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導入事例
島根県斐川町立図書館様

人にあたたかい図書館が誕生
百年の計を支えるのは富士通のIC技術

[2004年5月19日 掲載]

目次・要約

【導入の背景】 住民の地道な活動が実り、利用者にやさしい図書館が実現
住民の根強い要望で実現した町立図書館は、世代を超えて愛される文化創造とコミュニケーションの拠点に。
【導入の経緯】 思わぬ事件をきっかけに、IC図書館構想が急浮上TMを選択
はじめは計画されていなかったIC図書館。不正図書持出防止対策の最善策としてIC技術の採用が俎上にのぼる。
【システムの概要】 一歩先を行く富士通の図書館システム開発が採用の決め手
ICタグの導入で図書館業務が飛躍的に効率化。自動貸出装置やインターネット上の図書検索システム(Web OPAC)も、利用者には予想以上に好評。
【今後の展望】 住民に親しまれる図書館は、IC技術でさらに成長
上質な利用者サービスと新鮮な図書の提供が図書館の使命。より使いやすく魅力的な図書館の実現にIC技術は欠かせない存在となっていく。

島根県のほぼ中央、出雲大社にほど近い斐川町に、町ではじめての町立図書館がオープンしました。天井の高い吹き抜けの内部は、明るいガラス張りに素朴な煉瓦と木のぬくもりがほど良く調和しています。今話題の未来型図書館とは思えないほど、あたたかさに満ち"人が集う"ための全てを備えています。この斐川町立図書館には、富士通のIC技術を活かしたIC図書館システムiLiscomp(アイリスコンポ)が採用されています。

導入の背景

住民の地道な活動が実り、利用者にやさしい図書館が実現

白根 一夫
斐川町立図書館 館長

図書館は地域文化の顔、図書館を見れば住民の文化に対する意識や傾向が分かるとさえ言われています。特に最近は、独自の利用者サービス、効率の良い図書検索・貸出・返却事務処理、図書館司書など職員の利用者に対するサービス、などが図書館の良し悪しを決める基準になりつつあります。利用者により満足してもらえる図書館づくりが、いま求められています。
「赤ちゃん連れのお母さんからお年寄りまで、世代を超えて、もっと気軽に利用できる図書館にしていきたいですね」と語るのは、図書館長の白根一夫氏。
昨年10月に開館した斐川町立図書館には、ほかにはない独自の工夫が凝らされています。たとえば"おはなしのへや"。丸い壁に囲まれた部屋は子どもたちのために絵本や紙芝居を読み聞かせるための特別な空間です。落ち着いた雰囲気の"暖炉のへや"には、町民から寄せられた昔の写真がたくさん並べられ、高齢者のための"いやし"の空間になっています。
斐川町で図書館の建設が計画されたのは2000年。現本田町長が積極的に計画を推し進め、議会も一致して設立が決まりました。その背景には、子どもたちに本に親しんでもらいたいというお母さんたちによる地道な活動があったからです。
「もう20年も前から、地域の公民館で毎月1回、子どもたちに絵本を読み聞かせるお母さん方の自主的な活動がありました。以前から町民には図書館が欲しいという気持ちが強かったのです。おはなしのへやができたのもそういう背景があったから」と白根氏は語ります。

導入の経緯

思わぬ事件をきっかけに、IC図書館構想が急浮上

2000年4月、図書館準備室が教育委員会内に設置されました。最初の1年間は基本計画を策定。利用者に威圧感を与えない、住民をあたたかく迎え入れる、木のぬくもりのある明るい図書館にしようというコンセプトが決まりました。しかしこの段階ではまだ、IC図書館の構想はありませんでした。それが一転、他の県で、図書館での図書不正持出問題がクローズアップされる事件が起きたのです。
「2000年ごろ、ICタグやICカードを図書館に利用するというアイデアはまだあまり知られていなかったと思います。そのころ図書不正持出問題が他県で持ち上がって、これはわが町でも考えなくてはならない、ということになった」(白根氏)。
「建築計画の最中でしたが、計画を大幅に練り直す必要が生まれました。そこで、磁気を使ったタトルテープとゲートによる方法にするか、図書にバーコードを貼るだけにして出入口管理はしないか、それともICタグを導入して完全な防止対策を採用するか、選択を迫られました。ICタグの利点は、貸出・返却の処理がたやすく、ひとつの動作で不正持出防止までができてしまうといった、作業の効率性にありました。2001年度に行われた全国図書館大会に職員が参加し、富士通と図書館流通センターとの共同開発によるICタグを用いた図書館システムのプレゼンテーションがあったので、参考までに話を聞いてみようと言うことに。その結果、図書の管理システムに最善を期すことが大事であるとして、IC図書館の採用に踏み切ることになりました。もし他所で問題が起きていなければ、今ごろは私たちも、悠長に構えていたかもしれませんね」(白根氏)。

