Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

  1. ホーム >
  2. 富士通ジャーナル >
  3. 経営お役立ち情報 >
  4. 元気印企業の経営戦略に学ぶ >
  5. ファッション業界の風雲児アッシュ・ペー・フランスの業務日誌重視の経営

ファッション業界の風雲児アッシュ・ペー・フランスの業務日誌重視の経営

毎日の業務日誌で「問題意識の持てる人材」を育てる

本連載99回で紹介した「たねや」(和菓子・洋菓子の専門店を著名百貨店等に出店し、年商130億円)は、業界での勝ち組と高く評価されているが、同社の山本徳次社長にも悩みがあるという。それは、「マイナス情報と社員の悩みが聞こえてこない」ことだ。一方で、海外に常駐しながらも、社員の声を聞くことで業績を伸ばし続けている経営者がいる。

「たねや」の山本徳次社長は、社員の声を聞きたいとの思いから、「社長メール」を開設したという。ところが、思うような成果が出て来ない。その理由を山本社長は次のように説明する。

「組織の真中にいる中間管理職の批判につながると考えて、報告してこないようです。社長にではなくて上司に遠慮しているのです。社員の悩みを聞くのが一番難しい。これさえできれば、企業は永遠に安泰です。マイナス情報を公開し、社員の悩みを聞いて、ケアできる。そういうことのできる企業にならないといけないと考えているのですが」

「社員の声が聞こえてこない」――これは、多くの経営者が共通してもっている悩みといってもいい。それではどうすればいいのだろうか。その答えを出すにあたって、参考になると思える事例があるので、それを紹介しておこう。

会社名は、「アッシュ・ペー・フランス」(以下HP)。アクセサリーや服飾雑貨の専門店を、おおよそ30業態で60店舗を展開し、年間80億円を売り上げるファッション業界で注目されている会社だ。

同社の創業者でいまも社長を務める村松孝尚社長は、7割以上の時間を、ニューヨークで過ごしている。HPが展開する店舗はニューヨークの一店以外はすべて日本国内にある。それだけに、村松社長が、おおよそ300人の社員と直接接する機会は本当に少ない。そんな状況の中で、村松社長は社員とどのようにしてコミュニケーションをとり、その能力を見極め、会社の現状を把握しているのだろうか。そんな疑問に答えを出してくれるのが、社員3人の時から続けているという、「業務日誌」だ。

「これはアルバイトも含めて全員に僕宛てに出してもらっています。日本にいるときからやっていましたが、毎日の業務日誌は、僕にとって血液のようなものです。ただし、長々と報告することを求めているわけではありません。その時点で抱えている問題、今日の仕事、今日の出来事の3つに付いて、それぞれ1行ずつでもいいから、5分以内にまとめてメールするようにいっています。毎日業務日誌を書いていますと、瞬間的に、その日のことが浮かんでくるようになるんですね。顔を合わせてのコミュニケーションも大事ですが、書くことは、『考える』『問題意識』を持つことにつながります。新入社員でも3年もやりますと、マーケティング能力のようなものまで身につくようになります」

300人を超える社員の毎日のメールに一々返事をだすことはないということを、社員には事前に話してあるという。村松社長は、そのメールの中に変化の兆しを見たり、問題点を発見したりしたときには、直接電話をして話をするようにしているとのことだ。

この業務日誌は、HPの経営陣にとっては、日々の経営を考えるうえで大いに参考になっていると、亀山功専務は、村松社長の話を補足して、次のように説明する。

「私は、午前中いっぱいかけて部下の業務日誌を見ています。日誌に書かれていることが、全て核心をついているとはいいませんが、問題を発見し、『奥にある問題は何か』を考えるキッカケには間違いなくなっています。その日の午後にやる仕事は予定を入れておくこともありますが、それ以外は日誌を見て決めているといってもいいほどです」

最初の頃は、インターネットがなく、個々にファックスで業務日誌が送られてきて、紙の量が膨大になって苦慮していたようだが、いまはメールのお蔭で随分効率が良くなったとも聞く。HPの業務日誌には学ぶべき点が多々あると思えるがいかがなものか。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2005年7月1日 掲載]

ジャーナル最新のテーマ

今月のテーマ ものづくり PLMソリューションでグローバル時代を勝ち抜く 次世代の開発設計・製造環境の構築をご支援します 続きを読む


今月のアンケート 最終集計結果公開中 2008年8月26日集計 9割が「夏休みアリ」!皆さまの休暇の過ごし方を大公開! 気になる結果は?


お客様の声をお聞かせください

富士通ジャーナルに掲載している記事やコンテンツについてのご意見・ご感想を、ぜひお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム いただいた、お客様の声


お寄せいただいたご意見・ご感想については、富士通からの回答をお約束するものではありません。ご了承ください。
なお、富士通からのご回答を必要とするお問い合わせについては、
富士通ジャーナルに関するお問い合わせをご利用ください。