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第4回 ブラウザの機能を拡張する―動画・音楽を楽しむ

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ADSLや光通信などインターネットはブロードバンド接続が普通になっています。このブロードバンドのメリットを最大限に活かせるのがリッチコンテンツです。アニメーションや動画、音声、高解像度の画像などによる豊かな表現力を持つコンテンツです。簡単な手続きで動画を楽しめるサイトやユーザーが投稿した動画を共有するサイト、リアルなCDショップをはるかにしのぐ規模の品揃えをする音楽配信サイト、3億枚を超える画像をストックする写真共有サイトなど、リッチコンテンツは今や花盛りです。今回は、こうしたコンテンツの種類、それらをブラウザが再生するしくみについてお話しします。

【今回登場するキーワード】

  • MIME(マイム)タイプ
  • ヘルパーアプリケーション(helper application)
  • プラグイン(plug-in)とアドオン(イン)
  • MPEG(エムペグ)
  • Flash(フラッシュ)
  • Codec(コーデック)

動画や音声データとインターネット

2000年ごろまでは動きのあるWebページとしては、アニメーションGIFというデータ形式による動画が一部に見られる程度でした。パラパラ漫画のように数コマの画像を一定間隔で切り替えて見せるしくみです。ファイルサイズも比較的小さくでき、ブラウザ側に特別なソフトを入れることなく再生できるのが特長で、今でもバナー広告に利用されています。当時はインターネットへの接続はISDNが主流で、通信速度が遅く、動画のインパクトの強さは求めながらも、大きなファイルは表示に時間がかかり、ユーザーに見てもらえないという懸念が強かったのです。

【出典元】 平成13年版情報通信白書(総務省)「インターネット白書2007」調査(INTERNET Watch)
出典が異なるため単純な比較はできませんが、接続事情が変化していることがわかります。

しかし、ブロードバンドの普及で様相は一変しました。ISDNの20倍を超える通信速度が手軽に実現できるようになり、音声や動画など容量の大きなファイルの送受信に不自由はなくなりました。インターネットには、映画、ドラマ、アニメ、ニュース、音楽など動画や音声などのリッチなコンテンツが急速に普及し、それにつれてブラウザも大きな変貌を遂げます。

ブラウザは「本」から「テレビ」に

ブラウザは「本」のように文字と静止画を表示していました。しかし、今日では「テレビ」のように動画や音楽を再生するようになっています。こうしたリッチコンテンツ(映像や音声を利用した表現豊かなコンテンツのこと)の普及に対応してブラウザもコンテンツの閲覧や再生機能を強化しています。ここでは、ブラウザのコンテンツへの対応と、外部プログラムによる拡張方法、動画や音楽の再生方法を説明します。

リッチコンテンツ対応のしくみ

ブラウザはHTMLを解釈して文字と画像を表示しますが、HTMLや画像以外のデータも受け付けます。例えば、Webページでリンク先がエクセル文書になっている場合、そのリンクをクリックすると、ブラウザは自動的にエクセルを起動してデータを表示します。ブラウザはリンクがクリックされると、サーバに対して「HTTPリクエスト」を送ります。それに対してサーバが「HTTPレスポンス」を返信することは前回説明しました。この返信の中に、リンク先のデータがエクセルのデータであることが通知されます。これから送信するのは「特定のアプリケーションで作成されたデータである」、そのアプリケーションが「エクセル」であることを、サーバは次のようにブラウザに知らせます。

Content-Type:application/msexcel

上記の「application/msexcel」の部分をMIMEタイプと呼び、データの種類を表します。HTMLも実は「text/html」とブラウザに通知されています。

代表的なMIMEタイプには次のようなものがあります。

表1:代表的なMIMEタイプ
ファイルの種類拡張子MIMEタイプ
テキスト.txttext/plain
HTML文書.htm   .htmltext/html
JPEG画像.jpg   .jpe   .jpegimage/jpeg
GIF画像.gifimage/gif
PNG画像.pngimage/png
Quick Time.movvideo/quicktime
Flashアニメーション.swfapplication/x-shockwave-flash
Flash videoflvvideo/x-flv
MP3.mp3audio/mpeg
Windows Media Videowmvvideo/x-ms-wmv
Real Audiorm、ramaudio/x-pn-realaudio
Word文書.docapplication/msword
PowerPoint文書.pptapplication/vnd.ms-powerpoint
Excel文書xlsapplication/msexcel
PDF.pdfapplication/pdf

