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導入事例
財団法人癌研究会有明病院様

患者中心の臓器別診療を支える電子カルテシステムを構築
情報の共有により医療の質と安全性の向上を実現

[2005年6月23日 掲載]

導入事例キーワード
業種: 医療
ソフトウェア: 電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-EX」(ホープ イージーメイン イーエックス)、統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」(システムウォーカー)
ハードウェア: UNIXサーバ「PRIMEPOWER」(プライムパワー)、IAサーバ「PRIMERGY」(プライマジー)、ストレージ「ETERNUS」(エターナス)
課題と効果
1 臓器別診療によるチーム医療のベースとなる診療データの共有 電子カルテシステム導入により、医師、医療スタッフ等が必要なとき即座に電子カルテを参照可能に
2 医療過誤の防止、医療の安全性の向上 患者に装着されたリストバンドのバーコードにより、検査室や手術室の認証、薬剤投与の際の認証を実現し医療過誤の防止へ
3 医療研究のための診療データの活用 電子カルテシステムに日々蓄積されるデータを活用した医学研究支援システムを実現

明治41年(1908年)に「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」という高い理想のもとに発足した癌研究会は、昭和9年(1934年)に日本最初の癌医療専門施設として研究所と附属病院を開設しました。以来70年以上にわたり基礎研究と臨床研究が一体となった活動を通じて日本の癌研究と診療をリードしてきました。
2005年3月1日、癌研究会附属病院は、施設の老朽化に伴い、豊島区から江東区有明の臨海副都心に全面移転し、財団法人癌研究会有明病院(癌研有明病院)様が誕生しました。この新病院施設への移転を契機に、患者中心の臓器別診療によるチーム医療の実現や医療の安全性の向上、業務の効率化等を目的として、電子カルテシステムを中心とする総合的な医療情報システムを構築。新医療情報システムの核となる電子カルテシステムに採用されたのが、豊富な実績をもつ富士通の電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-EX」です。また、医事会計、臨床検査、経営支援など多くのシステムを富士通が構築しています。
富士通は、癌の最先端医療を実践する癌研有明病院様をはじめ、日本の医療の新たな可能性の創造を先進技術と総合力を駆使して支援しています。

導入の背景

臓器別診療によるチーム医療の実現に電子カルテシステムは不可欠

林 三樹
財団法人癌研究会
医事部 情報システム課 課長

田中 正典
財団法人癌研究会
医事部 情報システム課 係長

医療の進歩により癌が治る病気になりつつある中、社会の高齢化による癌患者数の増加、生活様式や環境を反映した癌の様相の変化など、日本の癌医療の最先端に立つ癌研有明病院様の役割はますます大きなものとなっています。
美しい海を臨む有明の地に立つ新しい施設には、癌研有明病院様をはじめ、研究所、化学療法センター、健診センター、看護学校が一体となり、癌医療の未来へ向けた新たな取り組みが行われています。その新たな取り組みの柱の一つが、臓器別診療によるチーム医療であり、それを実現する上で欠かせないのが電子カルテシステムによる情報の共有です。

「臓器別診療とは、従来の診療の枠を越えて臓器別(疾患別)に医師や医療スタッフを集め、チーム医療を徹底させるものです。通常、患者さん自身が必要に応じて各科外来を行き来しています。臓器別診療ではドクターのほうで患者さんのところに移動してきます。そのために、呼吸器、消化器、レディース、前立腺と4つのセンターを設立し、各センターに内科、外科、放射線、化学療法等の専門医を集め、必要なときに呼ぶとすぐに来てもらえるように動線をつないでいます。こうした臓器別診療を実現する上で欠かせないのが電子カルテシステムによる診療データの共有です」とシステム導入委員会のメンバーとして活動した、財団法人癌研究会 医事部 情報システム課係長の田中正典氏は語ります。
田中氏はさらに「医師のチームワークだけでなく、看護師、薬剤師、検査技師、栄養士、医事課など診療に関わる職員が職種の専門性を医療に反映し、質の高い医療サービスを提供するためには、どこからでもカルテを参照できることが必須条件でした」と続けます。

導入の経緯

前オーダリングシステムでの実績と、電子カルテシステムの豊富な導入実績を評価

電子カルテシステムは癌研有明病院様の生命線ともいえるものです。それだけに3年近い時間をかけてじっくりと選定しました。
「システム導入検討のためのワーキンググループで、電子カルテシステムを導入している他病院の見学や、メーカーからの様々な提案などを参考に検討を重ねました。富士通は導入実績が最も豊富であり、新システム導入前のオーダリングシステムでもご協力いただいていましたので安心感もありました。そこで富士通と、あともう一社に絞り、最終的に富士通に決まりました」(田中氏)

構築期間は2年間。2005年3月1日の新施設スタートの日はシステム稼動の日でもあります。患者への治療に関わることなので絶対遅らせることはできません。そのためには院内の連携とともに同院と富士通との連携も重要なポイントとなりました。
「導入のプロセスで最も苦労した点は、ワーキンググループの意見と富士通からの提案のすり合わせでした」とシステム導入委員会のメンバーとして活動した、財団法人癌研究会 医事部 情報システム課 課長の林三樹氏は振り返ります。「臨床で忙しい中、ワーキンググループを進めていくために、病棟や各部門から選出されたシステム担当の専任看護師5名と情報システム課が一緒になっていろいろなとりまとめに当たりました、また富士通にはピーク時で約80人の開発体制をとっていただきました。旧病院は場所の確保ができず、プレハブを建ててそこで夏の暑い最中もがんばっていただきました」(林氏)
田中氏も「今回はオーダリングシステムという実績の上に新しいものを創造していくというかたちをとれたことが大きなアドバンテージとなりました。膨大なデータの移行もスムーズに行えました」と付け加えます。

