富士通

研究開発

富士通の研究開発のミッション

お客様の新たな価値の創造や、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを基本方針として、次世代のサービスやサーバ、ネットワーク、電子デバイスや材料に至る先端技術の研究開発を推進します。

新しいビジネスの創出を促進する。先端技術を生み出し、蓄積する。グローバルにバリューチェーンを構築する。社会的な責任を担う。


株式会社富士通研究所

研究開発費

2009年度(3月31日に終了した会計年度)の研究開発費、2499億円。売上高比、5.3%。

セグメント別研究開発費

2008年度の研究開発費、合計2499億円に対し、テクノロジーソリューション:54.5%、ユビキタスプロダクトソリューション:14.5%、デバイスソリューション:14.9%、その他:16.1%。(2009年3月期)

2009年3月期における先端研究の主な成果

(1) 自動データ消去機能を実現した安全USBメモリを開発

安全USBメモリ

USBメモリの紛失やWinnyなどによる情報流出の防止に向けて、単体でも一定時間が過ぎると自動的にデータが消える安全なUSBメモリ、および、本USBメモリ内のデータを特定のサーバにしか保存させないファイル・リダイレクト技術注1を開発しました。これにより、お客様先から預かった機密情報を安全に社内に持ち帰って管理・活用するといった、情報管理環境を構築することができます。

(注1)ファイル・リダイレクト技術:USBメモリ内のファイルを特定のフォルダへ書き込むことを禁じたり、PCのハードディスクに書き込んだように見せて実際にはUSBメモリに書き込ませたりする機能をコントロールする技術。


(2) 実行効率世界一のJAXAの新スーパーコンピュータシステムが本格稼働

新スーパーコンピュータシステム
(写真提供:JAXA)

当社は、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新スーパーコンピュータシステムを、テクニカルコンピューティングサーバ「FX1」、およびミドルウェア製品「Parallelnavi」などで構築しました。新システムで実施したLINPACK注2ベンチマーク性能測定において、110.6テラフロップス注3の実行性能と、91.19%の実行効率注4を達成しました。この結果は最新のTOP500注5リスト(2008年11月発表)において、実行効率で世界1位、実行性能で日本1位、世界17位に位置づけられるものです。本システムは、2009年4月より本格稼働を開始しています。

(注2)LINPACK:コンピュータの性能計測プログラム。

(注3)テラフロップス:1テラフロップスは毎秒1兆回の浮動小数点演算速度。

(注4)実行効率:ピーク性能に対して実際に達成した性能の割合。

(注5)TOP500:世界のスーパーコンピュータの性能比較を行うプロジェクト。


(3)ブレードサーバの高速化を実現する多チャネル高速送受信回路を開発

ITシステムにおいて、サーバを始めとするハードウェアは高性能化が進む一方で、環境配慮の観点から省電力化、省スペース化も要求されています。当社は、ブレードサーバの各サーバブレード注6間を結ぶ通信経路であるバックプレーンの伝送速度を毎秒10ギガビットに高速化する、小型・低消費電力の多チャネル高速送受信回路を開発しました。新しい制御方式を採用し、伝送損失の補償とノイズ低減を両立させることにより、毎秒10ギガビットの高速送受信経路を4チャネル搭載した回路を、従来と比較して約半分の実装面積で実現し、消費電力も約4分の1にすることが可能となりました。

(注6)サーバブレード:メモリやハードディスク、マイクロプロセッサなどのサーバの機能を実現するための要素を全て搭載した一枚の基板。サーバブレードを複数搭載し、一つのサーバとして機能するサーバをブレードサーバと呼ぶ。

(4) 札幌市ユビキタス特区でLTE(注7)フィールド実証実験を実施し、高速伝送を確認

富士通製のLTE向け
携帯電話基地局システム

近年、携帯電話でブロードバンドを活用できる移動通信システムの実現が望まれています。総務省が2008年に創設したユビキタス特区の札幌市地域において、(株)NTTドコモと共同で、次世代移動通信方式LTEのフィールド実証実験を実施しました。共同で開発したLTE無線基地局試作装置で、空間多重伝送技術(4×4 MIMO)(注8)を適用して伝送特性を評価した結果、最大で毎秒120メガビット(帯域幅:10MHz)の高速伝送を実現しました。これはLTEの最大帯域幅で換算すると、現在サービスが提供されている3.5世代携帯電話の約35倍の伝送速度に相当します。このような高速無線通信サービスを提供できるようになれば、様々な環境下で高画質動画などの大容量データの送受信が可能となります。

(注7)LTE(Long Term Evolution):3GPP(IMT-2000 W-CDMAの詳細な仕様を作成するプロジェクト)メンバーにより策定された移動通信方式。

(注8)空間多重伝送技術(4×4 MIMO):同一時刻に、同一周波数を用いて、複数のアンテナから異なる信号を送受信する伝送技術。今回の実証実験では4つのアンテナを使用。


