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『庄や』『やる気茶屋』を中心に躍進する大庄の経営に学ぶ-その2
従業員満足度を高めることで多店舗化を加速
1000円の日掛け貯金の積み重ねで400万円の資金を手にした平辰社長が、2店目をオープンさせたのは昭和46年のことだった。水道橋駅近くの三崎町に、『大平山酒蔵』という名の居酒屋を開業したのだが、その成長の過程で作り上げた同社ならではの各種の制度が実に理にかなっているのだ。
なぜ、居酒屋だったのか。
「焼き鳥は、仕込みに本当に時間がかかります。その上、傷みやすい。焼き鳥はこりごりだと、正直、簡単に儲かるものはないかという思いはありました」
イメージは実家のある佐渡。佐渡の実家でたべていたような、魚の美味しい料理を、田舎のイメージの中で提供しようと考えたという。
この店は、オープン早々から大繁盛店となるのだが、問題もあった。あまりの忙しさに、板前が次々に辞めていくのだ。
「満席が続くと私は有難いが、板前さんは忙しくなるばかりで、へばってしまう。9時頃になると、『俺はあわないから上がります』といって帰ってしまう。もう苦労どころの騒ぎではありません。板前がいないと仕事にならないですから、毎日人探しですよ。そこで考えたのが、次の目標、夢があれば、みんな残ってくれるのではないかということです」
そんな思いから、平社長は、多店舗化に取り組むことになる。5店舗まで突っ走ったという平社長だが、根本から問題が解決できたわけではない。相も変わらず人探しの毎日だ。
「もうこれ以上ダメだということになって、『みなさん、なんでこの商売に入ったのか』と聞いてまわりました。そうすると、『独立』したいという人が多いわけです。そこで幹部4人を呼んで、独立したい人は独立させるから手を上げて欲しいと、そうすると良くしたもので、2人は残る、2人は出ると・・・」
平社長は、申し出た二人のために、保証人になって銀行からお金を借りてあげて、既存の店舗を譲って、経営者として独立させたのだ。これで人集めは容易くなったかといえば、そうではなかった。
「独立した3人(その後1人追加)は、親戚であり友人でした。『どうせ社長の親戚じゃないか、社長が連れてきた仲間じゃないか』と、独立を信じきれないでいたのです。ところが、4人目に独立したのが、新聞広告を見て入社してきた人物でした。これがきっかけとなって、独立を目標とする社員のモチベーションは一気に高まりました」
これが、大庄躍進の原動力となった『独立制度』だ。ちなみに、この制度で独立した社員は150名近く、店舗数で200店舗を超えている。
しかし、『独立制度』だけでは限界もあった。
「1番の心配は残った人たちです。残った人たちのモチベーションが上がらなければ会社はつぶれるかもしれません。そこで考えたのが、彼らに実現可能な夢の持てる目標を与えることです。私は、5年で給料を倍にするという目標を掲げたのです」
『所得倍増作戦』と名づけられた取り組みだ。
「店長なら自分の後継者になりうる店長を、調理師長なら調理師長を、1年間の間に1人つくる。そうして自分は新しい店にでていくわけです。ただし、その後は、育てた店長の指導もやらないといけません。で、1人後継者を育てると月5万円の指導手当てがでるのです。5年間で5人育てれば、月25万円の指導手当てです」
ところが、この制度にも欠点があった。
「社員は面白がって、働きすぎるものですから、家庭が1番の犠牲になっていたのです。今度は奥さんを満足させないといけないと考え、大庄の幹部社員として在籍しながら、フランチャイズ店を経営できる『持ち店制度』(ダブルインカム)を作りました。例えば、現在800万円の年収の社員がFC店を持つと、そこから30万円の社長給料が出て、さらに奥さんに20万円の給料が支給されるので、年間1400万円ですよ。これは効きましたね。奥さんは店に掃除に行くし、花も飾る。店のことをなんでもやるようになりますよ」
お見事というほかはない。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2006年11月9日 掲載]
- 第114回 『庄や』『やる気茶屋』を中心に躍進する大庄の経営に学ぶ-その1
- 第115回 『庄や』『やる気茶屋』を中心に躍進する大庄の経営に学ぶ-その2
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