システムの概要

電子カルテシステムを中心に総合的な医療情報システムを実現

電子カルテシステムのソフトウェアには富士通の「HOPE/EGMAIN-EX」を採用。高機能、高信頼のUNIXサーバ「PRIMEPOWER」、IAサーバ「PRIMERGY」、ストレージ「ETERNUS」のハードウェア構成でシステムの安定運用を支えています。また、癌研有明病院様では電子カルテシステムを中心に総合的な医療情報システムを実現。その中で、医事会計、レセプト保管、細菌検査、健診、輸血管理、治験管理、経営支援、物流など多くのシステムを富士通が構築し、PHS呼び出しシステムなど他システムとの連携も図っています。

[図]癌研究会有明病院様 医療情報システム全体概要図

新システムによる癌研有明病院様の診療スタイルとはどのようなものか。患者情報の流れに沿って見てみましょう。外来患者は手渡されたPHSにより呼び出しを受けます。診療室等の外で名前を呼ばれることは原則的にありません。院内であればどこで待っていても大丈夫です。問診票はマークシート方式で、OCRにより自動的に電子カルテに入力されます。目を入院患者に転じると、リストバンドのバーコードよる様々な認証を行っています。例えば、薬剤投与の場合、リストバンドのバーコードと薬剤のバーコードを照合し、誤った薬の場合はノートパソコンにバツ印が表示されます。手術室や検査室への入室の際もリストバンドのバーコードを読み取って認証を行います。また電子カルテに添付された患者の顔写真による本人確認も実施しています。

一方、院内の医療業務では電子カルテシステムの付箋機能の活用によりカンファレンスの効率化も実現しています。「電子カルテ上で付箋をつけておけばその付箋をクリックするだけで必要なページを開けます。資料作成も容易になり、スライドショーも効果的に利用できます」(田中氏)

セキュリティ面について林氏は「まず電子カルテとインターネットとは物理的に離しています。また、電子カルテは常に操作ログを管理しており、必要なとき以外にはアクセスしないという意識の徹底を今後、一層図っていきます」と語ります。

導入の効果

診療データの共有により患者中心の医療スタイルを確立

「診療データの共有による医療の質の向上は着実に進んでいます。ドクターは疑問が生じたときに瞬時に電子カルテをもとに専門医の意見が聞けます。患者さんも日本語で書かれている電子カルテを見ながらドクターの説明が受けられます。チーム内で情報を共有しながら患者さんも一緒になって治療を進めていくスタイルができました。また従来、医局では病棟まで行って指示棒なりに指示を書いて伝達していましたが、医局からも電子カルテシステムを通じて指示を出せるので伝達の精度や効率化の向上も図れています」(田中氏)

電子カルテシステムには日々の診療行為がそのまま臨床データとして蓄積されていきます。それをいかに活用していくか。この点も重要なテーマでした。
「研究所をもっている癌の専門病院ですから、電子カルテシステムのデータを活用する医学研究支援にも力を入れています。データの入力支援とともにデータの後利用のために、440枚のテンプレートをドクターたちに作成していただきました。また、データ検索用のサーバを別にし、そこからデータの検索、抽出を行うようにしています。データの抽出はまだ始めたばかりです。これからしっかりと洗練させていきたいと思います」(林氏)

将来の展望と富士通への期待

他病院とのデータ共有、国際化への対応も視野に

今後について田中氏は「当面は新システムの習熟が第一です。レスポンスも気にしていましたが、いまのところは問題ありません。富士通には今後もメンテナンス等のサポートをお願いしたいと思います。次の目標としては他の病院とのデータ共有があります。富士通にはマスターの統一等にも一層取り組んでいただきたい。また、海外への情報提供や海外の患者さんの受け入れなど国際化への対応も視野に入れています。当院の電子カルテはいま日本語中心なので多言語ニーズへの対応も期待しています」と将来を見据えています。

厚生労働省では、2001年の「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を基に、目標を掲げ、医療のIT化を推進しています。富士通では電子カルテシステムをはじめ医療情報システムの浸透のために技術力、総合力を駆使するとともに、各メーカーと共同で共通仕様に向けた取り組みも積極的に行っています。これからも富士通は癌研有明病院様をはじめ医療の可能性を拓く新たな取り組みをしっかりと支えていきます。

【会社概要】

財団法人癌研究会有明病院

  • 所在地: 東京都江東区有明(東京ビッグサイト前)
  • 院長: 武藤徹一郎(元東京大学附属病院長)
  • 建物規模: 地上12階、地下2階
  • 病床数: 700床
  • 外来患者数: 1日2150人(想定値)
  • 従業員数: 約900人
  • オープン: 2005年3月1日
  • 開院: 癌研究会附属病院開院は昭和9年(1934年)、癌研究会発足は明治41年(1908年)
  • 診療部門: 疾患別がん診療/がん総合治療/一般診療/中央診療/臨床検査
  • 基本方針:
    1. 新しいがん医療の創造に努めます。
    2. 安全かつ質の高いがん医療を提供します。
    3. 患者さん中心の親切ながん医療を行ないます。
    4. 臓器別診療に基づくチーム医療を目指します。
    5. 人間性豊かな医療人の育成に努めます。
  • ホームページ: 「財団法人癌研究会有明病院」ホームページ

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