MIME(Multipurpose Internet Mail Extention:多目的インターネットメール拡張)はその名のとおり、本来はメールでさまざまな種類のファイルを扱うための規格でしたが、今ではWebブラウザにとってなくてはならないものになっています。

ブラウザは、通知されたMIMEタイプによって、表示方法や処理方法を決めます。エクセル文書であれば、エクセルを起動してデータを表示します。

アプリケーションがインストールされていなかったら

MIMEタイプでExcel文書と指定されているのに、ExcelがPCにインストールされていない場合は、ブラウザはそのファイルをダウンロードするかどうかたずねてきます。

しかし、時にはブラウザが勝手に判断して表示してしまう場合があります。意味不明の文字列がブラウザいっぱいに表示されたりします。こうなった時には、一度戻るボタンで直前の表示に戻り、リンクを右クリックして、表示されるメニューから「対象をファイルに保存」を選んでファイルを保存します。

ヘルパーアプリケーションとプラグイン

エクセルのように、ブラウザが自身では処理できないデータの処理を任せるソフトをヘルパーアプリケーションと呼びます。通常は明示的にヘルパーアプリケーションとしてブラウザに登録します。例えば、Macintosh版のInternet Explorerではエクセルをブラウザで使いたい場合は、ヘルパーアプリケーションとして登録しなくてはなりません。ところが、Windows版のInternet Explorerではその必要はありません。Windows版のInternet Explorerでは、エクセル文書はヘルパーアプリケーションではなくActiveXコントローラーというWebブラウザの拡張機能によりブラウザ内に表示されるように設定されているからです。

ブラウザが自身で処理できるHTMLやJPEGなどの画像以外のデータを扱う場合、上記のようにヘルパーアプリケーションを呼び出して処理させるか、ActiveXコントローラーのような機能拡張を利用します。機能拡張は、MIMEタイプごとに必要に応じてブラウザに追加します。Webページで見かける次のようなアイコンは、そのWebページの動画を見るためにはFlashを再生する機能拡張が必要なことを示しています。


図:FLASH PLAYERプラグインのインストールボタン

このように外部からブラウザに組み込むソフトをプラグインといいます。ヘルパーアプリケーションはブラウザから一任されるように独自に起動してデータを表示しますが、プラグインはブラウザの中で、ブラウザの機能の一部であるかのように動作します。こうして追加された機能はブラウザのツールメニューなどで確認し、機能を停止したり再開したりすることができます。

表2:ブラウザの機能を拡張するプログラム
名称意味と使い方動作
ヘルパーアプリケーションブラウザが対応できないデータの処理を受け持つ外部アプリケーション。
ブラウザに登録して使用する。
ブラウザによって起動され、通常のアプリケーションとして動作する。
プラグインブラウザの機能を拡張するプログラム。
ブラウザに組み込んで使用する。
ブラウザ本来の機能であるかのようにブラウザのウィンドウで動作する
アドオン(アドイン)機能を追加すること。または追加する機能のこと。ヘルパーやプラグインとして動作する。

プラグインと意味がよく似た用語にアドオン(アドイン)があります。アドオンは、追加される「機能」つまり概念を言い、これに対して、プラグインは追加される「ソフト」のそのものつまり実体を言います。「Adobe Readerは、ブラウザにPDF表示をアドオンするために提供されるプラグイン」と言う風に使い分けます。ただし、かなり混用されているのが実情で、あまりこだわることはないのかもしれません。


図:InternetExplorer6のアドオンの管理

動画や音声ファイルの再生

サーバから「video」や「audio」というMIMEタイプのデータが送信されると、ブラウザはそれらを処理するためのアプリケーションを起動します。例えば「audio/mpeg」であれば、ブラウザは自身に設定されているヘルパーアプリケーションやプラグインなどから、MP3が再生可能なWindows Media Playerなどあらかじめ設定されている再生ソフトを起動します。どのアプリケーションが起動するかはPCの設定によって異なります。

