次世代ITのインフラ『仮想化技術』を集約し
システム構築を強力に支援するソリューションセンター

ITインフラの全体最適化やグリーンITなど現在の経営課題を解決する重要な技術として、大きな期待が寄せられているのが仮想化技術である。その適用範囲はサーバやストレージ、ネットワークと幅広いため、一方では技術者不足や導入への課題があることも事実だ。
こうした課題を解決すべく富士通では2008年12月に「仮想化ソリューションセンター」を設立し、仮想化技術の検証や技術者の育成をおこなっている。
次世代のITインフラと目される仮想化技術に対する富士通の取り組みについて、プラットフォーム技術本部仮想化ソリューションセンターの喩清(ゆ せい)、宇野晋平、鶴田暁久に話を聞いた。
仮想化の技術を集約して、最新の知識と技術を提供する
仮想化に関しては、欧米では既に50%を超える企業がサーバ仮想化を導入しているといわれ、日本でも注目度が高まっている。PCのソフトウェア開発やPCサーバの製品サポートにたずさわり、2005年からはVMwareビジネス立ち上げに加わっている宇野は、仮想化技術はかなり以前からあるものだという。

「仮想化技術自体はメインフレームが主流の時代、1980年代に開発されています。当時の仮想化技術は高価であり、筐体内の限られたハードウェア資源を効果的に使用するために開発されたものです。これに対し現在の仮想化技術には、オープン化や業務の複雑化に伴い、大量に林立したPCサーバなどを統合化してハードウェア資産を削減するとともに、運用管理の負担を低減することに大きな期待が寄せられているといえます。適用方法は違いますが、限られたリソースを効率的に利用するという発想は同じです。」
近年急速に普及し始めたのは、仮想化技術の裾野が広くなり、コスト面でも利用しやすい環境が整ったためである。
「仮想化はITの必然的な流れといっていいでしょう。運用を効率化してTCOを削減することは大きな経営課題ですから、ITのスリム化を実現する仮想化は現代のビジネスニーズに合致します。さらにコーポレートガバナンスやグリーンITなどの側面でも企業価値が問われる時代ですから、ITガバナンスの観点も必要です。仮想化は、抜本的なITコストを削減しながら、IT環境全体の最適化をおこなう、経営戦略を支える技術といえるでしょう。」
かつてフィールドSEとして大規模なシステム開発にも携わっていた鶴田も次のように話す。
「国内外に拠点が多いお客様などは、拠点が増えるごとに最適なIT投資をおこなってきたつもりでも結果的には部分最適にしかならず、しかも運用コストは膨大になるという事例があります。メインフレーム時代から熟成してきた仮想化技術が応用しやすくなった今、サーバやストレージを仮想化によって集約し、効率化と全体最適化をはかりたいと考えるお客様がここ数年で増えています。」
ITインフラを支える技術としてニーズが高まる『仮想化』

富士通の仮想化ソリューションセンターは、仮想化に関する技術者を一極集約し、320台余のサーバを駆使しながら、お客様の仮想化システム構築を支援するための検証や技術者の育成の支援をおこなっている。仮想化セミナーの講師もつとめる鶴田はいう。
「センターではデモ実機を使用したデモンストレーションの回数も増え、熱心に検討されるお客様から質問攻めに会うこともあります。お客様の質問も以前は『仮想化は使える技術なのか?』といったものが多かったのですが、最近は『仮想化を使ってどんなことができるのか?』というように変化してきました。お客様向けのセミナーも開催していますが、すぐに満席になることも多く、非常に手応えを感じています。」

