導入事例
近畿日本ツーリスト株式会社様
支店系POSシステムを全国拠点に展開し
総合プロデュース業としての戦略ツールに
[2004年11月16日 掲載]
(本導入事例のシステムは、株式会社野村総合研究所様(以下、「NRI様」と記す)の新会計システム構築に関するシステムインテグレーション(以下、「SI」と記す)により提供され、当社は、支店系POSシステムの開発と製品提供を実施いたしました。)
| 導入事例キーワード | |
|---|---|
| 業種: | 旅行業 |
| ソリューション: | 支店系POSシステム |
| 製品: | IP-VPNサービス「FENICSビジネスIPサービス」、VoIPゲートウェイ「GeoStream Si-Vシリーズ」、ネットワークサーバ「IPCOM」、UNIXサーバ「PRIMEPOWER」、IAサーバ「PRIMERGY」、ストレージ・システム「ETERNUS」 |
| 課題と効果 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 1 | 全国の店舗毎にあったPOSシステムなど、既存ITインフラのコストが増大 | 店舗にPOS用サーバを持たず、Web利用でマスター配付することで、店舗毎のシステムとサーバの運用を撤廃。IT資産のトータルコストを大幅削減。 | ||
| 2 | 旧システムの老朽化・陳腐化の解消と、ネットワークインフラコストの削減 | 基幹系と情報系のネットワークを富士通のVoIPゲートウェイとFENICSで統合して、回線の冗長性を実現。あわせて全拠点の内線電話化を実現するなど、大幅な通信コスト削減を実現。 | ||
| 3 | 各店舗の詳細なキャッシュフローを把握して経営を効率化 | 支店系POSシステムの利用で日々の営業情報、全店舗のキャッシュフローをリアルタイムで把握でき、営業戦略を即座に実践可能に。 | ||
旅行業最大手のひとつ近畿日本ツーリスト様は、来年創立50周年を迎えます。ビジネス環境が大きく変化する中、「脱総合旅行業~プロデュース業への転換」を目指しています。その一環として2004年1月から、NRI様のSIにより全国に展開する400に上る営業店舗のPOS会計システムをFENICSビジネスIPサービスを利用してNRIデータセンターに一括統合し、リアルタイムな新経営戦略を展開しています。また、回線コストを抑えるため支店系ネットワークの構成と運用をブロードバンド回線に転換することで、大幅なコストダウンを実現しました。先進的な会計システム統合と支店業務の効率化で、一層の顧客サービス充実を目指しています。
導入の背景
激動するビジネス環境を乗り切るための新戦略が必要

瓜生修一氏
近畿日本ツーリスト株式会社 経営企画部課長
この数年来、世界規模で進行するビジネス変動による重圧は、旅行業界にも厳しくのしかかってきています。政情不安やSARSの影響など、旅行業を取り巻く環境はまったく予断を許さない状況にあります。ところが一方で、旅行に対するユーザーの期待は一層多様化し、業界の競争は激化の一途をたどっているといえるでしょう。
近畿日本ツーリスト様では、経営基盤をはじめとして営業面での重点分野と競争力の強化など、経営と事業の大幅な見直しに取組んできました。その一環として、ITコストの大幅削減とさらなる情報の集約化のために、支店系POSシステム(注1)の刷新をNRI様によるSIのもと実施されました。数百に上る拠点のPOSシステムを、フレッツ回線を経由し、Webブラウザを利用してセンターに集中させる、という大胆な発想には、各界からも大きな注目が集まっています。
「われわれが今目指しているのは脱・総合旅行業。これまでは1枚の切符から団体旅行まで、トータルに旅行をサポートしてきました。しかしこれからは、チケット予約や発券などはWebや携帯電話に取って代わられるはずです。そこでわれわれはイベントやコンベンション、コングレスなど、いわゆるECC(注2)の分野をプロデュースしていく業態に大きく転換していこうとしています。また個人旅行向けには、ブランド商品のブランド力を強化していくつもりです」、今年度発表された近畿日本ツーリスト様の新アクションプランの概要について、経営企画部課長 瓜生修一氏はこう語ります。