ブラウザが動画や音声を再生する場合、対象のデータがどのように収録されているかによって次の3つのスタイルがあります。

1つ目は、リンク先が動画や音楽データに直接リンクされている場合で、ブラウザは設定されている専用のプレーヤーを起動して再生します。

2つ目は、HTMLファイルの中にデータとともにプレーヤーコントロールが埋め込まれている場合です。再生ボタンをクリックすると音楽や動画が再生され、停止ボタンで止めることができます。実態はプラグインがブラウザの中で起動して再生しています。


ブラウザに表示されるプレーヤーコントロール
(Yomiuri Online、Windows Media Player)

3つ目が、データがFlashとしてHTMLに埋め込まれている場合です。上記2つ目と同じですが元のデータを変換してFlashにしている場合があります。Flashはファイルを小さくできるうえにWebブラウザへのFlashプレーヤープラグインの実装率が高いため、ほとんど標準の機能のように使用することができます。さらに、Flashはビデオ、アニメーション、音声に加えて、専用のスクリプト(簡易プログラム)を使ってそれらの表示や動作を制御できる利点があり、多くのWebサイトで動画、音声の再生や対話機能の実現に利用されています。

ブログなどに貼り付けられたYouTubeの動画を見かけます。この動画にもFlashが使われています。YouTubeは動画共有サイトです。ここで共有している動画は、html記述を自分のブログの表示したい場所に貼り付ければ、再生機能のボタンを付けて組み込むことができます。


YouTubeの画面を組み込んだページ

ブラウザが対応する音声や動画ファイル

音声や動画にはさまざまなデータ形式があります。ここで、インターネットで流通している主要な音声や動画ファイルを紹介します。音声や動画のデータ形式の違いは圧縮技術です。各データの紹介の前に、この圧縮と伸長技術について触れておきましょう。

圧縮伸長技術(コーデック)

ファイルサイズを小さくすれば、データを迅速に転送することができ、ネットワークを占有する時間も短縮できます。ストレージ容量やメモリも少なく済みます。そこでデータを圧縮してファイルサイズを小さくする技術が考案されました。リッチコンテンツ以前の通信環境が低速な時代にはデータやプログラムの圧縮は必須の技術でした。今日、通信環境は高速化されたものの、データが大容量化し、流通量も飛躍的に増加しており、短時間に効率よく大きなデータを転送し、一定のメディアに収めるために圧縮技術は欠かせないものになっています。

特に、動画や音声は情報量が大きく、そのままではデータが大きすぎて、ネットワークでの流通には不向きです。そこでデータを圧縮し、ファイルを小さくして可搬性を向上させることが必要になります。また、圧縮された音声や動画は伸長(解凍)しながら再生するため、CPUの負荷も小さくありません。そのため、小さくなればどのような方法でも良いというわけにはいきません。

このデータを圧縮・伸長する技術をコーデック(CODEC、COmpressionとDECompressionの合成略語)といいます。

音声データの場合、人の耳に聞こえないような低い音や聞こえにくい音を間引きすることで、データを小さくします。動画では、画像内の動く部分だけを検出・保存するなどしてデータを圧縮しています。

原理はよく似ていても音声や動画の圧縮技術にはさまざまなものがあり、圧縮されたデータを再生するためにはそれに対応する伸長プログラムを使用して再生することになります。

Webブラウザで扱う音声や動画のコーデックは標準的なものが多く、再生できないことはほとんどありませんが、ダウンロードして視聴するファイルの中には、拡張子は対応しているはずなのに、「この形式には対応していません」「対応するコーデックがありません」というエラーが表示されることがあります。動画ファイルにそうしたエラーの発生が多いようです。これは、AVIやMPEG-4などの動画ファイルがコンテナと呼ばれる構造であるためです。

動画と音声が別々のコーデックが採用され、それがコンテナに収められてひとつのファイルになっているのです。コンテナ自体は音声と動画の同期をとったり、字幕やメニュー、MPEG-4やAVIとしての規格への整合性を保持したりしています。このコンテナの中に、次のような音声や動画コーデックを組み合わせて納めるようになっています。

表3:コンテナに格納できるデータ(MPEG-4の場合)
種類コーデック
動画MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4 ASP、MPEG-4 AVC(H.264)
音声MPEG-1 Layer I/II/III、MPEG-2、AAC、ALAC、AMR、CELP&TwinVQ、ALS

