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導入事例
青果マーケット(丸果札幌青果様、東京青果様、名果様、大果大阪青果様、福岡大同青果様)

『青果マーケット』により、産地と卸間の取引がWEB上で可能に。
ITを活用した「情報取引」をキーワードに青果物取引の近代化を目指す。

[2006年1月24日 掲載]

導入事例キーワード
業種: 青果卸売
ソリューション: ECソリューション
ソフトウェア: インテグレーション・プラットフォーム Interstage、統合運用管理ソフトウェア Systemwalker
ハードウェア: PCサーバ(IAサーバ) PRIMERGY
課題と効果
1 旧来の青果物取引を、より近代的なものに。 インターネット上で産地と卸間で出荷以前に商談を進め、情報取引が行えるよう、WEBシステム「青果マーケット」を開発。
2 誰もが使え、真に役立つシステムを作りたい。 従来の取引からスムーズに移行できるよう、膨大な産地ヒアリングに基づいて、分かりやすくユーザーフレンドリな操作性を実現。
3 口約束中心の曖昧な取引を廃し、契約を基本とした正確な取引を浸透させたい。 操作手順の中に契約の流れを組み込むことで、取引の正確さを向上。また取引履歴は過去3年分をデータベース化し、容易に参照分析ができると共に、次の取引提案に引用して継続利用が可能。

東京都中央卸売市場の大田市場では、青果物の卸売会社や仲卸業者がここに本拠を置き、首都圏の台所をまかなうべく日々膨大な量の青果物取引を行っています。なかでも東京青果株式会社様は、年間取扱高約1,500億円にのぼる国内最大手の青果卸売企業です。同社は、江戸時代から400年近く続く青果卸売市場の伝統を継承しつつ、創業以来、東京都民への青果物の安定供給を使命として積極的に活動されてきました。それとともに青果物流通の近代化にも取り組まれ、様々な先進的な取り組みを進められています。その一つが「青果マーケット」。これは全国の各地域において主要な位置付けにある、青果卸売会社 5社(丸果札幌青果様、東京青果様、名果様、大果大阪青果様、福岡大同青果様)が集まって共同開発を進め、2004年11月に本稼働が開始されたECシステムです。

導入の背景

長い歴史を持つ反面、昔ながらの取引慣習が残る青果物取引

津田 和治
東京青果株式会社
情報システム部
副部長

青果卸売市場には、中央市場と地方市場があり、いずれも卸売市場法の定めのもとに商品の取引が行われています。大田市場に代表される中央卸売市場は全国に多数存在し、そこでは『産地』『卸売業者』『仲卸業者』『売買参加者』の4者間で、日々活発に取引が行われています。

そのなかで、産地から販売を委託された野菜・果実などを定められた手数料を得て、仲卸業者や売買参加者に販売する役割を担っているのが卸売会社です。昭和から平成に年号は代わるころまでの青果物の販売方法は、「競売(セリ)」がもっとも多く、セリで落札された青果物は、買い手である仲卸業者や売買参加者の手を通じて市場から配送され、スーパーや小売店の店頭に陳列され、消費者の手に渡っていきました。

「東京の青果卸売市場の歴史は古く、発祥は江戸時代初期、神田多町付近で野菜果物の『市』が起こった時点までさかのぼります。長い歴史を持ち、取引の面で古くからの伝統を受け継いでいるため、私たちのような卸売業者と、産地や仲卸業者・売買参加者との間で行われる取引方法にも古くからの慣習が色濃く残っていました。全国の主要な卸売市場も東京と同様に、地域に根ざした伝統と歴史を持っています。」と語るのは、東京青果株式会社 情報システム部 副部長 津田和治氏。

しかし昨今、産地の大型化、大型量販店の出現、輸入青果物の増大、食の外部化、コールドチェーンの発達など、卸売市場を取り巻く外部環境の変化によって、取引方法も競売(セリ)から相対取引が増えてきました。この相対取引には、市場に日々入荷された現物を見て話し合いのうえで価格を決めるケースと、産地が出荷する前に、買い手からあらかじめ予約注文を受け、産地に伝え確実に出荷してもらい販売するケースとがあります。後者は「予約相対取引」と呼ばれ、事前にいつまでに、何を、どれだけ納めるかを取り決める取引形態です。外食および中食業者やスーパーでは、安定的に青果物を調達しておきたいとのニーズがあり、最近ではこの「予約相対取引」のボリュームが増えています。

導入の経緯

青果物取引にも波及し始めた自由化の波

「しかし、伝統的な競売(セリ)に代わるこうした新たな取引形態も、じつは電話とFaxが使われており、IT化社会が進展する中では旧態依然の取引と言わざるを得ませんでした。また、これまでの卸売市場法の定めるところでは、青果物は必ず現物を市場に運び込み、品質や内容を確認した上で、競売や相対などによって価格を決めなければいけない大原則がありました。2005年の法改正によって、日頃安定的に出荷される青果物は、ネット取引を行えば必ずしも市場に運び込む必要はなく、直接実需者の物流センターや店舗に配送できるようになりました(商物一致規制の緩和)。卸売手数料の完全自由化が2010年に予定されるなど、青果物の取引も徐々に自由化が進みつつあります」と津田氏は説明します。

この潮流は、更なる物流コスト削減要求を生み、新しい取引形態開発を促すことになり、その結果として、効率的な流通の実現や新たなビジネスチャンスの拡大をもたらすことはもちろん、伝統的な青果物の取引自体を近代化させることにもつながっていきます。東京青果様など卸売会社5社は、こうした流れを予見するかのように、早くから市場の近代化という大テーマに取り組まれてきました。その一つが2004年に本稼働を開始した「青果マーケット」です。

