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「前例否定」で躍進するマキオの経営に学ぶ-その2-

経験者が成功するとは限らない

イトーヨーカ堂、イオンなどの勝ち組といわれた大型店の不振が目立つ。しかし、ここに紹介するマキオは、小商圏の地方都市で大型店を24時間営業して大成功を収めている。専門家ほど成功が覚束ないといっていた店がなぜ成功したのか。前回に続いて「前例否定」をキーワードに、その成功の秘密を明かす。

前回紹介した鹿児島県阿久根市に本店を持つ「マキオ」(店舗名はA-Zスーパーセンター)が、さる11月3日午前0時、同県川辺町に2号店(売り場面積約3000坪で阿久根店と同じく24時間営業)をオープンさせた。人口15,000人の川辺町は、仏壇の産地として名高い土地ではあるが、商業立地としては、阿久根市と同様に魅力ある場所ではない。ところが、この店もオープン以後、今日まで、納入業者が、「イオンのオープンとは比べものにならない」というほどの賑わいをみせている。なぜ、「小商圏・24時間営業・生活必需品フルライン品揃え・低価格」のマキオが、素人集団でありながら勝ち残ることができたのか。

同社の牧尾英二社長にその理由を問うと、「前例否定」との言葉が返ってきた。まさに的を射た答えだと思う。なぜならマキオの経営は、従来の流通業のあり方に問いを投げかけるところからスタートしているからであり、それが顧客に支持される要因になっているからだ。

日本の小売業は、品揃えでは、売れ筋商品に絞り込み回転率を高めることに力を注いできた。ところが牧尾社長の考え方は、全く違う。

「売れ筋に絞り込めば、経営効率を高めることにはなります。しかし、それでいいのでしょうか。本来、小売業の使命は、お客さんが必要とする商品を、より安く、欲しいと思うタイミングで提供するところにあります。ですから、私どもは、売れ筋でなくても、お客さんが欲しいと思う商品は、一年に一個しか売れないようなものでも置いてあります」

マキオは24時間営業で、生活必需品に限って言えば、どこよりも豊富に品揃えされている。だからこそ、お客さんは、「生活必需品ならAZにいけば間違いなく手に入る」と、安心感を持って、店に足を運んでくれるのだ。

牧尾社長は、「前例否定」の店舗だから、素人集団でよかったのだともいう。

「私たちは、ホームセンターの経験しかありませんでした。阿久根店をオープンしたときには、青果、精肉、鮮魚については経験者を募集しても誰もが失敗すると考えているからきてくれません。必然的にパートさんと高校を卒業したばかりの若い人たちでやらざるを得なかったのです。AZのフレームは、それまでの流通業の常識を否定したものですから、経験者ほど、違和感を持ってしまう。ところが素人は、色に染まっていないから素直に聞いて、素朴でひたむきにお客さんのお役に立つことを考えて仕事にとりくんでくれます。これが良かったんだと思います。経験者が活躍するとは限らないのです」

川辺店のオープンに際しても、この考えは貫かれており、流通業の経験者は一人も採用していないという。

経営の世界では、それぞれの業種・業態毎に、「かくあるべし」と、常識めいて語られることが数多くあるが、そんなことにとらわれる必要はないのだ。「前例否定」で成功したマキオを見るにつけ、経営の世界には教科書も公式もないことを思い知らされる。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2005年12月22日 掲載]

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