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中小・中堅企業にこそ競争優位性はある
イトーヨーカ堂の業績不振を見て考えたこと
中小・中堅企業は大企業に勝てる―これは20年来の筆者の持論だが、最近ますますその思いが強くなってきた。それは、ここ10年余りのイトーヨーカ堂の業績推移をみていてのことだ。イトーヨーカ堂グループのセブンイレブンの業績は最高利益を更新しているとは言うものの、量販店・イトーヨーカ堂の業績は本当に芳しくない。なぜ、筆者は中小・中堅企業が有利だと考えているのか―。
2005年2月期の業績を下方修正したイトーヨーカ堂、年商1兆5千億円に対して、営業利益は70億円と悲惨そのものだ。
本連載で何回か沖縄の総合スーパーサンエーを紹介したことがあるが、同社の業績と比較すれば、その悲惨さが良く理解できる。サンエーの2005年2月期の業績は、年商1142億円で経常利益72億円だ。まだ最終的な数字は出ていないが、大きく差が出ることはないはずだ。ヨーカ堂本体はサンエーに10倍する売上を持ちながら経常利益は10分の一に満たない。
ヨーカ堂(単独決算)の業績がもっともよかったのは2003年2月期だった。営業利益は800億円を優に超えていたと記憶している。その後、同社の売り場面積は5割以上増えていると聞く。それなのに、利益は10分の一以下にまで減少してしまっている。
この現実をどう理解すればいいのだろうか。
ひとつの理由として挙げておきたいのが、組織が大きければ大きいほど大きな成果が手に出来るわけではないということだ。
それは、サンエーとヨーカ堂の比較ばかりでなく、衣料品小売大手の「しまむら」(2005年2月期決算予想年商3282億円、経常利益234億円)を見ていてもわかる。
「しまむら」の場合、品揃えの充実を図るべく、一店舗当たりの売り場面積を徐々に増やしてきたが、その過程で分かったことがあるという。それは、1300平方メートルの店と1000平方メートルの店の売上がほとんどかわらないということだった。
たまたま、小売業を例にしたが、業績、とりわけ利益は、組織の大小にリンクしないということは、ほとんどの業種業態に共通していると筆者は考えている。売上は別にして、一人当たりの利益といった指標では、中小企業に有利な時代になっていると指摘しておきたい。
とはいうものの、すべての中小・中堅企業が中身で大企業に勝てるわけではない。勝つために先ず成すべきは、同業大手と同質の競争に陥らないことだ。
沖縄ローカルのサンエーの場合は、かつては元気の良かったころのダイエー、ここ10年はイオングループと厳しい競争を強いられている。決して恵まれた環境にあったわけではない。それでいて勝ち残れたのは、ダイエー、イオンと同質の競争をしなかったからだ。ダイエー、イオンは、大手ナショナルチェーンとしての強みを前面に出してくる。対するサンエーは、沖縄ローカルの強みを前面に出して競合に打ち勝ってきたのだ。
中小・中堅企業には、地域に密着した強みや特定のテリトリー、特定の事業に特化した強み、さらには、スピーディーに意思決定できる強みがあるはずだ。
逆に大企業は、マスマーケットを対象としたビジネスには強いが、ニッチな事業や意思決定のスピードに弱点がある。
と考えれば、おのずと中小・中堅企業が勝ち残るための方策は見えてくると思えるのだが、いかがなものか。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2005年6月9日 掲載]
- 第99回 「表の非合理化、裏の効率化」で躍進する「たねや」の経営
- 第100回 中小・中堅企業にこそ競争優位性はある
- 第101回 ファッション業界の風雲児アッシュ・ペー・フランスの業務日誌重視の経営
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