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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2010-5月号 (VOL.61, NO.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2010-5

特集:「クラウド時代の次世代データセンター」

本特集では,館林システムセンター新棟で実装した最新技術を中心にその取組みと,これらの技術を活用したクラウドサービスの適用事例について紹介します。


執行役員副社長
サービスビジネス担当
クラウドコンピューティンググループ長
石田 一雄
執行役員副社長 サービスビジネス担当 クラウドコンピューティンググループ長 石田 一雄 写真

クラウド時代の次世代データセンター特集に寄せて(PDF)

富士通グループは,1995年に館林システムセンターを開設して以来,国内58拠点・海外90を超す拠点において24時間365日ノンストップでアウトソーシングサービスを提供しております。昨年11月には,次世代クラウドサービスのビジネス基盤の中核として,最新技術を実装したフラグシップデータセンター「館林システムセンター新棟」の稼働を開始しました。
富士通のデータセンターは,絶対的な堅ろう性を確保してお客様企業のビジネスインフラの安定稼働と,仮想化技術をベースにしたクラウドサービスによってお客様企業のITインフラ運用にかかるコストの最適化を実現します。さらに環境面では,IT消費エネルギーやCO2排出量の削減など配慮しております。
富士通のデータセンターは,様々な技術を駆使して利用いただく価値を具現化し,高信頼・高品質のサービスを提供してまいります。

特集:クラウド時代の次世代データセンター 目次〕

総括

  • 次世代データセンターグランドデザイン

運用技術

  • 進化する運用サービス基盤によるサービス価値の最大化
  • データセンターサービスを支えるITIL® (ITIL® is a Registered Trade Mark of AXELOS Limited)基盤

次世代データセンターの実現技術

  • データセンターの省エネ動向と富士通グループの取組み
  • 環境配慮型データセンターの構築技術と富士通の取組み
  • 館林システムセンター新棟の建築技術
  • データセンターにおけるIT負荷とファシリティエネルギーの
    最適化
  • 環境配慮型の省エネ空調方式
  • 館林システムセンターにおける高セキュアで利便性の良い
    フィジカルセキュリティ
  • クラウドコンピューティングのセキュリティアーキテクチャ
  • 次世代データセンターのネットワーク基盤

次世代プラットフォーム

  • サービス指向プラットフォーム
  • オンデマンド仮想システムサービス

事例

  • SaaSプラットフォーム(PaaS)への富士通の取組み
  • 次世代データセンターアウトソーシングサービスへの取組み
  • 農業分野へのクラウドコンピューティングの適用と
    他分野への展開

特集:クラウド時代の次世代データセンター


総括

データセンターはお客様のビジネス環境の変化や社会環境の変化に伴い,その役割と実装すべき能力を進化させてきた。その役割は,クラウドコンピューティングモデルの登場や,少子高齢化・環境問題などの社会の大きな課題に対するIT利活用分野の拡大により,ますます重要度を増している。同時に必要となる能力も,技術やノウハウの集積地として,ファシリティにとどまらず,先進IT技術,データ分析技術,運用技術,リスク管理,セキュリティ管理,環境対策などあらゆる分野で高度化してきている。今後はこのように集約した資産を,いかに活用するかと同時に,社会環境の変化に応じていかにタイムリに更新,進化させていくか,が重要な取組みになっていく。
本稿では,データセンターの役割や能力の変化の中における,富士通の最新の取組みと,今後の目指すべき姿についての考察を紹介する。