システムの概要

一歩先を行く富士通の図書館システム開発が採用の決め手

図書に装着するICタグは非接触型で透過性。電源不用で半永久的に使用でき、2キロバイトの容量を持つICチップが内蔵されています。ICチップには、図書MARC(Machine-Readable Catalog : 機械可読目録)(注1)に準拠した図書データが書き込めます。図書は、専用の読み取り装置であるアンテナにかざすだけで瞬時に複数冊同時に貸出と返却の作業ができます。自動貸出装置は一見なんの変哲もない木製のテーブルですが、木目の変わった部分にICチップの図書データを読み取るアンテナが組み込まれています。利用者が、自分の貸出(IC)カードと借りたいと思う図書をその上に置くと、一瞬にして図書貸出処理が行われ、同時にレシートが出てきます。レシートには借りた図書の名前と返却期日が記載されていますから、返却日を忘れる心配はありません。処理の済んだ図書はそのまま、ゲートを通過できます。
「これには驚いている利用者もいますよ。レシートが便利だからといって、貸出窓口でなく、わざわざ自動貸出装置を使う方も多いですね」(白根氏)。貸出・返却作業の大幅な効率化は、窓口業務での利用者の待ち時間を飛躍的に短縮させました。
「富士通のIC図書館システムは、斐川町立図書館が準拠しているTRC(株式会社図書館流通センター)仕様のMARCと相性が良く、これが富士通のシステムを採用した大きな理由のひとつです。IC図書館システムに関して富士通は他社に一歩先んじていますから、その経験と実績を買いました」(白根氏)。
実は、斐川町立図書館では、ICタグだけでなく図書にバーコードも添付しています。その理由について白根氏は「図書の見た目にこだわっているから」と言います。「ICタグだけだと、表面上、資料番号も整理記号も見分けられません。バーコードでしたら整理用の番号を見ることができる。もし何かの障害が起こってICシステムに異常が発生しても、バーコードで通常の業務を行うことができます。当館では開架図書や移動図書館に乗せる図書にしかICタグを付けていませんが、閉架書庫に配架されている図書にはその必要がないからです」。
斐川町が採用したシステムは、富士通の公共図書館システムiLiswing21/WeとIC図書館用オプションiLiscomp(アイリスコンポ)。館内には、基幹サーバ(iLiswing21/We)、学校図書館用サーバ(LB@SCHOOL)、ウイルス管理用サーバにそれぞれPRIMERGYが設置されています。学校図書館用サーバには町内にある6校(小学校4校、中学校2校)の図書館蔵書データがすべて格納され、そのうちの小学校2校(モデル校として図書館から学校司書を派遣)にはクライアントとしてFMVが置かれています。これら図書館と学校図書館の図書データは、斐川町役場に設置されたWWWサーバPRIMERGY (iLiswing21/We)に出雲ケーブルテレビのLANを使って結ばれ、インターネット上の図書検索システム(Web OPAC)で検索ができるようになっています。

システムの概要図

図書館内にはサーバにLANで接続する業務用クライアント、図書貸出用ICアンテナ、自動貸出装置1台、セキュリティ用のICゲート、また蔵書点検整理用のハンディスキャナがあります。
ハンディスキャナでは、図書を配架した状態のままICタグ部分をなぞるだけで点検ができます。いちいち書棚から図書を出す必要がないため、作業は大幅に省力化。点検時間はバーコードの場合と比較しておよそ半分で済むようになりました。

今後の展望

住民に親しまれる図書館はIC技術でさらに成長する

利用者にやさしく、職員にとっても効率的な図書館システム、それが富士通のIC図書館システムです。でも白根館長は、IC図書館システムは図書館職員を削減するためのものではないことを強調します。
「現在月平均の図書貸出冊数は3万冊。外から見れば高い評価が与えられるとは思いますが、この施設でこの実績は当然でしょう。図書館は、より多くの人が本に親しんでもらうための施設。新鮮で魅力的な図書を提供し続けることが一番の使命です。私は利用者サービスの質をもっと高めていかなくては、と思っています。これからやりたいことは、Webの活用ですね。館内の検索装置ではすでに可能になっていますが、インターネット上の図書検索システム(Web OPAC)で読みたい本の検索だけでなく、配架場所も見られるようにしたい。IC技術の進化でこれからも図書館は成長していくのでしょうね。図書館で育った今の子どもたちが大人になり、またその子どもたちが大人になってこの図書館を利用する。図書館の仕事は五十年後、百年後に実っていく。気の長い仕事ですが、富士通のIC技術がそのお手伝いをしてくれているわけです」と白根氏は夢を語ります。
ユビキタス社会実現のため、富士通はIT基盤TRIOLEと長年培ってきた信頼で、お客様をサポートしています。

【企業概要】

島根県斐川町立図書館

  • 所在地: 島根県簸川郡斐川町大字直江町4156番地
  • 開館: 2003年10月1日
  • 建物延べ床面積: 2958平方メートル
  • 蔵書数: 10万冊(2004年4月現在)
  • Tel: 0835-73-3990
  • Fax: 0853-72-7600
  • ホームページ: 島根県斐川町立図書館ホームページ

【お問い合わせ】

用語解説

注1: MARC(Machine-Readable Catalog: 機械可読目録)
MARCは図書や逐次刊行物等の書誌データ。

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。