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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

1999-3月号 (VOL.50, NO.2)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 1999-3

特集: 「コンポーネントウェア」

コンポーネントウェア特集に寄せて(PDF)

特集: コンポーネントウェア 目次〕

特集

  • コンポーネント指向ソフトウェア開発へのいざない
  • コンポーネント指向開発への富士通の取組み
  • クライアントコンポーネント
  • サーバコンポーネントのインフラ技術
  • コンポーネントをベースとしたアプリケーション開発環境
  • コンポーネント指向開発の今後の展望

一般

  • 段差縦ステレオ法によるリアルタイム前方車間計測
  • MPEG-2ビデオエンコーダLSIの開発とその応用
  • 低レート向け動画像符号化方式

特集:コンポーネントウェア


特集

ソフトウェアの部品を組み合わせてアプリケーションを開発するコンポーネント指向ソフトウェア開発技術の背景,概念,技術を紹介する。
ビジネスと技術の両面で変化と速度が求められている現在,ソフトウェア開発にも変革が求められている。コンポーネント指向は,技術を部品として蓄積,再利用するとともにモジュール化アーキテクチャによって変化に柔軟に対応できる仕組みを提供する。そのため,部品の共通インタフェースを定め,それを組み込む共通ソフトウェアアーキテクチャをミドルウェアとして提供する。この上に,基盤的部品からアプリケーションの雛形に至る多様な部品を提供する。部品の標準化も行われている。部品を視覚的に組み合わせてアプリケーションを開発できる環境も提供する。
今後,コンポーネント指向ソフトウェア開発技術は,ネットワーク環境とあいまって,多様で高品質なサービスを迅速にかつ効率良く提供する鍵となる。

青山 幹雄

本稿では,コンポーネント指向システム開発に向けた,富士通の取組みの全体像を紹介する。1997年11月にコンセプトを発表して以来,以下の三つの段階でコンポーネント関連技術の開発と製品提供を進めている。第一段階では,クライアントを中心としたシステム開発で,高機能のGUIコンポーネントを提供し,生産性効果を上げている。第二段階では,Javaを中心としたサーバアプリケーション開発の環境を提供する。ここでは,開発用のフレームワークおよび開発環境の整備を進めている。第三段階は,Enterprise JavaBeans(EJB)規約に基づくビジネスオブジェクトの提供と流通が主題である。
これらの一連の技術開発には,「抽象化」を軸とする富士通のコンポーネントウェアの考え方が底流にある。この考え方のもとに,GUIからビジネスオブジェクトに至るコンポーネント製品を体系的に整備している。

橋本 惠二、大島 丈史

ソフトウェア部品の再利用はソフトウェア開発者の長年の夢であったが,オブジェクト指向技術から派生したコンポーネント技術によって現実のものとなりつつある。昨今の情報インフラの発展に伴うビジネス環境の変革により,企業情報システムの構築には,開発期間の短縮,開発コストの削減が求められている。そこで,システム開発の生産性を高める方法として効果を上げているのがコンポーネント技術の活用である。現在,市場にはJavaBeansやActiveXコントロールなどの標準化されたコンポーネント技術がある。
本稿では,これらのクライアントアプリケーション向けのコンポーネントのねらいについて述べ,富士通のコンポーネント製品“ComponentAA/Client J”,“ComponentAA/Client X”の概要と特長および今後の展開について紹介する。

古川 利満、中西 英樹

インターネットをはじめとするネットワークコンピューティングの進展により,情報システムのグローバル化が加速し続けている。このシステム構築に向け,異種システム・分散環境間でのコンポーネント間連携を実現する分散オブジェクト技術が論じられていたが,近年,企業間で協調して効率的にシステムを構築したいというニーズが高まり,コンポーネントの企業間での可搬性を実現する技術が着目されている。Enterprise JavaBeansはSun Microsystemsが提唱するJavaのための分散オブジェクト指向技術を用いたコンポーネントアーキテクチャであり,サーバコンポーネントの可搬性を保証する標準アーキテクチャとしてコンポーネント実行環境を提供するベンダから広く支持されている。
本稿では標準化されるアーキテクチャの特徴と上記状況の中で富士通が提供するサーバコンポーネントの実行環境の特長を紹介する。