木野 亨

運用技術

富士通のデータセンターには,お客様ITシステム運用の中核を担う「運用サービス基盤」という仕組みがある。これは,人と技術を基軸に安心・安全・安定という高付加価値な運用サービスの提供を行う基盤である。センター運用者がお客様に代わってITシステム全体を滞ることなく監視するシステム監視機能や,維持・管理・障害復旧に必要なオペレーションを実施する運用機能など,人と技術の連携・ノウハウによって成り立っている。
一方,昨今の厳しい経済環境の中,サービスの提供価値と,お客様が認識して求める期待価値との不一致感が高まっている。「これまで以上に高付加価値で低価格な運用サービスを利用したい」というお客様の要望である。今回の館林システムセンター新棟開設に当たり,これらの要望に応えていくため「次世代の運用サービス基盤構想」を立案した。
本稿では,全体構想および今回実現した取組み内容を紹介する。

宇田 雅信, 足立 亮, 竹原 源太郎, 甲斐 亮二

富士通のデータセンターサービスは,お客様からの好評を得て順調に拡大してきているが,お客様ビジネスのITへの依存度が増す中,サービス品質の更なる向上やセキュリティの強化,内部統制への対応など,お客様の要求はより高く,多岐にわたってきている。また,ITコストの削減がお客様の重要課題である昨今,IT関連費用の70%を占める運用コストの削減への方策としてもデータセンターサービスへの期待は高く,サービスレベルのより一層の向上と,導入いただきやすい価格でのサービス提供という相反するニーズへの対応を求められている。
本稿では,これらの課題への対応として取り組んだ,ITIL®をベースとしたサービスプロセスの改善と標準化,また標準化されたプロセスの確実な実施を支援し管理するための新たなサービスインフラの整備について紹介する。

友田 和男

次世代データセンターの実現技術

地球環境問題への取組みは,IT企業にとっても重要な課題である。富士通グループでは,自らの工場から排出されるCO2の削減に努力をするだけでなく,IT機器自身の省エネによる使用時に発生するCO2の削減に貢献すること,さらにITを活用し,社会のあらゆる分野のCO2削減に貢献することが,IT企業の責任であると考えている。インターネットを利用した情報量の拡大に伴い,データセンターで消費される電力の増加は避けられない。そのため,データセンターを省エネ化し,社会全体の環境負荷を低減することが必要である。富士通グループでは,データセンターのグリーン化を目的に,サーバをはじめとするIT機器の省エネだけでなく,データセンター内の空調設備,照明,電源などのファシリティ設備の省エネ,さらに運用するIT機器の統合化,仮想化などあらゆる技術を導入し,データセンターのエネルギー効率向上に取り組んでいる。

小田切 充, 朽網 道徳

近年サーバをはじめとするIT機器の高性能化,高集積化が進み,IT機器1台あたりの処理能力が飛躍的に進歩している。それに伴い,消費電力と発熱量が増大している。高密度ラックへの対応は電源容量の拡大だけでなく,それを冷却するためのエネルギーが増大することも忘れてはならない。
こうした背景から,富士通では環境配慮型データセンターの構築に向けた各技術の全体フレームワークを作成し,フレームワークに基づいて各種技術開発,適用を進めている。
本稿では,各技術を概観するとともに,館林システムセンター新棟での取組みを紹介する。

永薗 宏

データセンターにおいて「機能・性能」,「安全性」の確保とともに,近年では「環境」への配慮が重要なテーマとなっている。次世代データセンターとして計画された館林システムセンター新棟は,これらにかかわる最新技術を導入して構築されている。
本稿では,建築にかかわる「安全性」および「環境への配慮」の観点から最近の動向および館林システムセンター新棟で採用した建築技術について紹介する。

増田 敦志, 安嶋 義真

データセンターの利便性が注目され,需要が高まる反面でエネルギー消費量が増大している。これはサーバルームに設置されるIT負荷の増大により,使用電力やサーバルームを冷却する空調負荷の増加が原因である。これらのエネルギー消費量を削減するためには省エネ対策が必要であり,サーバルームのIT負荷に対するファシリティエネルギーの最適化を図る必要がある。富士通は,本対策の実施に向け,館林システムセンター新棟において,省エネ運転マネジメントシステムを開発し,IT負荷の電力・温度・風速情報の詳細監視(見える化)を行い,効率的な運転方法を演算しファシリティエネルギーの最適化を図っている。
本稿では,本省エネ運転マネジメントシステムの特長的な機能や今後の展開について紹介する。