従って、格納している動画や音声のコーデックにプレーヤーが対応していなければ再生することはできず、前述のようなエラーが表示されるのです。また、画像だけがMPEG-4準拠、音声はMP3やWAVというMPEG-4もどきの動画ファイルフォーマットも多数あります。拡張子として「.avi」が付けられていることが多く、Windows Media Playerで再生できるはずなのに、AVIコンテナに格納されているコーデックによっては再生できない場合があるのです。AVIファイルが壊れているように見えますが、コーデックを調べて対応するプレーヤーを用意することで再生できることが多いようです。

ブラウザが扱う音声・動画ファイル

Webブラウザが標準的に扱うことができるもの、プラグインが実装されている比率が高いもの、OS標準装備のプレーヤーが対応している音声と動画ファイルのうち主なものを紹介しましょう。

その前に、順番が前後しますが、MP3、MPEG-1、2など今まで何度も登場したMPEG(Moving Picture Experts Group:エムペグ)について簡単に説明しておきます。MPEGはISO(国際標準化機構)の画像圧縮標準化のワーキンググループの名称です。現在では、ほとんどの場合、団体名というよりも画像圧縮技術そのものを指します。MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4規格が定められています。MPEG-1は日本ではあまり普及しなかったビデオCDに使われた規格で再生品質はVHS並。MPEG-2は、現在DVDビデオやHDTV(ハイビジョンテレビ)、地上デジタル放送に採用されています。再生品質はDVD並です。MPEG-4は携帯電話やPHS、アナログ電話回線などの低い通信速度を前提として低画質、高圧縮率の映像配信を目的としていましたが、現在はブロードバンドの普及で広帯域、高画質までの幅広い規格になっています。iPodビデオや携帯電話の高画質動画、ワンセグテレビ放送までさまざまなところに採用されています。

現在、MPEG-7、MPEG-21の規格化が進行中です。MPEG-5〜6、8〜11などは欠番です。

MPEG-3 ?   MP3 ?

MPEG-1、MPEG-2の次はMPEG-4です。MPEG-3はMPEG-2に統合されており欠番です。
間違えやすいのが音楽データでなじみ深いMP3。MP3は、MPEG-1規格のオーディオ部分で、正式にはMPEG-1 Audio-layer 3といいます。3というからには1、2も当然あります。圧縮率の違いで、Audio-layer 1は圧縮率が4分の1、layer 2では6〜8分の1、layer 3で10〜12分の1に圧縮することができます。MP3が最も圧縮率が高く、その分、CPUの負荷も高いのですが、今日ではCPUパワーも強力になったこともあって音楽ファイルと言えばMP3という地位を確保しています。ちなみにMP4はMPEG-4のことを言います。

音声データ

音楽用CDの音楽データは1分あたりおよそ10MBになります。MP3は、これを10分の1に圧縮します。携帯音楽プレーヤー、携帯電話の着うた、音楽のネット配信はこの音声圧縮技術がなければ成り立たなかったと言えるでしょう。

音声データ形式は、CD-DAをはじめMacintosh標準のAIFF、OGG、MIDIなどさまざまなものがあり、Webサイトでも見かけることがあります。ここでは代表的な4つの形式を紹介しておきます。

名称説明
MP3
(MPEG-1 Audio-layer 3)
CDの音楽データを約1/10に圧縮できる。
使い勝手がよく、パソコンのHDD上に多くの音楽を保存したり、携帯音楽プレーヤーで持ち歩いたりする楽しみ方は、MP3形式の普及によるもの。CDコンポやカーオーディオでも再生が可能なものが増えている。
WMA
(Windows Media Audio)
Windows標準のマルチメディアテクノロジー。OS標準のWindows Media Playerを使って、簡単な操作で音楽CDからWMAファイルに変換することができる。音声劣化がないWMAロスレスといった新技術も盛り込まれている。
AAC
(Advanced Audio Coding)
MPEG標準化団体によって開発・策定された。5.1chサラウンド対応など高性能、高音質。BSデジタル放送、携帯電話用の映像フォーマットの音声部分にも採用されている。iPodとiTunes Music Storeでは標準的に使用されている。
RealAudio米RealNetworks社が開発。データをダウンロードしながら同時に再生できるストリーミング方式に早い時期から対応していた。 同社のRealPlayerシリーズで再生する。

