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空白


◆第1章◆ 人材登用

- 事業本部長・秀吉に学ぶ人の動かし方 -

秀吉


織田信長会社でアルバイトから出発し、実績を上げ正社員となり、順調に出世していたのが秀吉です。

秀吉にも部下が出来てきました。人の使い方が実にうまく、例えば槍試合の逸話が残っています。



家臣団の中である日、長い槍と短い槍とでは、どちらが戦に有利かという話題になりました。

長い槍は扱いにくく短い槍の方が有利だと発言したのが、片桐孫四郎と言う織田家一番の槍の使い手です。

槍は短い方が軽く扱いやすいし、素早く相手を倒せるというのが、その理由です。

横から口を出したのが秀吉です。
「私は長い槍の方が有利だと思います。」片桐が理由を尋ねます。

「それは戦ってみればわかります。」とまだまだ若輩の秀吉が言ったものですから、場の雰囲気は一変しました。片桐が、「表に出ろ!すぐに勝負だ。」と怒気をはらんで言い出します。

ですが、秀吉はあわてず「戦なので、集団でやらねば意味がありません。50人ずつの足軽で5日後に試合を行うではいかがですか。」と提案したので、5日後に槍試合が行われることになりました。


さてこうなると織田家一番の槍使いである片桐としては負けるわけにはいきません。そこで、5日間、みっちり稽古です。

相手がこう来たら、こうしろ等と細かくシュミレーションを行い部下を指導していきます。間違えれば叱りつけました。

対する秀吉の方はのんびりしたもので、稽古らしい稽古はしません。反対に心配した部下が、3日目に「殿、稽古しなくてよいのですか?」と聞いてくる始末です。

「そうは言っても、5日で上達するものではなし、考えて戦おう。」
「考えてでですか?」
「そうだ、お前、槍はどう使う?」
「相手を突きます。」
「そうだろう、他には?」
「他?」
「そうや、そこや」
「どこですか?」
「あほ、槍は突くものやという固定観念や。」

秀吉は50人を半分に分けました。

「お前達は槍を上下に振り回して、相手の頭をぶったたけ。あとの半分は左右に振り回して相手の足をねらえ。」

「よいか片桐殿の足軽は突いてくるだけだ。しかもその槍は短い。だが突いてくる前に皆で左右、上下に振り回したら、どうだ突いてこれるか?」
「無理だと思います。」
「そうだろう、それだけだ。さあ、もう寝よ寝よ。明日から振り回す練習だけすればよい。」と寝てしまいました。


かたや夜遅くまで練習している片桐隊では、「そんな弱腰の突きで、秀吉に勝てるか」と声が飛んでいます。


秀吉は部下の方がじれて言い出してくるまでじっと待ちました。そして部下が聞く気になったその時に必要な情報を与えます。しかも単純明快な方法で、これで勝てるというゴールまで呈示しています。片や片桐の方は、トップダウンで部下の聞く気などはおかまいなしに訓練です。さらに叱り付けられ萎縮している中で複雑な対応を求めました。

さて、槍試合になりました。
観戦していた信長から声が飛びます。

「猿、よくやった!今日から足軽大将だ!」
水谷哲也
※三英傑のイラストは、原田弘和様にご提供いただきました。無断で転載することは禁止されております。

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