでなく、グループのカードシステム、あるいは地域カードとしても利用されることを見込み、拡張性を持たせるよう配慮しています。

[図] システム構成図

導入の効果

幅広い年代層への手応えからシステム定着に自信

「ICい~カード」の定着は予想していたよりも早く、発売開始後6ヶ月で6万5千枚を発行。導入から日が浅く、利用客増についての詳しい分析はこれからですが、50代、60代の利用が予想以上に多いことが報告され、若年層だけでなく年配層にも着実に普及しているなど、良い手応えを得ているようです。これは、ICい~カードが乗客の使い勝手という面からも、乗車時に小銭を用意する手間がない、降車口が混雑しない、電車からバスといった乗り換えもスムーズで、簡単で便利だと幅広い客層に好評いただいているからです。

伊予鉄道のターミナル駅である松山市駅でも、ICい~カードを利用する方が多く見受けられます。ポール型で日本初の双頭式簡易改札機にカードを触れると、駅の入場時にはポーンという軽やかな音、出場時にはピコッというユーモラスな音が鳴ります。これも乗客に親しみを持たれるようにと作られたオリジナルの音です。松山市内では、各駅で、路面電車で、バスでこの音が響いています。

将来の展望

利用者サービス向上の第2ステージは地域に広く深く密着したカード事業

幸先の良いスタートを切った同社は、カード利用のエリアを運輸事業からさらに広げていくことで利用客の利便性を向上させようとしています。次のステップとして伊予鉄グループの百貨店のほか飲食・物販、各種のサービス利用を可能にしていく計画です。さらに地元の商店街や行政の観光施設との提携なども視野に入れ、公共交通利用促進と地域活性化を両立させる地域密着型カードシステムのあり方を創出していくといった、よりスケールの大きな構想も見えてきているようです。

【伊予鉄道株式会社様 会社概要】

所在地 愛媛県松山市湊町4-4-1
代表取締役社長 森本 惇 氏
設立 1887年(明治20年)9月
資本金 15億円
売上 114億9100万円(2004年度)
従業員数 958名
事業内容 鉄道/軌道事業。乗合/貸切自動車事業。土地建物事業、航空代理店事業など。
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