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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2006-9月号 (VOL.57, NO.5)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2006-9

特集:「安心・安全な社会を支えるIT」

富士通は,安心・安全なIT基盤を実現するために先進のテクノロジを研究開発するとともに,安心・安全な社会の実現に向けてITを様々な分野に活用する取組みを行っております。

今回の特集号では,「防災」,「ユニバーサル移動」,「ヘルスケア」,「環境」などの安心・安全な地域社会に貢献するソリューション,つぎに「緊急連絡/安否確認」や「情報セキュリティ」,「ストレージ-LCM」などの安心・安全な経済活動を実現する各種ソリューションと,これからのユビキタスネット社会を支えるRFID,画像やミリ波によるセンサやIT基盤,ネットワークなどの安心・安全を実現する技術をご紹介してまいります。


経営執行役常務
サービスプロダクトビジネスグループ長
セキュリティソリューション本部長
石田 一雄
経営執行役常務 サービスプロダクトビジネスグループ長 セキュリティソリューション本部長 石田 一雄 写真

安心・安全な社会を支えるIT特集に寄せて(PDF)

富士通は,「安全」で「安心」して暮らせる高信頼な社会の実現に向けて,高性能・高品質なプロダクトやサービスの企画,設計・構築,運用・保守までのライフサイクル全般にわたってお客様事業へのイノベーションをご提案することで,お客様との「信頼」を築き,事業の「継続」に向けた積極的な活動を展開してまいります。

特集:安心・安全な社会を支えるIT 目次〕

概要

  • 安心・安全な社会に向けた富士通の取組み
  • 富士通におけるBCP(事業継続計画)策定

安心・安全な地域社会に貢献するITソリューション

  • 地域社会での情報共有と行政の業務継続
  • 自治体向け災害・危機対応ソリューション
  • 国土交通省自律移動支援プロジェクトにおける富士通の実証実験
  • 富士通のヘルスケア分野における「安心・安全」への取り組み
  • 企業や地域の安心・安全を支える環境ソリューション

安心・安全を実現するソリューション

  • 緊急連絡/安否確認サービス
  • 情報セキュリティソリューション
  • 安心・安全な運用を提供するストレージ-LCMサービス

安心・安全を実現する技術

  • RFIDタグ製品と安全性適用例
  • 安心・安全社会を支える画像認識による広域監視技術
  • 鉄道踏切の安全を高めるITSセンサ
  • 安心・安全を支えるIT基盤
  • 安心・安全なネットワークを支える技術と富士通のソリューション

特集:安心・安全な社会を支えるIT


概要

2004年12月に総務省が発表したu-Japan政策では,「いつでも,どこでも,何でも,誰でも」ネットワークにつながり,情報の自在なやり取りを行うことができるユビキタスネット社会が2010年に向けて実現されようとしている。それを支えるICT基盤の整備と利活用が進むことにより,利便性の高い社会が形成される一方で,ICT利用時のセキュリティの確保は大きな社会的課題となっている。これらの背景から,富士通では安心・安全な社会に向けてのICT利活用分野として,防災・防犯,環境,児童・高齢者の生活,医療,交通などに取り組むとともに,企業経営における安心・安全を支え,企業価値を高めるためにICTを活用する「安心安全ソリューション体系」を整備した。
本稿では,ICT利活用を支える技術の動向を明確にし,安心・安全な社会に向けた富士通の取組みを紹介する。

太田 大州,横山 耕三

事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)は,高まるリスク環境を背景に,不測の事態における企業の対応力を強化する経営管理手法として近年注目を集めている。しかし,机上の論理だけでなく,日本企業の経営環境に合わせた実用的なBCP策定手法として確立されたものはいまだになく,各企業における策定担当者は大変な苦労を強いられながら作業を進めている。
富士通は,自社グループ内の,様々な事業形態に合わせた自社のBCP策定推進により,実践的な手法の開発および策定を効率化するソフトウェアツール“BCEXPERT”の開発を行っている。富士通のBCP策定手法は,“Fujitsu Business Continuity Management Model”として標準化されており,事業プロセスおよびプロセスを構成するリソースの構造化を通して,事業継続に必要不可欠なリソースを抽出し,様々なリスクシナリオにおけるリソース被害が事業に与える影響度を分析する手法を中心としたものである。この手法はBCP策定のみならず,経営におけるリソース最適化のためにも活用できるものである。

