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第131回 経営の世界に教科書はない - マキオの経営に学ぶ…その2
スーパーセンターの売上げの3割が車関連…その秘密に迫る
人口わずか27,000人の鹿児島県阿久根市で成功を手にしたマキオ(店舗名 AZスーパーセンター)は2005年11月、人口15,000人の川辺町に2号店を出した。ここも順調に推移しているが、特筆すべきは車関連の売上げの伸びだ。スーパーセンターのマキオがなぜ車関連ビジネスなのか…。
1997年、3,500坪の売り場面積を持つ「AZスーパーセンターあくね」は、売上げの順調な伸びを背景に2000年3月1,000坪増床し、7月には、軽自動車の販売に着手した。それもセルフ方式でだ。なぜスーパーセンターで車の販売なのか。
「私たちが目指すのは、生活必需品をフルラインで品揃えすることです。こんな地方は、軽自動車は必需品です。雑貨店に行けば履物を売っています。それと同じ感覚です」(牧尾英二社長)
売り方も業界の常識に反している。価格は諸経費込みの1本で表示され、「これ以上一円もいりません」とも書かれている。要するに、セールスマン抜き、セルフ方式での車の販売だ。筆者の知る限り、日本で最初の試みだと思うのだが、これがまた驚くほどに売れているのだ。
当初は、売り場担当者一人でスタートしたのだが、多い月には30台程度車が売れたという。それが今では、「あくね」「かわなべ」両店で10人ほどの担当者で月に200台から400台売ると聞く。
なぜそんなに売れるのかと聞くと、牧尾社長は、「販促費がゼロで、値入は雑貨と同じですから」と、笑って答える。
牧尾社長が調べた限りでは、九州地区の軽自動車販売会社の場合、一台売るのに8万円程度の販促費をかけているという。マキオの場合には、それがゼロに近いというのだから、他店よりも安く売って利益も出せるのだ。ただ安いだけではない。ガソリンを満タンにして引き渡すというのだから、素晴らしいではないか。
一般的な車ディーラーでは、年間100台も売ればトップセールスマンになれる。マキオの場合には、10人で年間4000台近く売るのだから、常識外れの販売力と言える。
2002年11月には、「あくね」店に車検工場が併設された。これは、「車を売りっぱなしにしないで車検の面倒も見て」という、顧客の声に応えたものだが、この経営効率も素晴らしい。
「あくね」店では、工場長以下10名強(内整備士は4名)のスタッフで運営されているのだが、一ヶ月に600台以上の車検をこなしているのだ。後発の「かわなべ」店では、月400台程度の車検をおこなっているという。
ちなみに、一般的な車検工場では、10人程度の整備士で月100台こなすとAクラスだと聞く。
なぜ、これほど効率が高いのか。
ひとつには、車検に特化していることが挙げられる。一般的な整備工場は、高い費用の取れる、部品交換を伴うような修理・整備を重要視するのだが、マキオは違う。車検を通すための整備・安全点検に的を絞り込んでいるのだ。それゆえ、車検に要する時間は30分から60分程度に過ぎない。スーパーセンターで買い物をしている間に車検がすんでいるというわけだ。
もうひとつは、徹底した創意工夫だ。
「たとえば、整備工場では当り前のように使われている標準工具がありますが、私どもでは使わせません。標準工具は誰にでも使えるようにできていますが、個人個人にはフィットしていないということです。力の強い人もいれば弱い人もいる。指の長い人もいれば短い人もいる。まず、それぞれにあった工具を開発するところから始めました」(牧尾社長)
牧尾社長は、「既存の車検工場を参考にするな。目指すはF1のピットクルーの作業だ」といったともいう。創意工夫を重ねてできたのが、どこよりも効率の高い車検工場だったのだ。
当初は、あまりの効率のよさに、同業者が陸運局に「手抜きがあるのではないか」と訴え出、現実に何回か査察があったが、問題点を指摘されることはなかったという。最近は、マキオが車検以外の整備は、同業者に紹介するので、逆に感謝されているというのだから面白い。
[2008年5月15日 公開]
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
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