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「前例否定」で躍進するマキオの経営に学ぶ-その1-

人口26000人の阿久根市で4500坪の大型店を24時間営業

イトーヨーカ堂、イオンなどの勝ち組といわれた大型店の不振が目立つ。しかし、ここに紹介するマキオは、地方都市で大型店を24時間営業して大成功を納めている。スーパーでありながら、軽自動車を月200台売る。「前例否定」をキーワードに、その成功の秘密を明かす。

人口26,000人の鹿児島県阿久根市で売場面積4500坪のスーパーセンターを運営するマキオ(店舗名はAZスーパーセンター)の経営は実に示唆に富んでいる。人口が減少するばかりの地方都市で、これだけの売場を持つ大型店をオープンさせることだけでも無謀と思われるのに、創業時から24時間営業を続け大成功を納めているのだ。

オープンは1997年。当時は大店法が生きていて、大型店で24時間営業を許されているところはなかった。なぜ、AZスーパーセンターは、成功したのだろうか。特筆しておきたいのは、「前例を否定」するとの考えだ。

創業者でいまも社長を務める牧尾英二さんは、東京で自動車関連のメーカーに22年間勤務したあと、故郷阿久根に戻り、売場面積300坪程度のホームセンターの経営に従事するようになる。流通業の経験はなかったが、努力すればそれなりに売上があがる。しかし、ある程度まで売上は伸びても、すぐに頭打ちになってしまう。

一般的には、「商圏人口の少ない阿久根市のホームセンターなのだから、それ以上成長する余地はない、業績を伸ばすのなら、新しい商圏に新しい店舗を開設して多店舗化をはかればいい」と考えがちだが、牧尾さんは違った。

新しい商圏に出ていっても、同業者との競争に巻きこまれるだけ、それならば、大手が間違っても出てこない阿久根市で、消費者に支持される大型店を作れば、生き残ることができるのではないかと、考えたのだ。

「商店が少なく、日常の買物に不便を感じているからこそ、大型店が必要。夜中に買物をしたい人もいるはず。便利な都会にいる人には理解できないだろう」(牧尾社長)

こんな思いからでてきたのが、「生活必需品をフルラインで品揃えをした店を24時間営業で」との考えだ。売るべき商品を積み上げていくと、アイテム数は28万、売場面積は3500坪は必要となったと聞く(その後アイテム数は32万、売場面積は1000坪増床していまは4500坪)。

流通業の専門家や金融筋は、阿久根市のような小さな町で、そんな大型店が、24時間営業で成り立つわけがないと、冷ややかに見ていた。流通業にとって前例のない試み、いや無謀といってもいいチャレンジだと誰もがみていた。

それまでは、小さなホームセンターの経験しかなかった。それだけに、生鮮食品、飲食部門では、専門家を採用したいし、テナントにも入って欲しかった。ところが、業界での経験を持つ人は、絶対に成功しないと考えて、応募してこない。本当に素人ばかりを集めての開業だった。

結果はどうだったのか。初年度50億円の売上目標に対して62億円をあげ、昨年度は100億円を超えるまでになっているのだ。

先ごろ、久しぶりに阿久根市に牧尾社長を訪ねたのだが、業績はますます好調で11月には人口1500人の鹿児島県川辺町で、同規模の大型店を24時間営業で開業する予定だという。ここも商業立地としては魅力ある場所ではない。だからこそ面白いと牧尾社長はいうのだから面白い。

阿久根店は、いまでは、軽自動車をも田舎では生活必需品として扱っているが、その売り方がユニークだ。営業マンは抱えず、3人の担当者が店頭で販売に従事。価格は諸経費も込みの一本で表示され、これ以上は一円のお金も必要ありませんとも書かれている。

「販促費は原則ゼロで、値入は雑貨と同じ、レジで車を売る」と牧尾社長は笑って話す。

多い月には、200台車が売れるというのだから、驚く。筆者の知る限り、常設で車を売るスーパーはない。マキオの経営を見ていると、経営の世界に教科書はないと思える。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2005年11月10日 掲載]

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