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導入事例
株式会社東京三菱銀行様

キャッシュカードのセキュリティが変わる。
世界初、非接触型「手のひら静脈認証」でATM利用。

[2004年10月27日 掲載]

導入事例キーワード
業種: 金融
ソリューション: セキュリティ
製品: 非接触型手のひら静脈認証ユニット、非接触型手のひら静脈認証ユニット付きATM
課題と効果
1 偽造カードやなりすましなど増大する金融被害への対応 本人認証のもとになる手のひら静脈パターンは体内にあるため他人にわかりにくく偽造やなりすましはおおよそ不可能。お客様にさらなる安心感を提供
2 「手のひら静脈認証」照合装置の使いやすさとコンパクト化 お客様が直接手で触れない非接触型により心理面、衛生面での不安を払拭。手をかざすだけというわかりやすさ、コンパクトでスッキリしたデザインがお客様に好印象を実現
3 銀行内で生体情報を保有しないセキュリティの確立 生体情報をICチップ内に格納。お客様の生体情報は銀行内で保有しないという東京三菱銀行様のポリシーをかたちにし、個人情報保護のニーズに対応

2004年10月12日、金融界の歴史に新たな1ページが開かれました。東京三菱銀行様よりデビューしたスーパーICカード「東京三菱-VISA」は、キャッシュカードの本人認証において富士通の非接触型「手のひら静脈認証」を採用し、店頭窓口はもとより世界で初めてATMでの利用を実現しました。
東京三菱銀行様では、偽造カードや盗難通帳を用いた不正取引が社会問題化する中、お客様の預金を守るための最高レベルのセキュリティとしていち早くバイオメトリクス(生体認証)技術(注1)の採用を検討。技術面はもとより、わかりやすさ、利用者の心理的、衛生的な面も含め、最終的にはお客様の声をもとに非接触型「手のひら静脈認証」を選択。新カード発売当初、東京三菱銀行様の全260店舗に照合装置が設置され、年内には店舗外出張所にも照合装置搭載ATMが1台ずつ設置される予定です。
キャッシュカードのセキュリティを変える「手のひら静脈認証」を業界標準へ。日本の消費者がより安心してキャッシュカードを利用できるように、東京三菱銀行様とともに、富士通はこの分野のパイオニアとしての使命を果たしてまいります。

導入の背景

「安心して利用できるキャッシュカードを」お客様の声に応えるために

玉井泉
常務執行役員
総合カード・クレジット事業部長


難波功
総合カード・クレジット事業部
カード戦略グループ次長

カードのスキミング(不正読み取り)による偽造カードを使った預金被害や、盗難通帳を用いたなりすましといった不正取引が増大し社会問題化しています。金融機関に対しセキュリティ強化を求める消費者の声も日増しに高まっています。
「安心して利用できるキャッシュカードを、というお客様のお声になんとかお応えしたい。金融不安が広がる状況をもう一刻も放置できない。「お客様の預金を守る」という一念で、去年の秋頃から銀行の取引業務におけるバイオメトリクス(生体認証)技術を利用するための調査、検討を進めてきました」と今回のプロジェクトを推進してきた総合カード・クレジット事業部長の玉井泉氏は振り返ります。

生体認証技術は身体的な特徴などから本人を特定する最先端の本人認証技術です。店頭やATMで本人だけが利用できる高度なセキュリティの提供は、公共的な役割を担う東京三菱銀行様にとって社会の要請にいち早く応えるものです。またお客様の求めるものをサービスというかたちにして提供することは事業戦略においても非常に重要です。
「今回のICカードは、安全性面でお客様のさらなる信頼に応える「手のひら静脈認証」を採用したキャッシュカードに加え、クレジットカード、電子マネーをひとつにしています。この多機能ICカードを起点としたサービスの拡大を図っていきたい」(玉井氏)
東京三菱銀行様の新しい試みは、キャッシュカードのセキュリティに変革をもたらすとともに、金融界のICカード戦略において新しいビジネスモデルとなるものです。

