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企業人にとっての学びの場を考える

現場が教室、お客様が先生、仕事が教材

前号で、企業・企業人にとっての学習の大切さを再認識して欲しいと書いた。講演会でもそうした話をするのだが、必ずといっていいほどに出てくる質問がある。それは、「企業人として、どこで何を学べばいいのか」というものだ。「いまさら学校に通うわけに行かないし」という人もいる。そんな質問をする方に対しての小生の答えを、今回は紹介したい。

企業・企業人が学習することの大切さを説いた、カルロス・ゴーン氏は次のように書いている。

「大学で勉強をすればいいのでしょうか。それは違います。私は大学に7年間通いましたが、そこで学んで仕事に役立ったのは2%ぐらいしかありませんでした。(略)人間は経験を通じてこそ多くを学ぶことができます。ただ、漫然と仕事をしているだけではダメです。難しい問題、高い目標、そして厳しい課題に挑戦しなくてはいけません。なぜなら、人は課題があってはじめて考えるようになるのです」

まさに同感だ。問題意識、高い目標を持って仕事に取り組むことが、なによりの勉強だと考えればいいのだろうが、どこで何を学べばいいのかについて、筆者の考えも付け加えておきたい。

学びの場はどこにあるのか

  1. 仕事が学びの場
    職場が教室、教材は自らの仕事の中にあると考える。
  2. 顧客に学ぶ
    顧客が先生と考える。とりわけ大事なのは、深く潜在する顧客の声に耳を傾け、変化の兆しをキャッチすること。
  3. 同業者に学ぶ
    孫子の兵法に、「彼を知り己を知れば百戦危うからず」とある。これは企業経営にも通じる考えだけに、同業者を研究し、同業者から学ぶことは非常に大事なことだと考えたい、しかし、この場合は、学んだ後の対応に注意が必要だ。大事なのは学んでとらわれない精神。同業者の戦略にとらわれて同質の競争に陥らないようにしないといけない。同業者がやっていないこと、それ以上のことをやるぐらいの気持ちがないといけない。
  4. 異業種に学ぶ
    トヨタ生産方式は、アメリカのスーパーマーケットからヒントを得て誕生した。また、ウォルマートのサム・ウォルトンは、日本に品質管理の重要性を教えたデミング博士の教えが一番の勉強になったという。それだけに、製造業は小売業・サービス業に、小売業・サービス業は製造業に学ぶことが大事。
  5. 顧客企業の業界を学ぶ
    伊藤園の本庄八郎社長は、お茶の勉強は当然のこととして、売り込み先のスーパーの勉強を必死になってやった結果、今日の地位を築けたという。筆者は、クライアントに対する絶え間のない提案が大事だと考えているのだが、そのためにも、顧客企業の勉強が必要なのだとご理解いただきたい。
  6. 雑学のすすめ
    世界の文明、歴史、文化、風土を学ぶことで、経営者はいい判断ができるようになると、藤田田(日本マクドナルド創業者)さんから聞かされたことがある。とくに、中国の古典に学ぶことは多いと思う。山本七平さんは、帝王学を例に、「いま話題になっている問題はすでに論じ尽されている」という。雑学的に先人から学ぶ気持ちが大事だと考えている。

以上、簡単にまとめてみたので、参考にしていただければと思う。

江戸時代の鬼才頼山陽は、「男子学ばざれば即ち已む」といったが、男子を社員と置き換えて読んでいただきたい。「学習なき企業は生き残れない」と筆者は考えている。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2007年2月8日 掲載]

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