伊藤 毅,折笠 秀明,吉田 哲也

安心・安全な地域社会に貢献するITソリューション

災害被害を軽減させるためには,地域社会で助け合う「共助」が重要である。また,発災後の対応には限界があり,日常から業務内容を分析し脆弱な点を見極め改善していくことが求められる。
本稿では,災害被害を軽減することを目的とした情報共有の仕組みに対する国内での取組み状況,米国政府が採用する災害対応手順や指揮系統・用語などの標準であるICS(Incident Command System),行政機関における業務継続であるCOOP(Continuity of Operation)への取組みなどの概要を紹介する。また,これらを踏まえた富士通の災害対応に向けたソリューション体系である「インシデントコマンドソリューション」と中核となる機能である「プロセスリソースモデルによる対応優先度の判断支援機能」を紹介する。

新谷 洋人,阿部 浩一,下田 雅和

昨今の頻発する自然災害,また近年の国際的テロ活動や武力事態の懸念から「国民保護法」が施行され,国・都道府県・市町村,地方公共団体が連携する新たな危機管理体制が構築されている。また,社会情勢の変化に応じ,自治体に対して「住民の安心・安全」への期待が高まってきている。これらの背景を受け,各自治体では従来の防災計画に加え,武力攻撃事態などにおける住民の避難や避難住民の救援,武力攻撃災害への対処など危機管理を含めた計画の見直しを実施中である。
本稿では,自治体における防災・危機管理の業務を分析し,従来の総合防災情報システムに加え,国民保護法を見据えた自治体向け「災害・危機対応ソリューション」を紹介する。

小見山 浩一,山本 欣督,和才 恵子

国土交通省では,日本における急速な少子高齢化などの社会環境変化を見据え,ユビキタス技術を活用し,ユニバーサルな新社会インフラを構築する先進プロジェクトとして「自律移動支援プロジェクト」を進めている。富士通は,サポータ企業として本プロジェクトに当初から参画しており,2005年10月に神戸市において最先端のユビキタス技術を用いた利用者視点でのサービス実証実験を実施した。
本稿では,本プロジェクトの意義と実証実験を通じて得たサービス・技術の有効性や課題,今後の展望について紹介する。

中田 昭哉

富士通・ヘルスケアソリューション事業本部は,病院・診療所などの医療機関・介護分野から医薬品メーカ・臨床検査会社・医薬品卸・バイオ研究支援などに至るまで,ヘルスケア分野にかかわるITソリューション・サービスを横断的・包括的に提供している。
本稿では,医療従事者などのヘルスケアサービスの提供者や,患者の方々に代表されるそのサービスを享受する方々に対して,ITを通して「安心・安全」を提供すること,また,それに対する富士通の取組みを紹介する。前半では,患者の方々や医療現場にかかわる方々に対して,富士通が病院情報システムや付帯サービスを通して提供・実践してきた事柄やこれからの取組みを紹介する。また後半では,「より良い医薬品や医薬品に関わる情報を,より良い形で患者や医療機関の方々などに提供する」という観点で,富士通が医薬品の分野に対して提供している取組みを紹介する。