動画データ

動画データ形式も音声と同様に実に多くのファイル形式が存在します。しかし、コーデックの対応やファイルサイズ、普及度合いからWebブラウザで一般的に扱える動画ファイルの形式はそう多くなく、ここでは代表的な4つのファイル形式を紹介しておきます。

名称説明
WMV
(Windows Media Video)
MPEG-4を元にマイクロソフトが開発した動画データの圧縮方式。Windows Media Playerで標準サポートされている。WMAとの親和性が高く、5.1チャンネルサラウンド音声でエンコードすることができる。
QuickTimeApple Computerが開発。Mac OS、Windowsに対応している。映像や音声をタイムベースで管理しており、PCの処理速度にかかわらず一定の速度で再生できる。専用のQuick Time Playerで再生する。
RealVideo米RealNetworks社が開発。圧縮率が比較的高く、データをダウンロードしながら再生できるストリーミング方式に対応。 同社のRealPlayerシリーズで再生する。
Flash Videoマクロメディア(Macromedia、現Adobe)が開発。画像や音楽、映像、アニメーション、テキストなど、複数のメディアを組み合わせたWebコンテンツを作成するツール。そのツールによって作成されたコンテンツも、Flashと呼ぶ。Flashは、PCだけではなく、携帯電話などでも再生可能となりつつある。ブラウザ用のプラグイン「Flash Player」で再生する。

音声や動画には、ここで紹介したもの以外に数多くのデータ形式があります。それら音声、動画ファイルについては、以下のサイトを参照してください。

マルチメディアコンテンツとDRM

デジタル化された音声や動画ファイルは画質や音質を劣化させることなく複製が可能で、しかも瞬時に遠隔地に送信することができます。そのため、違法な複製や海賊版対策といった著作権問題を避けて通れません。現在、Windows Media PlayerやiTunesなどの動画や音声プレーヤーにはDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)技術が装備されています。DRMはデジタルコンテンツの著作権保護技術です。コンテンツの内容を暗号化し、解読するための鍵をコントロールすることで,コンテンツの利用を制限するのが基本的なしくみです。再生のための鍵をネットワーク経由で取得させたり,あらかじめパソコンの中に保存させた鍵を確認したりすることで,コンテンツだけをコピーしても再生できないようにしています。地上デジタル放送やBSデジタル放送で導入している「コピーワンス」もDRMの一種です。

しかし、2007年2月、音楽配信最大手のiTMS(iTunes Music Store)は、DRMフリーの音楽配信を発表しました。音楽用CDは、DRM導入以前にメディアも再生機器も大量に普及しており、それらの著作権はDRMで保護されていません。レコード会社は販売量の90%がCDであり、そこに対して、音楽配信サービスで販売される音楽にのみDRMを導入しても意味がないとAppleは主張したのです。欧州の消費者団体からDRM「FairPlay」の解放を求められたことに端を発したDRMの是非は意外な方向に向かいます。DRMフリーはその後、MicrosoftのZune Marketplace、Amazon.comがこれに続き、音楽業界大手EMIも追従しました。DRMフリーは大きな潮流になりつつあるようです。フェアユースを前提に自分で購入したコンテンツを自由にコピーして楽しむことができるようになり、マルチメディアコンテンツは新しい方向に動き始めたようです。

おさらい

  • ブラウザは、サーバから通知されるMIMEタイプに応じて表示や処理方法決定する。
  • 音声や動画はそれぞれのデータに対応したプレーヤーがないと再生できない。
  • 音声や動画ファイルは圧縮されており、それを伸長(解凍)しながら再生する。この圧縮伸長技術をコーデックと言い、圧縮と伸長コーデックはそれぞれが対応したものでないと再生できない。
  • デジタルコンテンツの著作権保護技術をDRMという。欧米ではDRMフリーの方向に進みつつある。

次回は「ブラウザとセキュリティ」です。インターネット経由で感染するウイルス、フィッシングなど危険なサイトからユーザーを守るセキュリティ機能とそのしくみについてお話しします。

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