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『学習』⇔『思考』⇔『行動』のサイクルが持続的成長を可能にする

企業人に求められる学習

先ごろお亡くなりになったレビット教授(ハーバード大学)は、経営者にとって最も重要な仕事は、「単純な問いを投げ掛ける」ことだという。いまのままでいいのかどうか、違う方法はないのかどうか――問いを投げ掛け続けることで、考えて行動する社員を育てろというわけだ。筆者は、レビット教授の考えには共感を覚えているのだが、最近は、『考える社員を育てる』ためには、その前提として、『学習』することがなければならないと考えている。

論語に、「学びて思わざればすなわちくらし、思いて学ばざればすなわち危うし」という言葉がある。

学習するばかりで、自ら思考するということがなければいけない、また逆に、自ら思考するばかりで学習することがなければだめだ、との教えだが、これは企業経営にも通じる。企業人、企業にとって、学習することがどれほど大事なのかを、カルロス・ゴーンは、次のように説明している。

「私は、会社が成功するために最も大切な要素は、社員ひとりひとりが常に学習する姿勢でいることだと思っています。学ぶことが大切なのは、個人だけではなく、企業も同じです。私は、日産自動車が50年後も成長する健全な会社であり続けるためには、会社全体が学習する組織であり続けることがもっとも重要だと思っています。1990年代の日産自動車の業績が低迷した理由をひとつ挙げるとしたら、それは会社が学習する大切さを忘れてしまったからです。同じミスを繰り返した結果、業績不振に陥ったのです」

新興の航空会社でありながら、9・11テロの後も好業績を続けているアメリカのサウスウエスト航空(SWA)も学習に重点を置いている企業だ。

「従業員が学ぶ意欲を失っていたら画期的な戦略は生まれず、資金も資源も豊富な他社と競い合うことはできなかった。生涯学習の意欲に燃える従業員の警戒心を鍛え、知識と創造力を磨いている。そいう従業員のお陰でSWAは、常に新しい方法を考え、業務の簡素化やコスト削減、顧客サービスの向上に取り組める」(『破天荒』より)

まさに同感だ。しかし、論語にあるように、学習するばかりでもだめなのだ。学んだことをベースに、思考することがなければならない。では、どうすれば学習が思考する経営に結びつくのだろうか。ひとつは、レビット教授のように、「単純な問いを投げ掛ける」ことだが、いまひとつ紹介したいのが、日本マクドナルドの創業経営者だった藤田田さんの思考方法だ。藤田さんの部下だった人が次のように証言する。

「藤田は、本当に色々なことをよく勉強していて、知識や情報の積み上げを持っています。ただ、勉強熱心で積み上げを持つ方は他にもいるでしょうが、藤田が違うと思うのは、いくつもの積み上げを交差させて、誰もが真似のできない発想に結びつけるところです」

筆者は、藤田さんに、なぜ少子化が進むばかりなのに、子供相手のビジネス「トイザらス」を始めたのかと聞いた時の答えは次のようなものだった。

「子供の数が少なくなる一方で、共働きが増え、おじいちゃん、おばあちゃんが健在だとすると、子育てに自信のない両親と、更にその両親の6人が、ひとりの子供をかわいがるに違いない。だから、子供相手のデパートがあってもいいのではないかと考えたのだ」

企業ぐるみで学習し、企業ぐるみで思考し、企業ぐるみで行動に移す、このサイクルを持ちえた企業が、持続的成長を手にすることができるのだ。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2006年12月14日 掲載]

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