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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2005-5月号 (VOL.56, NO.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2005-5

特集: 「基幹IAサーバ/Linux」

本特集では, 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”のハードウェア技術を中心に, ミッションクリティカル領域へのLinux適用に向けた富士通の取組みやサポート, IAサーバ/Linuxの導入事例を紹介します。


経営執行役 サーバシステム事業本部長
山中 明
経営執行役  サーバシステム事業本部長  山中 明  写真

基幹IAサーバ/Linux特集に寄せて (PDF)

富士通はミッションクリティカル領域への普及が拡大しているLinuxを戦略的重点プラットフォームと位置付けており, 富士通が持つ基幹システム構築ノウハウを適用することで, ミッションクリティカル領域の大規模基幹系システムに適用可能なLinuxソリューションを提供します。

特集: 基幹IAサーバ/Linux 目次〕

オープンソースソフトウェア“Linux”と基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”

  • オープンシステムの流れと富士通の取組み
  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”のねらいと特長

高信頼性を実現するハードウェア技術

  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”の高信頼システムを実現する技術
  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”の高性能・高信頼を実現するチップセット
  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”の高信頼システムミラー機構
  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”の柔軟性・信頼性を増すフレキシブルI/O機構
  • TCO削減を実現する基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”の運用管理

オペレーティングシステムとミドルウェア

  • 急速に成熟するLinuxOS(機能・信頼性)
  • 基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”とPRIMECLUSTERの連携
  • 基幹IAサーバへのミドルウェア製品の適用

サポートサービス

  • 富士通におけるLinuxOSのサポート

Linuxで実現するソリューション

  • Linuxの金融基幹系システムへの適用
  • Linuxで実現する電子自治体ソリューション
  • 大学向けポータル構築パッケージ:Campusmate/Portal
  • Linux搭載PCクラスタによるHPCへの取組み

特集:基幹IAサーバ/Linux


オープンソースソフトウェア“Linux”と基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”

2005年4月,富士通は,基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”を発表した。本サーバの特徴の一つは,ハードウェアおよびソフトウェアの完全なオープン性である。
本稿では,オープンシステムという概念が生まれた背景,利用者に与えた影響を考察し,加えて,ここ数年,急速に普及が拡大しているオープンソースOSであるLinuxをとりあげて,Linuxに代表されるオープンソースソフトウェアの流れを詳説する。さらに,オープンシステムの観点からPRIMEQUESTを構成するハードウェア,OS,ミドルウェアなどについて論考し,富士通がオープンシステム,およびオープンソースソフトウェアの利用を積極的に推進する背景を説明する。

工内 隆

ブロードバンドインターネットの本格展開を迎えて,サーバプラットフォームへの市場要件が変化している。従来の高信頼・高性能に加えて,24時間365日無停止運転と障害復旧時間の短縮,柔軟なシステムインテグレーション,ミドルウェアやアプリケーションを含めたオープン素材による効率化の追求,移行・保守運用性の改善などにより最終的なお客様のメリットとして「トータル維持コスト(TCO)削減と投資収益率(ROI)の最大化」の実現が真に求められている。富士通はオープンスタンダードとなっているIA技術とLinux/Windowsをベースに,メインフレームやUNIXシステム開発で長年蓄えてきたノウハウと経験を結集し,世界のメジャープレーヤと戦略的連携を行い,市場要件に応える基幹IAサーバ開発をリードしている。
本稿では,基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”のねらいと取組み,特長,ターゲット市場について説明する。

黒川 明佳,雄城 嘉史

高信頼性を実現するハードウェア技術

基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”は,基幹業務に適用するために必要な高信頼性,高可用性を実現するために,チップセットレベルから,ユニットレベル,システムレベルにわたり各種RAS(Reliability, Availability, Serviceability)機能を装備している。
本稿では,PRIMEQUESTの概要を説明し,その後,システムの各階層で採用している高信頼性技術を中心に,高速化技術,スケーラビリティ,高信頼性・高可用性技術について述べる。

浜田 王才

富士通はインテル社と密に協業し,インテル社の高性能・高信頼性を誇る64ビットマイクロプロセッサであるItanium2シリーズの最新プロセッサを搭載し富士通のメインフレームで培った高信頼性技術を導入した基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”を開発した。このPRIMEQUESTには1CPUから32CPU(第2世代は64CPU)へのスケーラビリティとメインフレームと同等の高信頼性を実現している。このために富士通の最新ASICテクノロジであるCS101を採用し,六つのチップセットを新規に開発した。
このチップセット開発では,従来の高信頼性技術のほかに,チップセット間の高速リンクやアドレス,システム全体の2重化(チップセット内部も含む)や新しい汎用高速IOインタフェースであるPCI-Expressといった新規の技術にもチャレンジし実装に成功している。
本稿では,今回開発したチップセットの概要について述べる。