藤井 泰

システム開発の分野で,とくにオブジェクト指向のプログラミング言語の出現により,プログラムの部品化と資産の再利用化などの技術が一段と加速した。ところが,オブジェクト指向のクラスを,いわば「小さい部品」として再利用するだけでは,生産性の向上や開発期間の短縮に限界があることがはっきりしてきた。このような状況の中で,より「大きい部品」の再利用を可能とする技術として,「コンポーネント技術」という新しい技術が注目されている。コンポーネント技術を利用して,アーキテクチャやフレームワークなどの枠組みを定めることにより,ビジネスアプリケーションの開発を容易に行うことができる。
本稿では,富士通の提供するコンポーネント技術のうち,上流工程を支援する分析・設計ツールから下流の開発ツールまで,一貫した開発環境の特長を紹介する。

濱野 義満、銀林 純

ネットワークコンピューティング環境の進展に伴い,企業の基幹系システムを支えるサーバコンポーネントへの期待がますます大きくなっている。本稿では,富士通で取り組んでいる,ビジネスオブジェクトのアーキテクチャと,それに基づく開発方法論,およびビジネスオブジェクトの標準化について述べる。
これらの技術開発において,これまでの情報システムの開発経験,データ中心型の方法論の適用など,富士通の経験を集約して進めている。アーキテクチャの特徴は,「コアビジネスモデル」と呼ぶデータベースの構造と制約に伴うアプリケーションの振舞いを集約した概念の導入にある。従来のデータベースを中心に形成されてきた業種のアーキテクチャを,この概念で再整理し,業種・業務に共通なビジネスオブジェクトの型を規定することをねらっている。これを技術基盤として,業務分析から実装までの開発方法論も併せて整備している。

橋本 惠二、林 恵美子

一般

筆者らは,交通渋滞などでの疲労による前方車との衝突を未然に防ぐために,前方車との車間距離を動画像処理技術を使って計測する技術を開発した。この技術では,自動車への搭載性と距離計測の安定性や容易さを考慮して,二つのカメラを段差をつけて縦列配置した段差縦ステレオ方式を考案し,運転者の視界の妨げにならないで高精度な距離計測を実現した。その有効性を評価するために,汎用動画像処理システムISHTAR(イシターと呼ぶ)上に本方式を搭載し,距離精度を評価するとともに,実時間で実際の道路映像によりシステムの安定性を評価し,それぞれ実用に耐えうる良好な結果を得た。

塩原 守人、宮﨑 望、中村 隆一

動画像のディジタル化のキーテクノロジとして注目されている,国際標準動画像符号化方式“MPEG-2”に準拠した1チップビデオエンコーダLSIを開発した。本LSIは,MPEG-2のエンコード処理で最も大きな比重を占める「動きベクトル探索処理」について,独自のアルゴリズムを採用するなど,チップアーキテクチャ全体について最適化を行い,高画質と回路規模の大幅な削減を実現した。この結果,0.35μmのCMOSプロセスにおいて,250万トランジスタで1チップ化を実現し,現在までに公表されているMPEG-2エンコーダLSIの中で最小ゲート規模を達成した。
本稿では,MPEG-2ビデオエンコーダLSIと,本LSIの応用として開発した,通信用のエンコーダ試作機およびパーソナルコンピュータ用のコーデックカードについて述べる。

大塚 竜志、酒井 潔、西澤 美次

PHSのデータ通信サービスや,既存のアナログ電話回線用の高速モデムを用いれば,数十kbpsのディジタルデータ通信を行うことは容易であり,これを利用すれば,動画像通信を行うこともできる。ところで,ITU-Tで標準化された動画像符号化方式であるH.263は,様々な画像を少ない情報量に圧縮できる優れた方式である。しかし,大きな動きが含まれる画像では多くの情報が発生し,伝送できる画面の数が少なくなってギクシャクした動きになったり,各画面の品質が低下したりすることは避けられない。そこで,これらの画質低下要因を取り除き,より高い品質の画像を提供するために,解像度を各画面の状況に依存して適応的に切り替える方式を考案した。本方式は,H.263の改良版であるバージョン2に採用された。

伊藤 隆、中川 章、森松 映史


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