仮想化技術に関する海外サポート業務も担当する喩は、以前は基幹業務のシステム構築に最適なクラスタソフトウェアの開発を手がけていた。その経験もふまえ、仮想化はITインフラを支える重要な技術であると語る。
「中長期的な視点での導入検討が大切です。短期的にはもちろんコスト削減が主な課題になりますが、中長期的にはITを経営戦略にどう活かし仮想化を使って最終的にどういうITシステムを構築するのかを明確にすることが重要だと思います。短期的なメリットだけではなく、中長期的に仮想化技術をどうITに活かしていくのかという視点から、私たちはお客様にご提案したいと思っています。」
そして仮想化のメリットを次のように話す。
「今までシステム保守する際に必ず一時的に業務を停止する必要がありましたが、仮想化技術を利用すれば、システムを停止せずに業務を別のサーバに移して、保守をおこなうことが可能となります。また、サーバを増設する際にテンプレート化されているOSイメージの複製により数時間で終えることができます。仮想化が優れている点は、コストを軽減するとともにその技術によってシステムの諸機能が使いやすくなり、ITインフラの大きな課題である運用の手間が軽減することだと思います。」
市場の浸透に伴い技術者の教育も急務であると鶴田はいう。
「製造・流通・情報サービス系企業が先行して導入していましたが、現在はITに高度な信頼性が求められる金融系企業や自治体でも導入が始まっています。仮想化は今までとは違う発想の技術ですので、導入に慎重なお客様も多かったのですが、導入事例も増え、効果を期待されるお客様が増えてきました。ただ、お客様のニーズの増大に伴い、問い合わせも急増しています。仮想化技術者の育成に関して、現在は3,000名のフィールドSEを対象にトレーニングをおこなっています。」
仮想化技術を縦横に活かしたIT社会をめざして
仮想化はこれからのITにとって欠かせない技術であり、企業に大きな価値をもたらすものだからこそ、設計段階での十分な検討が必要だと宇野はいう。
「お客さまの経営課題にのっとる戦略が必要です。仮想化が優れた技術とはいえ、サーバを統合した時のリスクも考え合わせなければなりませんし、可用性が高く色々なことができるので、優先順位をつけることも大事です。そして私たち富士通は、仮想化を最大限にシステムに活かすためにさまざまな知識と技術を組み合わせる必要があります。仮想化は、サーバやストレージ、ネットワークはもちろん、ISVも含めたミドルウェアを横断的につなぐことで初めて強みが出てくる分野なので、各部門が協同し、バランスと調和をはかり柔軟性ある仮想化システムを提案できる体制にしていかなければなりません。」
仮想化技術をさまざまな場面に活かしていくことは全社的な取り組みだと鶴田はいう。
「ソリューションセンターでシステム構築を支援するとともに、仮想化技術をつかって何ができるか、ということを全社的な営業課題として考えています。というのも、仮想化の対象はサーバだけにはとどまらず、PCやアプリケーションにも仮想化技術を活かしていくことが可能だからです。全社的な知恵と知識が活かせる分野なのです。
仮想化はインフラを支えるものですから当然用途も応用の幅も広く、仮想化を使ったシステム構築をしようとすれば、幅広い知識やノウハウが求められるのは当然です。サーバの知識だけではなく、ストレージやネットワーク、そのうえで動くOSやミドルウェアについてもある程度知識を持っていないとお客様との対話が成立しません。これからのフィールドSEや営業には高いスキルが必要です。そのための教育体制を私たちがしっかりと作らなければと思っています。」

そして、喩は、お客様に仮想化の真のメリットをわかっていただけるよう働きかけたいという。
「仮想化技術を使ってシステム構築をおこなうことにより、最終的には企業価値の向上につながるということをお客様にしっかりと伝えていきたいです。コスト削減とともにITガバナンスがはかられ、セキュリティも向上する。運用管理担当者のストレスが軽減されるのはもちろん、IT環境が安定・充実することで社員それぞれが担当業務をより便利にスムーズにおこなえるというメリットが生まれます。仮想化の究極的な価値は、企業で働く人たちに快適な環境を提供することができる点にあると思います。」
仮想化技術と社会インフラについて将来的な姿を、宇野は次のようにまとめる。
「仮想化技術そのものはクルマでいえばエンジンのようなもの。エンジンが優れていることはもちろんアピールポイントですが、この優れたエンジンを使ってこんなにすごいクルマができる、ということをお客様にわかっていただくようにしたいと思います。お客様の要望がスポーツカーなのか、またはファミリーカーなのか、その要望を適確に反映させていけるように技術支援していきます。
インターネットがそうであったように、近い将来、水道や電気のように当たり前のインフラとして仮想化技術が人々の生活に浸透するだろうと考えています。そうなってくれば、在宅業務が増えるなど、ビジネススタイルもどんどん変わってくるかもしれません。逆説的ですが、この仮想化ソリューションセンターが必要でなくなるくらいに全社的に仮想化が浸透し、皆が当たり前に仮想化の知識や技術を有しているという状況になれば、センターの役割が成功したことになると思います。」
時代の花形でもある仮想化だが、その人気は決して一過性のものではない。仮想化の技術はさらに改良され進展していくだろうが、根本的な技術思考は変わらず、一貫してITインフラを支える技術でありつづけるだろう。富士通の総合力が活かされる場面はこれからも数多く登場することは間違いない。
[2009年7月1日 公開]
富士通の仮想化ソリューション
富士通では、仮想化を技術的に支援する仮想化ソリューションセンターを中心に、サーバ、ストレージ、クライアント、ネットワークの各分野横断的に仮想化の取り組みを進めています。
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