研究開発
お客様の新たな価値の創造や、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを基本方針として、次世代のサービスやサーバ、ネットワーク、電子デバイスや材料に至る先端技術の研究開発を推進します。

2008年3月期における先端研究の主な成果
(1)Javaで実装されたWebアプリケーションの
動作検証を行う技術を世界で初めて開発
ソフトウェアの品質を保証する技術として、Javaで実装されたWebアプリケーションの動作検証を自動的に行う基礎技術を世界で初めて開発しました。従来、人の手によって作成していた、動作検証に必要となる詳細な手順やテストデータを、業務仕様書から自動的に抽出・作成し、その手順に沿ってWebアプリケーションが仕様書どおりに動作しているかを自動的に検証することができます。これにより、様々なユーザの操作や入力などを想定した網羅的なテストを行うことができ、高品質なソフトウェアを開発することができます。
(2)ITシステムの運用管理を高度化する
「統合CMDB」を開発し、国際標準化を推進
サーバ管理やネットワーク管理など、目的ごとに別々に設定していたITシステムの運用管理情報を仮想的に統合し、自動的に関連づけるデータベース「統合CMDB(Configuration Management Database)」を開発しました。これにより、複数のハードウェア情報や顧客へのサービス内容などの構成情報を同一画面上で閲覧して一元的に管理することが可能となり、ITシステムの安定した運用管理と、運用管理コストの削減を実現できます。また、同業ベンダー5社と共同で、統合CMDBの基本仕様の国際的標準化に取り組んでいます。
(3)スーパーコンピュータ向け超小型光リンクモジュール技術を開発
ペタフロップス(注1)級スーパーコンピュータで必要とされる、高速計算ノード相互接続用の超小型光リンクモジュール技術を開発しました。従来品の10分の1以下の小型化が可能になり、スーパーコンピュータの省スペース化への貢献が期待されます。
(注1)ペタフロップス:「1ペタフロップス」は、1秒間に1,000兆回の浮動小数点演算が可能な計算能力。

40Gbpsの超小型光リンクモジュール
(4)モバイルWiMAX™向けの世界最小の基地局と
端末用RFモジュールを開発、実用化
モバイル環境でブロードバンドを実現する無線通信方式として注目されているWiMAX(注2)向けに、世界最小の屋外基地局装置を開発しました。窒化ガリウムHEMTを使用した高出力送信アンプと当社独自の歪補償技術(注3)を組み合わせることにより、世界最高水準の高効率化と最小サイズを実現しました。これにより、基地局の建設コストや運用コストを大幅に削減することができます。この基地局装置「BroadOne WX300」は、WiMAX業界の最優秀なシステム技術に贈られる“WiMAX World EMEA Award in System Design”を受賞しました。また、WiMAX端末向け技術としてRF(高周波処理)モジュールを開発しました。このモジュールでは、フィルターなど、端末に必要な全ての高周波処理回路を搭載すると共に、モジュールとして世界最小サイズ(15mm角)を実現しました。これにより、端末に欠かせない高速通信と安定接続に加え、さらなる小型化を可能にしました。
(注2)WiMAX(Worldwide Interoperability For Microwave Access):IEEE802.16およびIEEE802.16eに準拠した無線通信の規格。時速120キロメートル程度の移動環境でも、毎秒約75メガビットの高速なブロードバンド対応のモバイルサービスを提供できます。
(注3)歪補償技術:デジタル・プリディストーション(DPD)。増幅器で発生する歪成分の逆特性を持つ信号を増幅器の入力信号にあらかじめ加えておくことで、歪補償を行う技術。

モバイルWiMAX™端末向けRFチップ「MB86K71」

一体型モバイルWiMAX™基地局装置「BroadOne WX300」
(5)カーボンナノチューブとグラフェンを接合した
ナノカーボン複合構造体の形成に成功
カーボンナノチューブとグラフェンという、構造の異なるナノメートルサイズの炭素材料を接合した新しい複合構造体を、自己組織的に形成させることに世界で初めて成功しました。この構造体は両者の特長を兼ね備え、あらゆる方向に優れた電気伝導特性と熱伝導特性を有すると考えられます。今後、新たな物性研究や、電子デバイス、放熱デバイスなどの新しい応用の可能性を開くものと期待されます。