福本 邦男, 田村 信之, 石橋 秀規

事業者のITリソース集約・効率化・コスト低減を目的としたアウトソーシングサービスは,不況下において更に加速されると言われている。このアウトソーシングサービスの中核であるデータセンターには,消費される大量の電力を安全かつ効率的に利用することが求められている。そのような社会的背景のもと,館林システムセンター新棟において環境負荷低減施策の一つである省エネ空調方式を実現した。
本稿では,今回新たに導入した「冷却グリーン化方式」に基づくサーバ室内の空調最適化施策と,さらなるITの高集積化に対応するための施策の概要を紹介するとともに,データセンターのスケールメリットを生かした施策による期待効果を紹介する。

羽根田 知明

IT化が急速に進む企業や官公庁のシステム部門は,所有するサーバ台数の増加に伴い安定運用のための設備,災害対策,セキュリティ対策など様々な課題を抱えている。しかし,地震や火災などにも対応した強固な電気,空調設備や厳重なセキュリティ対策などを自社でそろえようとすると,莫大なコストがかかってしまう。こうした中,様々な業界でデータセンター利用の需要が高まっており,ここ数年データセンター市場は拡大している。富士通のシステムセンターは,顧客のIT資産を安心,安全に預かりこの市場で競争力を維持するために,フィジカルセキュリティ対策に力を入れている。
本稿では,2009年11月に新たに新棟を開設した館林システムセンターのフィジカルセキュリティを紹介する。

川喜田 聖

コンピューティングをクラウド化することで,利用者は利便性を手に入れることができた半面,安全性や信頼性への不安など,新たなセキュリティの問題に直面することにもなった。この解決には,クラウドコンピューティングのためのセキュリティアーキテクチャをサービス提供者が確立し提供することが必要になる。
本稿ではまずクラウドコンピューティングに求められるセキュリティの要件について国内外の動向を中心に紹介する。また,アクセスコントロール,認証とID管理,セキュリティの可視化など,クラウドコンピューティングにとって特に重要となる各種のセキュリティ要件を解決するための,富士通が考えるセキュリティアーキテクチャについて解説する。

奥原 雅之, 塩崎 哲夫, 鈴木 拓也

データセンターには,お客様を取り巻くビジネス環境の激しい変化に対応するためITシステムの導入スピードが求められると同時に,グリーンIT化対応・電力コストの削減対応として,センターファシリティの使用エネルギー状況の見える化が求められている。
富士通では,このような要求を満たすべく,次世代データセンターに適したネットワーク基盤を,館林システムセンター新棟に二つ構築した。一つは,広域イーサネットで適用されている技術を利用したお客様向け光ネットワーク基盤,もう一つは,アドホック技術を利用したデータセンター管理向けの環境監視センサネットワーク基盤である。
本稿では,館林新棟に導入した二つのネットワーク基盤の構築のねらい,および導入効果について実例を交えて紹介するとともに,今後の展開について説明する。

深谷 正和, 石橋 秀規, 新井 雅

次世代プラットフォーム

富士通では,今後のビジネスの拡大が予想されるクラウドサービスを提供する基盤となるサービス指向プラットフォーム(SOP)の開発を進めている。SOPは,サーバ,ストレージ,ネットワーク,ソフトウェアを統合したクラウド時代のサービスに最適なプラットフォームであり,仮想化技術と運用技術を融合している点に特徴がある。
本稿では,SOPの設計目標と,それを実現するためのアーキテクチャ面の考え方として,サーバ視点でアプリケーションシステムの自動構築を可能とするサーバセントリック仮想化(ScV)と,サービスを停止せずにサービス基盤の拡張や更新を行うことを可能とする進化指向アーキテクチャ(EoA)について論じる。さらに,SOPを構築する上でキーとなる要素技術として,仮想システムのパッケージ化技術,ダイナミックリソース管理技術,および運用管理技術について述べる。