大串 英明,高橋 浩一

地球温暖化対策,廃棄物削減とリサイクルの推進,有害物質の管理など,環境問題への対応はグローバルに重要性を増している。企業には地球環境問題を率先して解決していくべき責任がある。ビジネス存続の条件として,また競争力強化の源泉の一つとしてとらえるべきである。
住民や消費者にとっては,自分たちが暮らし,あるいは働く場所の地域環境や,購入する商品の環境配慮が関心事となる。環境にかかわる科学的知見は日々進化しており,企業や行政機関にとっては,環境情報の適正な管理を行うとともに,タイムリな情報提供などにより説明責任を果たしていくことが,関係者の安心感や信頼感を維持する上で重要である。
本稿では,企業や行政機関が環境対策の面で消費者や住民の安心・安全を保障していくための支援に役立つ富士通グループが提供するソリューションについて述べる。

佐藤 貢,串間 洋

安心・安全を実現するソリューション

地震,津波,台風など,災害発生時には迅速に従業員,職員への緊急連絡・安否確認を実施する必要がある。しかし,従来から行われてきた電話を使用した連絡網では,時間と手間がかかる,全体状況の把握ができず活動計画立案ができない,復旧に向けた対応が遅れる,などの問題があり,事業継続(Business Continuity)の大きな障害となってしまう。
富士通では,携帯電話のE-mailが災害時の輻輳や通信制限の影響を受けにくいことに着目し,短時間で簡単に従業員,職員の安否確認を行える緊急連絡/安否確認サービスを開発した。2004年3月からサービスを開始し,業務継続を支援するツールの一つとしてお客様から好評をいただいている。
本稿では緊急連絡/安否確認サービスの最新版について,開発の背景,サービスの概要・特徴を紹介する。

齋藤 剛,田川 佳雄,堀口 敦

「日本版SOX法」に代表される動きが活発化し,情報セキュリティガバナンスへの取組みが求められている。企業・組織は情報セキュリティガバナンスを確立する上で,マネジメントシステムを構築し,顧客・投資家・ビジネスパートナなどのステークホルダに対して,情報セキュリティ対策の取組みを継続的に説明することが必要となってきている。
また,政府も企業の情報セキュリティ対策の取組みを推進するための「情報セキュリティ報告書モデル」を提唱した。
富士通はこのような背景のもと,企業の有効かつ,効率的な情報セキュリティ投資を支援するエンタープライズセキュリティアーキテクチャ(ESA)という概念を提唱するとともに,製品・サービスの体系であるセキュリティソリューションを提供している。
本稿では,情報セキュリティ報告書モデルを紹介し,富士通のESAの概念とそれに基づくセキュリティソリューションを紹介する。

内田 清貴,菅野 憲昭,安藤 彰一

富士通では,情報システムを安心かつ安全に運用をし続けるための取組みとして「データを守る」という観点からストレージ-LCMサービス(Storage Life Cycle Management Service)を提供している。本サービスはストレージインフラのライフサイクル全般を専門技術者が担うことで高品質かつ可用性の高い運用を実現している。さらに,昨今注目を集めている「情報セキュリティ」や「事業継続」に向けたソリューションサービスの品揃えにも力を入れている。
本稿ではストレージ-LCMサービスにおける全般的な取組みを紹介するとともに,代表的な四つのソリューションサービス(オフィス文書運用管理サービス,電子メール管理サービス,リアルタイム遠隔地データ保管サービス,業務可用性向上サービス)について,サービス提供に至った背景,具体的な取組みおよびサービスの特長について紹介する。

秋吉 善博,鴨志田 稔,木村 雅則

安心・安全を実現する技術

安心・安全を支える技術の一つとして,個体識別技術がある。一例としては,機密情報を格納する電子媒体やノートPCを識別し,保管状況,貸出・返却管理などを行う情報セキュリティ,食品を生産過程から識別し,消費者に情報を提供する食品トレーサビリティ,個人を識別し施設への入室の制限,入退室履歴の保管などを行う入退室管理などである。
離れたところから,個体を識別する技術として,現在RFID(Radio Frequency Identification)が注目を集めている。富士通では2004年より13.56 MHz帯RFID製品の出荷を開始し,UHF帯RFID,アクティブタグとRFID製品のラインナップ整備を進めてきた。
本稿では,これらの製品ラインナップと,媒体管理,家畜管理,資産管理および作業員管理への適用事例について述べる。