(5) 世界で初めてカラー電子ペーパーを採用した
携帯情報端末「FLEPia(フレッピア)」の一般販売を開始

携帯情報端末「FLEPia」

電子ペーパーは、画面を切り替える際しか電力を消費せず、画面表示の保持には電力を消費しないという特性を持っています。当社は、世界で初めてカラー電子ペーパーを採用した携帯情報端末「FLEPia」を開発し、2009年3月より一般販売を開始しました。本製品は、光学特性を最適化することにより、画面の明るさとコントラストを従来品と比べて1.5倍に向上させています。また、駆動回路を高速化させたことで、画面の書き換え速度も従来比1.7倍に改善しました。「FLEPia」からインターネットを通じて電子書籍を購入し、外出先でも8インチの大画面で手軽に読書を楽しむことができます。また、デジタルフォトフレームとしても利用できる機能も搭載しているほか、表計算や電子メールなどの各種ソフトウェアも使用可能です。


(6) 超低消費電力を実現するH.264フルHDコーデックLSIを開発・製品化

フルHD(1,920ドット×1,080ライン)の映像を、H.264注9方式で映像の圧縮・復元処理が可能となるH.264コーデックLSIを開発しました。メモリを内蔵していながら、映像圧縮時の消費電力500ミリワットの業界トップレベルの低消費電力性能を実現したLSI「MB86H55」と、フルHDの映像を毎秒60フレームで処理することで高画質を実現するLSI「MB86H56」の2製品を、2009年4月より出荷開始しました。両製品は、デジタルビデオカメラなどのポータブル機器やAV機器、業務用放送機器などの小型・省電力化と、高精細映像の高画質記録・再生・伝送を可能にします。

(注9)H.264:動画圧縮規格の一つ。MPEG-2など従来方式に比べて圧縮率が高いことが特徴。

受賞情報
「平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、科学技術賞(開発部門)2件、若手科学者賞1件を受賞

富士通グループは、「平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の科学技術賞(開発部門)2件と、若手科学者賞1件を受賞しました。これは、科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて、顕著な成果を収めたことが認められたことによるものです。

  • 「デジタル放送受信パソコン・コンテンツ保護技術の開発」
    (科学技術賞 開発部門)
  • 「磁気交換結合による熱安定性磁気記録媒体の開発」
    (科学技術賞 開発部門)
  • 「量子暗号通信に向けた通信波長帯単一光子源の研究」
    (若手科学者賞)

トピックス:豊かで夢のある未来の実現に向けた「10年ビジョン」

富士通が目指す豊かで夢のある未来を、世界中の人々に提供するための指針として「10年ビジョン」を策定しました。このビジョンの実現を目指し、体系的に先端技術の研究開発を推進していきます。

ヒューマンセントリックなネットワーク社会の実現

我々は、全てをつなぐことで価値を生み出し、その価値で人々に「感動」、「発見」、「信頼と発展」を提供する、ヒューマンセントリックなネットワーク社会を実現していきます。

【感動をつむぎ出す】 高齢者や子ども達が助けを必要としている時、仕事でアドバイスが欲しい時、人々とICTが寄り添うように助けあい、今までにない喜びと感動をつむぎ出す、そんな社会を我々は実現していきます。 【発見を生み出す】 大量のリアルワールドデータを収集し、これらをつなぎ合わせて複雑な状況を分析・可視化することで、我々はグリーンで住みやすい社会を実現するための情報を人々に提供していきます。 【信頼と発展を支える】 空気のようにいつでもどこでも存在し全てを包む拡がりを持った、グリーンでセキュアなICTにより、我々は信頼性と発展性を備えたヒューマンセントリックなネットワーク社会を支えていきます。

2010年3月期における先端研究の方針

将来を見据えながら、富士通グループの事業基盤を戦略性のあるより強固なものにするため、下記を重点とした先端研究に取り組みます。

1. 主力事業への研究貢献の強化

以下の研究領域に注力し、富士通グループのグローバルな主力事業を強化します。

(1) IAサーバ

単純に個々のハードウェアの性能向上を図るのではなく、ITシステム全体としてのパフォーマンス改善の視点から求められる要素技術の開発を目指す、トップダウン・アプローチを進めています。具体的には、仮想化や省電力化、運用管理の簡素化、高速インターコネクトなど、高機能ブレードサーバや大規模データセンターの差別化を図るための要素技術開発に注力します。

(2) クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングに求められる仮想プラットフォームを実現する技術や、オープンで高い拡張性を備えた使いやすい開発・運用環境など、クラウドコンピューティング向けの差異化技術を開発します。


(3) LTE

他社に先駆けて実施したLTEフィールド実証実験の実績を活かし、LTEビジネスを支える差異化技術を開発していくと共に、さらにその先の通信規格であるLTE-Advancedの到来に向けた標準化・知的財産の獲得を進めます。

(4) プラットフォームテクノロジー

ITシステムを構成するハードウェア向けデバイスの差異化技術の開発に注力し、さらなる競争力強化を図ります。


2. 未知の領域に対する研究開発、新事業創出への取り組み

明日の新しいビジネスの創造を目指して、以下の研究領域への取り組みを推進します。

(1) ヒューマンセントリックコンピューティング

実世界の情報をセンシング技術によって知識化し、人の状況に応じた現場指向の新サービスの提供を可能にする、センサー・端末・サービスを融合した革新的な基盤技術を開発します。

(2) グリーンテクノロジー

ITシステム自身の省エネルギー化、ならびにITを活用することによる省エネルギー化の両方にフォーカスした革新的な先端技術を創出し、エコロジカルバリューチェーンの構築による社会貢献と新事業創出に取り組みます。



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