吉田 浩, 武 理一郎, 岸本 光弘, 日比 賢伸

ネットワーク経由でICTキャパシティを利用するクラウドコンピューティングは,先行投資を軽減させICTを積極活用する有効手段として企業でも本格展開フェーズを迎える。クラウドサービスの一つであるIaaSは仮想マシン,仮想ストレージ,仮想ネットワークなどを必要なときに必要なだけ利用でき,業種や規模によらず多くの企業で活用できる。利用形態は特性によりパブリック,バーチャルプライベート,プライベートの3種類に分類できる。富士通が提供するIaaSであるオンデマンド仮想システムサービスは設計レス,オンデマンド,セルフサービスといった特長を持ち,企業が利用する上での使い勝手を重視している。利用効果として事業戦略に沿ったICT資源の活用やハードウェアライフサイクルからの解放が期待できる。一方,仮想化や分散処理に適したアプリケーション開発手法など課題もある。企業のICTが取引先や顧客へと拡大していく中,クラウドサービスの活用が欠かせない。

谷内 康隆

プレスリリースお客様の最適なシステム運用を実現するクラウドサービスを提供開始

事例

汎用アプリケーションを中心に展開されているSaaSも,最近では業種アプリケーションでもその利用形態が広まりつつある。すでに導入されている非定型業務に加え,基幹業務においてはSIの中で企業個別に導入されるケースが出始めてきた。一方,SaaSを利用する側である企業の情報システムに目を向けると,情報化投資は回復の兆しを見せているが,先が見通せないことから,外的要件に左右されないシステムの構築に向け,「小さく迅速な開発」や「内製化による設計・開発・運用」といった考えが主流となりつつある。それに合わせ,お客様のサービスプロバイダへの期待も変化し,単なる機能提供ではなく,お客様の業績に貢献する仕組みの提案を求められている。
本稿では,このように変化する市場の要求に対する,富士通の取組みと今後の方向性,および提供サービスについて,適用事例を交えて説明する。

輪島 章司

ハウジングやホスティングに代表される従来型データセンターアウトソーシングサービスは,個々のお客様専用に必要なITリソースやオペレータを確保するため,データセンターの物理的な制約や人的リソースの制約を受けやすく,リードタイムが長い,短期契約が困難などの問題を抱えていた。そこで富士通は,仮想化・自律化技術を適用した「次世代データセンターアウトソーシングサービス」の研究・開発を進め,お客様へ,より早く・より安く・より柔軟なデータセンターサービスの提供を目指してきた。
本稿では,次世代データセンターアウトソーシングサービスへの取組みとして,実際に商用サービスを提供している「オンデマンドホスティングサービス」と「オーガニックストレージサービス」の適用事例を紹介する。

鴨志田 稔, 林 智宣, 高木 俊輔

現在,日本の農業者が利用しているICTシステムの多くは税務処理やトレーサビリティ管理など国や流通業などの「非農業者」側が必要としている仕組みである。著者らはこの現状を踏まえた上で,最新技術(センサ,無線,クラウド)の導入・農業分野へのアプローチの抜本的見直し・ビジネスフィージビリティスタディを柱に真に農業分野に役立つクラウドサービスの仮説モデルを立て,国内の生産法人2社に協力いただいて実証実験を行っている。また,その仮説モデルは農業分野だけにとどまらず医療・介護,保守など現場業務と共通部分が多く,横展開を見据えた活動も行っている。
本稿では,実際に農業現場で得られた知見とその後の分析に基づき,農業とクラウドの親和性および実証で用いた技術の他分野への応用に関して論述する。

堀 光良, 河嶋 英治, 山崎 富広

プレスリリース農業分野向けクラウドサービスを提供開始


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