導入の経緯

お客様が非接触型「手のひら静脈認証」を選択

種田泰幸
総合カード・クレジット事業部
カード戦略グループ調査役

「技術的な検討をすべて行った上で最終的に、手のひら静脈認証、指静脈認証、指紋認証の3つに絞りました。金融業にとって大事なのはお客様のお声です。3つの手法について都内8店舗にデモ機を設置し、お客様に実体験して頂きました。お客様に最も選ばれた手法が「手のひら静脈認証」でした」と玉井氏は導入の経緯に触れます。
「この手法を受け入れる」というお客様の評価は3つの手法すべてで8割を超え、「手のひら静脈認証」は9割でした。「大切なことは支持されなかった方々のお声です」と玉井氏は指摘します。さらに続けて「若い女性のお客様のお声に、人がさわったあとにさわるのは嫌だというのがありました。高温多湿の日本では極めて重視しなければならない要素です。また中高年のお客様の中には指紋認証に対する拒否反応もありました。多くの方々が受け入れ、決定的な拒否者がいないのが非接触型「手のひら静脈認証」でした。利用場面を想定してもいちばんスマートだというお客様からのご意見も頂きました」(玉井氏)

非接触型「手のひら静脈認証」は富士通研究所が世界で初めて開発。生涯不変、万人不同といわれ、なおかつ体内にあるため他人にわかりにくい特徴を持つ静脈パターンを利用し、操作の簡便さはもちろん、直接手で触れない非接触型であるため利用者の心理的、衛生的な面での抵抗感も払拭できる等、様々なメリットから幅広い分野で利用が拡大しています。
「お客様が自分で操作するATMでの利用においては、非接触型「手のひら静脈認証」の手をかざすだけというわかりやすさはとても大事なポイントです。お客様にとってはわかりやすさと清潔感。銀行にとってはお客様の支持を得ること。その点をいちばん重視しました」と総合カード・クレジット事業部カード戦略グループ 調査役の種田泰幸氏は語ります。

システムの概要

お客様の生体情報はICチップ内にのみ保有

「お客様の大事な預金を守る認証技術ですから、富士通にいちばんお願いしたのは本人認証の精度を上げることです。「手のひら静脈認証」はまだ新しい技術なので実証実験を重ね、サンプル数を集めてほしいとお願いしました。また当行でも行内のいくつかの扉に「手のひら静脈認証」照合装置を設置し、実際に使用して集めたデータを提供させて頂いています」と総合カード・クレジット事業部カード戦略グループ 次長の難波功氏は語ります。

今回は照合処理をICチップ内の情報で行うという課題もありました。そこには東京三菱銀行様のポリシーがありました。
「個人情報保護の観点から、お客様の生体情報は銀行が保存・管理しないというのが当行の方針です。お客様の生体情報は銀行のサーバやホストコンピュータに保存するのではなく、お客様の持っているICカードのICチップ内にのみ保有することになります」(玉井氏)
限られたICチップの能力のなかで照合処理を行うことから、照合時間も課題となりました。
「ATMでの取引時間について、富士通の協力のもと、アプリケーションの開発担当のATMメーカーも巻き込み、各工程でコンマ何秒の短縮を実現することで納得できるスピードを達成できました」(種田氏)

照合装置のデザインについても「店頭窓口はもとよりATMという限られたスペースで利用できるように無理な注文もお願いしました。コンパクトで使いやすく、見た目にもスッキリとした完成度の高いものになりました」と種田氏は自信をもって語ります。