柴田 泰秀

基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”で採用したシステムミラー機構(オプション製品)は,ハードウェアコンポーネントを2重化し,2重化したハードウェアコンポーネントをクロック同期で動作させる。この2重化したハードウェアコンポーネントの片側で故障が発生した場合には,ソフトウェアの介入を一切必要とせずに,残りの一方で処理を継続してシステムの可用性を大幅に高める機能である。このシステムミラー機構はハードウェアのみで実現しているので,ソフトウェアには一切手を加える必要がなく,従来のままのソフトウェアを使用して,高い信頼性と可用性を得ることができる。
本稿では,システムミラー機構の概要,システムミラー機構によって実現される利点について説明する。

浜田 王才

基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”では,CPUとメモリを搭載したシステムボード(SB)と呼ばれるユニットと,HDD(Hard Disk Drive),PCIスロットなどのI/O関連ブロックを搭載したIOユニット(IOU)を物理的に分離して実装し,両ユニットをクロスバで結合した構造を採用している。この構造により,任意のSBと任意のIOユニットを組み合わせてパーティションを構成することが可能である。つまり,任意のIOユニットは任意のSBと組み合わせることが可能であり,この機能を「フレキシブルI/O機構」と称している。このフレキシブルI/O機構を利用することにより,種々の利点を実現することが可能となる。
本稿では,フレキシブルI/O機構の概要と,フレキシブルI/O機構によって実現される利点を紹介する。

浜田 王才

サーバシステムの安定稼働には,システムの運用管理機能が重要であるが,一方でその運用管理を行うために多大なコストの負担を強いられているのが現状である。
基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”では,運用管理に必要な機能をサーバ筐体内に搭載されたサーバ管理専用ユニット(MMB)で実現し,MMBで提供されるWeb-UI機能によりサーバ管理に必要なすべての運用管理機能の一元的な操作を可能とした。また,各種用途に応じたLANを筐体内で接続し,システム導入・構成変更の際にもLANケーブル接続の変更などを不要としている。これらの仕組みにより,サーバ管理を行うための管理コストの大幅な削減を可能とした。
本稿では,PRIMEQUESTの安定稼働を支える各種運用管理の機能・特徴について説明する。

千本 哲男

オペレーティングシステムとミドルウェア

LinuxはLinuxコミュニティと呼ばれるメーリングリストにおいて,ボランティアによる開発や使用実績作り,障害修正作成などの活動により,長足の進歩を続けている。現在のLinuxの最新カーネル版数である2.6は,メモリ管理機能やスケジューラ機能の改善により,さらに進歩したOSとなっている。
本稿では,富士通が基幹システムに必須と考え,コミュニティの一員として開発に参加したdiskdump(カーネルクラッシュ時やハング時の確実なダンプ採取),MCA強化(マシンチェック機構を活用した影響範囲の限定と回復),udev(デバイスの保守や増設などの前後で名称が変わらないデバイス名称の柔軟な決定機構),ホットプラグ(CPU,メモリ,IOバスなどの活性保守・キャパシティ変更機能)の四つの機能について述べる。

黒羽 法男

ユビキタス時代のITシステムは,大規模な負荷変動への対応や24時間365日連続稼働への要求が高く,基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”はこのようなITシステムの中核サーバとして,「オープン,ミッションクリティカル,グローバル」の三つのキーワードを基本に開発された。また,PRIMECLUSTERは,サーバ,ストレージ,ネットワークの冗長構成を活用して可用性を向上し,連続稼働時間を最大化する基盤ソフトウェアであり,富士通製ミドルウェア,サーバ,ストレージとの組合せで,他社との競争力を強化してきた。このPRIMEQUESTとPRIMECLUSTERの連携に,これまで培ってきたUNIXサーバの高信頼化技術を結集し,オープンシステムで最高の信頼性と連続稼働時間を実現する。
本稿では,PRIMEQUESTとPRIMECLUSTERの連携と高信頼化テクノロジについて紹介する。