新規ナノカーボン複合構造体の構造

(a)新規ナノカーボン複合構造体の電子顕微鏡像(写真右)
(b)グラフェン部分の電子顕微鏡像(写真左上)
受賞情報
第5回産学官連携功労者表彰における内閣総理大臣賞を受賞
当社のコーポレート・ベンチャー・キャピタルファンドと三井ベンチャーズの共同出資で設立されたベンチャー企業・株式会社QDレーザ代表取締役社長の菅原充(株式会社富士通研究所および富士通株式会社 兼務)は、産学官連携活動において大きな成果を収めるなど、その功績が顕著であると認められる個人または団体に対する最高の栄誉である内閣総理大臣賞を受賞しました。東京大学の荒川泰彦教授および中野義昭教授との共同受賞となります。これは、財団法人光産業技術振興協会が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した「フォトニックネットワーク技術の研究開発」プロジェクトに参画し、量子ドットレーザの実用化目処、ベンチャー企業設立につなげたことが大きく評価されたものです。
お客様の環境負荷を低減するプロジェクト「Green Policy Innovation」を2008年3月期から推進し、2011年3月期までの4年間で累計700万トン以上のCO2排出量削減を目指しています。このプロジェクトでは、「ITインフラの環境負荷低減」と「IT活用による環境負荷低減」に貢献する多様な環境ソリューションを支える技術の研究開発を行っています。以下に取り組みの例をご紹介します。今後もこれらの先端技術を組み込んだ新たな製品やサービスを順次提供し、地球温暖化対策を始めとするお客様の環境負荷低減に貢献していきます。
データセンター向けリアルタイム多点温度測定技術を開発

効率的エネルギー運用による省エネ対策の一環として、光ファイバを用いた温度測定手法をベースに、多数の発熱源があるデータセンターの温度分布を正確に、かつリアルタイムに測定できる温度測定技術を開発しました。これによって、1本の光ファイバで1万ヶ所以上の温度を同時に測定することが可能となり、温度分布の「見える化」を実現します。この技術と空調制御システムを組み合わせることによって、室内の温度分布に対応したきめ細かな空調設備の管理が可能となり、データセンターの省エネ化への貢献が期待されます。
2009年3月期における先端研究の方針
常に変革に挑戦し続ける富士通グループの事業基盤を、「先を見ながらより強固なものにする」ことを目標に、グローバル、コストダウン、事業化スピードアップ、そして、ビジネスインキュベーションを念頭に、下記を重点に先端研究に取り組んでいきます。
新ビジネスモデル、新事業領域創出への取り組み
以下の3つの新たな研究領域を強化領域と位置づけ、明日の新しいビジネスの創造を目指した研究活動を推進します。
- グリーンテクノロジー
喫緊の対策が必要な地球温暖化問題を中心として、最先端の技術革新による社会貢献と新事業創出に取り組みます。 - センサーテクノロジー・システムソリューション
コンピュータの世界と現実の人間社会(リアルワールド)を結びつけるセンサー技術。この技術を革新し広めることでITの領域を拡大し、新しい事業領域創出につなげていきます。 - 次世代携帯端末&サービス
パソコンや携帯電話の次を担う新しい携帯端末とサービスにより、新たなビジネス機会の創出を狙います。
主力事業への研究貢献の強化
次世代のサービス&ソリューション、次世代サーバシステム、次世代ネットワーク技術の開発促進を通じ、富士通グループの主力事業への研究貢献を、引き続き強化します。
社内技術シナジーの強化
複数の事業分野にまたがる次世代技術開発におけるシナジーを、研究活動を通じてさらに強化します。