[図] ICキャッシュカードと静脈情報での取引

導入の効果

発売前からお客様の間で高い関心

非接触型「手のひら静脈認証」を採用したスーパーICカードは、発売前からお客様の間で高い関心を集めていました。
「デモ機で実体験して頂いたお客様からは、早く販売してほしいという数多くのお声を頂戴いたしました。また9月の記者発表後、まだ発売前にも関わらず、お客様が申し込みに来店されるなど想像以上の好反響の中でのスタートとなりました」(玉井氏)
スーパーICカード「東京三菱-VISA」は、申込み後、二週間程度(最短7営業日)でICカードがお客様の元に送られてきます。この段階ではまだ手のひら静脈認証の情報は入っていません。ICカードを持参のうえ、店頭窓口で登録すると店頭やATMで利用可能になります。また登録者本人はもとより代理人一名も登録可能な仕組みとなっています。

発売当初、全260店舗、2000の窓口に「手のひら静脈認証」照合機を設置。また、有人店舗に照合装置搭載ATMを260台設置。年内には約370ある無人店舗に1台ずつ、照合装置搭載ATMが設置される予定です。
「アンケートの実施等で銀行に対してより高度なセキュリティを求めるお声の多さに、「手のひら静脈認証」への手ごたえを一層実感しました。今回、「手のひら静脈認証」の採用はゴールドプレミアムという最上級カードでスタートしましたが、来年の春にはカードの種類を増やしていきます。また世界で初めての実用化となった、接触ICとFeliCa仕様の非接触ICを搭載の「デュアルインターフェースICチップ」を使った様々なサービスの提供も含め、年間100万枚獲得に向かって積極的に活動していきます」と玉井氏は将来を見据えています。そして「もちろん「手のひら静脈脈認証」を使用するか、使用しないか。その選択権は常にお客様にあります」と付け加えます。

将来の展望

「手のひら静脈認証」の敷衍(ふえん)

「手のひら静脈認証」による本人認証は従来の銀行業務フローにはなかったものです。その象徴的なものが印鑑の不要です。業務マニュアルの変更など新しい手続きや考え方の現場への浸透はもとより、預金者に新しい文化への理解と共感を育むことも必要になります。
昭和40年代、日本で初めて磁気ストライプカードの実運用を全店舗で展開したのは旧三菱銀行でした。「新しい試みですから前例のない問題もでてくるでしょう。そのときも互いにパイオニアとして協力しあい課題を克服していきましょう」と玉井氏は富士通にエールを送ります。さらに「ICカードでの「手のひら静脈認証」の利用については独占する考えはありません。運用面も含めて他行等からの協力要請にもしっかりとお応えしていきます。富士通にも日本の金融界のために働く気概をもって対応していただきたい」と語ります。

「手のひら静脈認証」を採用したICカードの登場は金融新時代を拓くエポックメーキングな出来事です。富士通は、先進のセキュリティ技術に磨きをかけ、ユビキタス社会の「安全と安心」を支えてまいります。

【会社概要】

株式会社東京三菱銀行

  • 所在地: 東京都千代田区丸の内二丁目7番1号
  • 頭取: 畔柳信雄
  • 設立: 大正8年8月25日(明治13年創業)
  • 総資産: 87兆6,866億円
  • 資本金: 8,719億円
  • 店舗網(16年6月1日現在): 国内267(本支店248、出張所19) 海外73(支店43、出張所14、駐在員事務所16)
  • 長期格付(16年6月現在): A2(Moody's)、A-(S&P)、A-(FITCH)、AA(JCR)、AA-(R&I)
  • 事業内容: 預金業務/貸出業務/商品有価証券売買業務/有価証券投資業務/内国為替業務/外国為替業務/社債受託および登録業務/金融先物取引の受託業務/付帯業務
  • ホームページ: 「株式会社東京三菱銀行」ホームページ

【お問い合わせ】

用語解説

注1: バイオメトリクス(生体認証)技術
指紋、目の虹彩、顔など身体外部の特徴、血管、DNAなど身体内部の特徴、筆跡、声紋など行動的な特徴を用いて個人を識別する最先端の本人認証技術。

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。