酒井 勝

今日のITシステムは,24時間365日ノンストップのサービス提供が求められている。また,オープン化やネットワーク化が進むビジネス環境では,高度化,複雑化するITシステムの重要度も増大し,自社のシステムを安全に,かつ確実に守るために膨大なコストを費やすことになる。
富士通では,このような課題を解決するために,基幹IAサーバ“PRIMEQUEST”を適用したオープンな基幹システムにおいて,メインフレームなみの高信頼性・高堅ろう性を実現するミドルウェア製品を提供している。
本稿では,本ミドルウェア製品の統合運用管理ミドルウェアSystemwalker,アプリケーション実行基盤Interstage Application Server,基幹システムフレームワークInterstage Business Application Serverおよびデータベース管理Symfoware Serverの概要と特長を述べる。

恒屋 明,松本 進,藤田 和彦,小幡 孝司

サポートサービス

エンタプライズ向けの商用ディストリビューションが登場し,その上で稼働する業務アプリケーションが出そろい,一般企業や自治体でもLinuxの導入が進んでいる。Linuxを使ったシステムは,以前ではWebサーバやメールサーバなどのネットワークのフロントエンドでの利用が多かったが,最近では企業の基幹業務にまで採用され,24時間365日のノンストップ稼働が要求されてきている。このようなシステムダウンが許されないシステムにおけるサポート業務は非常に重要な役割を担っている。
本稿では,富士通のLinuxOSのサポート業務に関して,ディストリビュータとの連携と体制,サポート方針,サポート内容,サポート期間などについて述べる。

嘉村 健

Linuxで実現するソリューション

金融業界では,総合金融サービス化や市場型金融の進展などの流れの中で,ビジネスモデルの変革が求められている。
今後の金融機関のシステムにおいては,従来より求められてきた業務処理・事務処理の高性能・高品質・高信頼の実現という要件に加えて,「容易な自社内・他社連携」,「開発期間短縮」,「TCO削減」が重要な要素となる。また,並行して複雑化した既存システムの見直しが不可欠である。
富士通では,こうした課題の解決に向けて,大規模基幹システムをLinuxをはじめとするオープン環境で実現する「次世代金融基幹系ソリューション」を提供している。
本稿では,本ソリューションの概要と特長について紹介する。

若林 毅

2005年までに世界最先端のIT国家となることを目指した「e-Japan戦略」は,基盤整備から利活用の「e-Japan戦略II」へと国家戦略構想がシフトしている。これからの電子自治体は,より高い利用者ニーズに応えた行政サービスの提供,行政のスリム化,コスト低減化へと進展していく。またインターネット世界にまん延するハッキングやウイルス,個人情報漏えいなどのリスクと対じする中で,新たな社会リスクを回避し,高い効率性,より安価でより安心なシステムを構築していかなければならないという宿命を背負っている。富士通はLinuxをベースとしたインフラ群によって,これからの自治体が抱える課題に対して,より最適なソリューションを提供していく。
本稿では,富士通が取り組む電子自治体におけるLinux上のソリューションについて,導入事例も交えて紹介する。

砂田 敬之,太田 勝久

インターネットの普及に伴い「いつでも,どこでも」欲しい情報が入手でき,希望するサービスが受けられる環境が整った。大学においても学生満足度向上の観点から,ネットワーク環境を活用した学生サービスの充実に取り組んでおり,昨今では学内情報をパーソナライズして提供するポータルシステムの構築が注目されている。
富士通では,大学向けポータルシステム構築パッケージとして“Campusmate/Portal”の提供を開始した。本製品は,導入の容易さ,コストパフォーマンス,セキュリティにおいて優れているLinuxをベースとしたIAサーバでの運用を想定して開発されており,導入大学では安定した環境の下,ワンストップサービスによる学生の利便性向上を実現している。
本稿では,Campusmate/Portalの機能を中心に,大学におけるIAサーバによるポータルシステムの活用方法について紹介する。

木下 博行,伊丹 正宙

PCクラスタは,パソコン(PC)のCPU性能向上と搭載メモリの大容量化,およびLinuxなどのオープンソースソフトウェアの充実を背景にHPC分野に登場した。PCクラスタは当初,安価だが手間のかかるシステムとして小規模な専用システムとして利用されていた。しかし現在では,“TOP500”(www.top500.org)のランキングの上位を含めた多くのシステムに採用されており,従来のメーカ製スーパーコンピュータと同様に,大規模な計算機センタの中核システムとして利用されるようになってきている。
本稿では,PCクラスタの要素技術を紹介し,PCクラスタを計算機センタの中核システムへ適用する場合の要件と課題を示す。その上で,富士通のPCクラスタへの取組みについて,今後の課題を含め述べる。

井口 裕次


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