新アクションプランの中で、支店系POSシステムはどういう位置づけにあるかと言えば、「新しいPOSシステムの導入により各店舗の売上の数字をリアルタイムに把握することで、店舗でおもに展開している個人旅行の売れ筋を捉えていこう、と言うのが今回のPOSシステム導入のひとつのコンセプトでした」(瓜生課長)。
導入の経緯
POSシステム導入の足がかりは通信回線の一新から
昨年4月、近畿日本ツーリスト様は、それまでのINS回線(注3)とフレームリレーを使ったWANによる全社ネットワークを、B-フレッツとADSLに変更。ネットワークインフラの刷新に踏み切りました。旧来はFENICSフレームリレーサービスをベースに、基幹系(予約・発券業務)と情報系(イントラネット)を構築していました。しかし情報系アプリケーションの活用が増すことで基幹系にレスポンスの低下が見られるなど、課題も山積していました。
また従来のPOSシステムは、7年前の1996年に導入したもので、陳腐化も取りざたされ、システム更新の時期でもありました。
「POSシステムについては、旧来のクライアント・サーバ方式を止めて、Webブラウザ方式を利用にしようと当初から考えていました。つまり私が考えた基本コンセプトは、支店からPOSデータをブロードバンド(注4)を経由してセンター集約にできないか、というもので、これをNRI、富士通に提示したのです」と、開発当時を振り返りながら瓜生課長は語ります。
昨年のネットワーク再構築では、業務毎にアクセス回線を使い分け、
- 基幹系は狭帯域でもレスポンス性能と回線品質を保証する
- 情報系はトラフィック増加に対応できるよう広帯域を確保する
- トータルの通信コストを削減する
という方針で行われました。そうした回線インフラの再構築が前提となって、今回の支店系POSシステムの一括統合化が実現したと言えます。
「トータルコストの大幅なダウンはほぼ確実です。われわれは全国に約400カ所の営業拠点を持っていますが、そのうち直営は280店舗、ツーリストサービスと称する子会社が120店舗です。これらの拠点にあったPOS業務を包含した数百の経理サーバがなくなったわけですから」(瓜生課長)。
システムの概要
店舗がサーバを持たないメリットは絶大
近畿日本ツーリスト様は支店系POSシステムの導入に合わせて会計の制度も抜本的に変更されました。これまでの純額主義から総額主義という新しい制度にしました。さらに2005年以降からの4半期決算公開の開始に対応するため、素早い決算の仕組みが必要でした。それをNRIデータセンターによる集中管理運用によって実現するのが支店系POSシステムです。
「もちろん、旧POSシステムの更新時期に当っているというのが今回のシステム導入の最初のきっかけです。しかし、システムの陳腐化というばかりでなく、根本的に会計制度を改革し、時代にあった体制そしてシステムを1年以内で実現する、というのが至上命題でした。もちろん制度改革にともなう混乱はありましたが、改革に混乱はつき物です。稼動して1年足らずですが、現在の仕組みに満足することなく現場の意見を汲み取りながら日々操作性の向上を実現していきます。もちろん予算もありますが。(笑)」と、終わることのない挑戦への決意を瓜生課長は語ります。
FENICSネットワークを使った支店系POSシステムの概要は、400カ所の店舗それぞれにPOS端末を設置し、店舗で成約した商談毎にタッチパネルでデータを入力されます。店舗の入力データは、ネットワークを経由してリアルタイムでNRIデータセンターに集約されます。昨年導入したVoIPゲートウェイ(注5)で全拠点の内線電話化も可能になり、音声とデータの統合ネットワークも本格稼働しました。センターのデータベースはクラスタ構成(注6)でUNIXサーバ「PRIMEPOWER」(2台。内1台はクラスタ構成の待機用)、IAサーバの「PRIMERGY」、ストレージ・システム「ETERNUS」という構成になっています。