橋本 繁,落合 孝直,山本 浩憲

安心・安全社会を構築するためには,「社会を見守る目」が必要である。とくに,公園や公共施設など,多くの人が集まる広域での場所では,人の目が行き届かない死角が多く,犯罪が発生する可能性が高い。著者らは,「社会を見守る目」として,画像認識という人の目に代わる技術を使うことで,24時間365日広域での場所を監視する技術を開発した。
この技術は,75 m四方もの広い範囲で,画像中で小さく写る5画素程度の人でも認識し,その位置を通知する技術である。具体的には,「周波数パターン強調差分法」と呼ぶ,背景と人などの物体との空間周波数の違いによって,小さな物体でも抽出する技術である。さらに,物体の持つ周波数成分を強調して抽出することで,実用に不可欠な天候や日照変化への耐性も高い。実地での評価では,30~75 m四方の広域で95%以上の物体の抽出率で実現した。
本稿では,人の目に代わって自動監視する上での課題と,その課題の解決技術を紹介する。

中山 收文,三浦 真樹

「安心・安全」を目的としたITS(Intelligent Transport Systems)開発が国を挙げて進められており,あらゆる交通環境を情報通信技術(IT)によって新たな社会システムに変えようとしている。富士通グループでも,1996年に政府IT戦略本部が発した施策に沿って各種IT適用のもと,長年の技術・ノウハウの蓄積による強みを発揮して車の走行支援分野などで実用化を始めた。さらに,今までの富士通グループでの取組みに加えて,鉄道踏切事故を大幅に削減することを目指してパルス方式のミリ波センサを新規に開発している。従来のセンサは踏切内滞留の大きな車両だけを線状に検知するのに対して,新たなセンサは,これに加えて歩行者,車いす,自転車などをも,面状で検知する。この実現のため,著者らはミリ波の周波数帯において例のないレーダ方式を採用した。
本稿では,踏切の安全の概要とミリ波センサの実用化,新規センサの開発状況を述べて,最後にこの新規センサのシステムへの適用と展開について述べる。

堀松 哲夫

お客様を取り巻くビジネス環境は,予測困難なスピードで変化を続けている。このような環境変化に即応し,ビジネスを拡大させるためには,経営とITの一体化が不可欠となる。一方,ビジネスプロセスや業務アプリケーションのベースであるIT基盤の不具合は,ビジネスに多大なインパクトを与える恐れがあり,お客様は安心・安全を支えるIT基盤を求めている。富士通はこれに応えるIT基盤として「機敏性」「効率性」「継続性」を追求する「TRIOLE(トリオーレ)」を継続的に強化してきた。
本稿では,TRIOLEのアーキテクチャを概説し,TRIOLEの目指す方向と進展をモデリングおよびテクノロジという二つの切り口で説明する。さらにTRIOLEによるソリューション例として,ディザスタリカバリ,ITシステムの運用性向上,システムコンソリデーションとこれらを総合的に提案する社内システム“TRIOLE System Organizer”を紹介する。

山際 勝也,楠 佳奈子,佐藤 博文,神谷 匡洋

インターネットを中心とした情報インフラへの依存度を増す現代社会では,安心・安全なインフラを設計・構築し,それを日々最適に維持・運用することが至上命題となっている。インターネットに依存する社会は,利便性を飛躍的に向上させたが,一方で,一瞬にして多大な損害を被る,あるいは,危機的な事態に遭遇する危険性を増大させている。
本稿では,このような脅威に対して社会の安心・安全を確保し,向上させるためにネットワークがどのような役割を果たすことができるかを述べる。具体的には,ネットワークの信頼性や品質を高めるとともに,ネットワーク上の脅威から企業や個人を守るために取り得る安心・安全への対策・技術について述べる。また,ネットワークへの対策・技術を実際に企業のインフラに導入し,お客様の情報資産を守る富士通のソリューションを紹介する。

今林 徹,石田 健司


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