システムの概要

産地のヒアリングを重ね、“誰もが使える”システムを目指す

「青果マーケット」は一言でいえば、計画的・安定的な取引を実現するために開発された、産地と卸会社間を結ぶECシステムです。このシステムが最初に検討されたのは2000年7月。5社のトップで検討組織を作ると同時に、ワーキンググループを結成し、産地のヒアリングを行いながら、具体的なシステム作りが進められました。

「これまで産地と卸会社間の取引は、予約相対取引を行うにしても電話とFaxが主体でした。そこにインターネットを活用した、新たなシステムを導入しようと考えたわけです。これまでは、いつ頃、どんな商品が、どのくらい欲しいということを電話とFaxでやり取りしていたわけです。きちんとした契約書などは無く、いわば口約束の世界でした。そこでインターネットを活用して、効率的で確実な“契約”の概念の入った産地の担当者と卸の担当者との商談の仕組みを作りたかったのです」(津田氏)。

2001年8月に試作を開始した「青果マーケット」の開発は、困難を伴う部分もありました。産地や卸の担当者は、永きにわたり受け継がれた委託出荷・競売という商習慣に慣れています。インターネットを使って、契約を前提とした取引を行うことに『どんな意味があるのか』『なぜ必要なのか』を産地や卸の関係者に丹念に説明しながら、どのような仕組みなら使いやすいかを繰り返しヒアリングし、システムのイメージを固めていきました。

そしてプロトタイプが完成したのは2002年10月。その後、さらに産地へのヒアリングを重ね、2003年1月からシステム全体を見直し、2003年12月に産地との試行運用を約1年間にわたり行いました。本稼働となったのは2004年11月のこと。「青果マーケット」は、産地ヒアリングから得た無数の声によって、考え得るベストなシステムとして運用をスタートしました。

「青果マーケット」のシステム構築に際して、開発チームがこだわったのは使い勝手のよさ。とくにレスポンスの速さにおいては、「3秒ルール」という基準を設け、ADSL環境下でも一画面の表示に3秒以上を要さない、スムーズな操作感を目指したといいます。そうした配慮がなされた背景には、これまでネット取引とは無縁であった青果物の取引現場に、このシステムが根付いて欲しいという開発陣の強い思いがあります。
さらに、「青果マーケット」の画面は、決められた手順に沿って操作するだけで、青果物の契約取引の流れが瞬時に理解できるように設計。契約の概念を画面上で体感するとともに、その必要性を啓蒙できるシステムであることが、設計思想の根底に据えられているのです。

具体的には、『提案』『交渉』『実績』の3年分の取引履歴をデータベースとして格納し、容易に参照分析できると共に、次の取引提案に引用して継続利用を可能にしたことや、交渉担当者が不在の時でもチーム内の他メンバーが代行運用できること、マネージャーによる状況把握や、管理業務にも対応できること、などの機能を装備しています。また、利用しやすさへの配慮から、取引担当者間双方向で、値決め方法の選定や商談期限の設定変更など、柔軟に運用できることや、ブラウザ以外の特別なクライアントソフト、専用端末などが不要なことも特長になっています。

[図] 提案から販売実績把握までの全体イメージ図

「青果マーケットは5社の共同プロジェクトであり、各社の電算担当者が集まりベンダー各社の提案内容を詳細に比較しました。ハードウェア、ソフトウェア、ネット取引の仕組み、コストなどをシビアな目で比較検討した上で、なおかつ実績の豊富さなどを評価し最終的には富士通を開発パートナーに選びました。ハードウェアからミドルウェアまでを、トータルに提供可能な点はサポート面での安心感にもつながりました」(津田氏)

[図] システム構成図

今後の課題

「青果マーケット」を業界標準のECシステムに

さらに「青果市場には通常のビジネスにはない独特の商慣習や言葉遣いがあり、それを一から理解した上でシステム構築に反映していくのは容易ではありません。市場取引のノウハウを理解できるSEが少ないのはそのためです。東京青果が富士通とパートナー関係を結んで35年が経ちますが、その中で培われた信頼関係も大きいと思います。ただ、オープン系の技術が主流になった今日、日々技術を磨く努力は不可欠で、我々情報システム部担当者とパートナー会社のSEが切磋琢磨して、よりよいシステムを作っていかなければいけません」と津田氏は今後の課題について語ります。

青果物の取引においても、“契約”に基づいた取引が行われることは、必ず波及的効果につながっていくことでしょう。そしてそのために、できるだけ多くの利用者に参加してもらいたいというのが、今回のプロジェクトの根底に流れる思想です。卸売会社5社の共同プロジェクトとして開発がスタートし、本稼働から約1年が経過し、現在は卸会社11社と全国の県連17団体が参加するまでに普及しています(2005年12月現在)。
また、青果マーケットシステムは、全国の中央卸売市場内で営業する卸売会社が加盟する、社団法人全国中央市場青果卸売協会が現在運営を担当しています。

青果物の安定供給と価格の安定化に貢献し、多くの消費者が求めている食の安全・安心・品質、さらにはこだわりの食材といった付加価値の創造にも、寄与していけるのではないかと期待を語られる津田氏。今後は「青果マーケット」を、利用者からの様々な要望を吸収し、システムの改修を継続的に実施しながら、業界標準の取引システムに育てるべく努力していきたいと語られました。
富士通は、豊富な業務ノウハウと先進の技術力で、お客様のニーズに合った最適なシステム作りをサポートしていきます。

【企業概要】

東京青果株式会社

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