「特に重要なのは、店舗にサーバを持たないために、店舗でシステムがクラッシュすることはあり得ない、と言うことです。システムはNRIデータセンターに設置しているので、改修はすべてセンター側で行えます。店舗側はシステムディスクを持つ必要がなく、Web経由でダウンロードするだけです。これまでは店舗のPOSが障害を起した場合、機器やデータの復旧に時間を要していました。こう言った保守運用上のメリットを考えると、その効果は計り知れません。サーバを持たないということは、コスト的にも業務的にもそれらのメンテナンスから解放されるということを意味しているわけですから」と、新システムの利点を瓜生課長は強調します。
将来の展望
チャレンジはまだまだ続く
ネットワークに掛かるコストで年間1億円余り、店舗サーバコストで同じく数千万円余が、今回の新システム導入の結果、削減されると予想されています。メンテナンスや機器の処分など、ライフサイクルで見たトータルコストの観点からすれば、それ以上のメリットも挙げることができるでしょう。他にも、たとえば売れ筋商品をタイムリーに見極める、面倒な会計業務に煩わされることなく各店舗がコア業務に集中できるなど、営業企画面でのメリットはまだ未知数の段階です。
「操作性の向上はこれからももっと進めていきます。そしてWebブラウザ方式利用ということからくるセキュリティ面での不安に対しても、これまで以上に万全の策を取るつもりです。今は販売端末とPOS端末が別になっていますが、将来的にはPOSシステムそのものがなくなって、POS端末そのものが、販売系端末と融合して一体化するのではないか」と、将来に向けての抱負を語る瓜生課長でした。
近畿日本ツーリスト様の革新的なPOSシステムには、NRI様のSIのもと、富士通の先進的なIT基盤コンセプト「TRIOLE(トリオーレ)」に基づく製品群が採用されています。富士通はこれからも、先進の技術でお客様の未来に向けたチャレンジをサポートしてまいります。
【会社概要】
近畿日本ツーリスト株式会社
- 所在地: 〒101-8641 東京都千代田区神田松永町19-2
- 代表取締役社長: 太田 孝
- 創立: 1955年(設立:1950年)
- 売上: 5,961億4,100万円(平成15年度)
- 従業員数: 5,277名(2004年5月1日現在)
- 事業所: 国内239カ所、海外36都市43拠点25事務所
- 事業内容: 総合旅行業。新アクションプランでは、プロデュース業への転換を図り、ECC分野への取組み強化と、個人旅行でのCRM戦略の推進、ブランド力強化を目指す。
- ホームページ: 「近畿日本ツーリスト株式会社」ホームページ
【お問い合わせ】
用語解説
- 注1: POSとPOSシステム
- 販売時点情報管理(Point of Sale)のこと。コンビニエンスストアなど、チェーン店が採用している販売店向けIT機器とシステム。商品がレジスターを通過する時点で、即座にセンターに販売情報が送られる仕組み。
- 注2: ECC
- イベント(Event、催事)、コンベンション(Convention、国際会議)、コングレス(Congress、大会)の略。
- 注3: INS回線
- NTTが1988年4月に開始した日本版ISDNサービス。ISDNは総合デジタル通信網のこと。
- 注4: ブロードバンド
- 高速でデータ通信ができる広帯域通信方式を指す一般名称。旧来のアナログ回線やISDNに対して、具体的にはADSLやケーブルテレビ、光ファイバー通信などを指して用いられている。
- 注5: VoIP(ブイ・オー・アイ・ピー/ボォイップ)
- Voice over IPの略。IPネットワーク上で音声通話を可能にする技術。一般的には、LAN同士をデータ通信網で繋ぎ、電話対電話で通話を可能にするシステムを指す。
- 注6: クラスタ構成
- 数台のサーバを連結して1台のサーバのように機能させる方式。クラスタ(cluster)とは群れ、房、かたまりの意。
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

