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新規事業の育てかた
小人数、小資本でのスタートが成功への道
ライブドアの堀江社長、楽天の三木谷社長などなど、若くして起業に成功した経営者の活躍が目立つ。彼らを見ていると、日本でも新規開業する人たちが増えてきているように思えるのだが、現実は違うようだ。既存の企業でも、新規事業へのチャレンジの必要性が説かれるものの成功例は本当に少ない。どうすれば、起業や新規事業は成功するのだろうか。
1980年代、日本の経済界に勢いのあった頃は、新規開業率は7%以上あり、常に廃業率を上回っていた。ところが、平成に入ってからは、廃業率が新規開業率を上回るようになり、その状況が今日まで続いている。なんと新規開業率は2.8%にまで落ちこんでしまったのだ。
ここ10年、政府は、既存の企業の新規事業への挑戦や新規創業の必要性を説くばかりでなく、様々な優遇政策を打ち出してきたのだが、相変わらず日本では新規開業率は低いままで推移してきている。なぜ日本では新規事業や新規創業に挑戦する人が増えてこないのだろうか。それは、『新規――』を難しく考えすぎるからだと筆者には思える。
新規事業、ニュービジネスという言葉を聞いてしまうと、誰もが、まったく新しいことを手掛けないといけないのではないかと考えてしまう。しかし、いかに時代が変化し消費者の好みが多様化しようとも、まったく新しいビジネスがそうそうあるわけではない。
新しい事業=まったくのニュー、と考えていたのでは、「事業の種」は見えてこない。売り方を変える、売る場所を変える――といった具合に、既存のビジネスにちょっとした変化を加えることでも、新しい事業は誕生するということをご理解いただきたい。
本連載で紹介したことのある、10分1000円のヘアーカットに特化したビジネス(QBハウス)など、その最たる例だろう。1996年11月に一号店を出したQBハウスは、すでにマレーシア、タイ、シンガポール、香港にまで進出し、店舗数は350を超えるまでになった。最近は南アフリカなどなど22カ国から出店依頼があると聞く。
QBの仕事は、事業分類でいえば、理・美容業になる。オールドそのもののビジネスだが、サービスを10分1000円のヘアーカットに特化することと店舗管理に情報技術を駆使することで、1998年度の日本ニュービジネス大賞の最優秀を受賞したのだ。
事業を起こすとはいっても肩肘を張って取組むことはない。とりあえず一人からでもいいからスタートをきることが大事なのだ。次々に新規事業を起こすことで知られるパソナグループの南部靖之さんは、次のような考えを持っているという。
「最初から大きな資本を用意しなければならないような事業には手をださない。資本金がだいたい500万円から1000万円ぐらいで、3000万円を超えるようじゃだめですね。それと、新規事業は一人からスタートさせるようにしている。多くて二人まで、要するに自分で稼ぐということに徹している」
これは、10数年前に南部さんから直接聞いた話だが、いまも通用する考えだと筆者は思う。南部さんのいうような、単純明快な論理が新規事業を立ち上げるに際しては、必要なのだ。
南部さん自身がパソナグループの最初のビジネス、人材派遣業をスタートさせた際には、手もとの資金は親戚、友人の応援を含めて360万円しかなく、事務員はガールフレンド一人だけだったと聞く。南部さんは、現実に、小資本、小人数で新規事業を立ち上げ、育てることに成功した人だけに、この話には説得力がある。
大企業が新規事業に挑戦するような事例は別にして、中小企業やサラリーマンが新規事業を起こすに際しては、資金、人の両面で最初から大きな取り組みをする必要はない。
新規事業は、小さくてもいいからまず第一歩を踏み出すことの方が大事なのだ。アメリカの、いまでは名だたる大企業家の多くは、そのスタートは、ガレージからだったというではないか。
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著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2005年8月23日 掲載]
- 第102回 継続して栄える組織はここが違う
- 第103回 新規事業の育てかた
- 第104回 『情報公開』でよみがえった本多電子
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