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第3回 見込み客を引き込む「検索エンジンマーケティング(SEM)」~事例編~

前回は検索エンジンマーケティングの中心となる「SEO」や「リスティング広告」をはじめ、見込み客を引き込むカギとなる「ストーリー作り」について解説をしました。

今回は、検索エンジンマーケティングにおいて実際に成功している事例として、2つのオンラインショップを紹介します。それぞれがどのように施策を進め、結果を出しているのかを見ていきましょう。

【事例1】新規顧客の約9割は「検索エンジン」からの来訪者

「酒とキムチの浜田屋」

浜田屋は「酒とキムチの」というコピーの通り、日本酒やワインなど世界の酒と、韓国からの輸入食品を主に扱うオンラインショップです。

ホームページは「対面販売のような親しみのあるホームページ」を目指し、佐藤店長みずからが手作りで構築しています。各商品ページのSEO、リスティング広告の施行についても、店長みずから日夜試行錯誤を重ねています。

食品に関する情報はテレビや雑誌などでよく取り上げられており、通常はそのようなメディアから知識を手に入れることができます。ですので「検索」するモチベーションとしては、食品についての情報を調べたいというより、その食品を食べたい(買いたい)ため、が大半でしょう。つまり、ショップではユーザを販売ページに誘導し、そこで注文してもらう、というシンプルなストーリーを考えればいいわけです。

浜田屋では各商品ページにおいて、商品名での検索結果リストの上位に表示されるよう、SEOに力を入れています。取材時点で、キーワード「マッコリ」ではYahoo! Japan6位、Google4位。「チャンジャ」ではYahoo! Japan、Googleとも6位など、主な取り扱い商品の多くが上位表示されています。リスティング広告も、取材時点では「参鶏湯」、「ナツメ茶」などの商品名で出稿しています。

商品ページ上では写真を豊富に使用し、店長自身のコメントが添えられた親しみの湧く作りとなっています。「参鶏湯」など日本でなじみの薄い商品については解説を加えたり、韓国の人気ドラマ「チャングムの誓い」公認の商品(NHKエンタープライズ、韓国MBCと契約)としてPRするなど、購入を後押しする仕掛けもしっかり施されています。結果、毎日のアクセス数のうち、70%以上は検索エンジンからの誘導。さらに、購入者のアンケートでは90%が検索エンジンから来たという回答を得ているそうです。

店長は2001年5月に初めてパソコンを購入し、翌月からホームページ作りを開始した、という熱意の持ち主。自身のネット体験から検索エンジンの力に注目し、毎日10回以上自社のページを開いては、気づいた点をすぐに修正しているそうです。

リスティング広告については、全体の予算と1件あたりの単価に上限を決めて運用しており、1) 広告の単価が高いキーワードでは上位表示をあきらめる、2) 商品名が思い浮かばないときにはどんなキーワードを使うのか、ユーザの思考を想像し別のキーワードに広告を掲載する、3) SEO効果が上がっている単語については広告を抑制する、といった工夫をしています。

【事例2】「キーワード」に注力し、ブログでたくさんの入り口を作る

ディーズインターナショナル「トイ・フォー・ベビー」

核家族化やご近所コミュニティーーの衰退により、子育てのノウハウが継承されなくなっている昨今、初めて育児に取り組む親は、何もかもが試行錯誤です。そこで重要度を増すのがインターネット。子ども向け玩具や育児関連商品を扱うディーズインターナショナルの廣島社長も、そうした状況を見て起業されました。

最初はショッピングモールに参加する形でオンラインショップを開設。その後2004年に自社ドメインでサイトを立ち上げました。当初から最も力を注いだのが、SEOの対象キーワードの洗い出しです。アクセスログの解析結果やキーワードアドバイスツールを利用し、「自社が、どんなお客さまに来てもらいたいのか? その人たちが検索エンジンで使う言葉はどんなワードが?そのワードは、どれだけのマーケット性を持った言葉か?」を徹底的に考えたそうです。サイト来訪者のうち、検索エンジンからの来訪者は5割強。リスティング広告にも力を入れていて、広告費のおよそ50%を投入しています。

育児関連商品に関する情報は、世間に豊富にあるわけではありません。専門の育児雑誌はあっても、情報は誌面の制約や広告主との関係により、ある程度偏ってしまうもの。つまり育児関連商品の見込み客は、単に商品が欲しくて検索する場合ばかりでなく、それは何だろう?自分の子にはどんなものが役に立つのだろう?などと、まずは情報を調べるために検索することが多いと考えられます。そのため、キーワードから誘導したページでは、その疑問を解決しつつ商品の有用性を説明し、それから購入してもらう、というストーリーを考える必要があります。

加えて、「親子のコミュニケーションの取り方が分からない」「どんなおもちゃがいいか分からない」といった悩みそのもので検索するユーザをも取り込むことができれば、さらに見込み客が広がります。そうした悩みへの対応として、廣島社長はSEOに強いといわれる「ブログ」に早い時期から取り組み、社長自身の育児日記をブログ化。さらに商品を購入したお客様からの声もブログに掲載しました。

ブログに掲載された多数のエピソードは、類似した情報を検索している子育て中の親を呼び込む働きをします。例えば「反抗期 乗り越え」、「3歳 遊び」などのキーワードで検索すると、廣島社長のサイトが上位にヒットし(注)、そこで親はトイ・フォー・ベビーという店の存在を知ることになります。多数のエピソード(テキストコンテンツ)を持つことは、検索エンジンを通して、多くの見込み客と接点を持つことに繋がるのです。

商品ページのSEOは当然のこと、同時にリスティング広告を「布絵本」「知育玩具」などのキーワードに出稿しています(注)。これらのキーワードは、商品を購入したいという段階以前に「知育玩具とはどんなものだろう?」と、意味や有用性を知りたくて検索するユーザも多いと想像できます。広告から誘導している同社のページでは、発達段階で脳によい刺激を与えることの意義や、取り扱っている知育玩具の役割について非常に詳細かつ丁寧な説明をしており、情報を調べにきた人も、納得してそのまま購入を決定してしまうような作りになっています。

また、廣島社長は「遊育玩具」(=遊びを通して脳に良質の刺激を与え、赤ちゃんの知的発育を促すおもちゃ)という造語を産み、Yahoo! Japanの新語辞書に登録されました。「遊育玩具」の検索結果リストには、当然ながら同社のページが並びます。皆が検索するキーワードで上位表示を目指すだけでなく、自社で創り出した言葉の認知を高めることも、ユニークな形の検索エンジンマーケティング手法だといえそうです。

(注)取材時点においての状況です

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