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組織で機能させる経営
「たこのぶつぎり」的組織にならないために成すべきこと
前回は、「人を活かす経営」について書いた。それでは、「人を活かす」ことができれば、企業は大きな成果を手にすることができるのだろうか。残念ながら、人の集合体の企業では、それだけでは十分とはいえない。今回は、「組織として機能する経営」について書く。 企業は、「人の集合体」だ。個々人が、自分の仕事に喜びを感じて活かされても、ばらばらに動いていたのでは、組織として大きな成果を手にすることはできない。
企業成長の過程では、個々人の能力への依存度が大きい。手慣れた人が手慣れた仕事をこなすことが、そのときどきでの効率だけを考えれば一番なのだが、それでは、その人がいなくなったらどうなるのか。効率良く仕事がこなせなくなってしまう。そこで考えないといけないのが、「組織として機能させる」ということだ。
コンピュータ付き編み機で60%を超える世界シェアを持つ島精機製作所(和歌山県、2004年3月期年商464億円、経常利益103億円)の島正博社長は、「日本は、あらゆることが、居酒屋で酒のつまみに出てくる『たこのぶつ切り』のようになっているから駄目なのです」と指摘された。
大きくは、人と人との関係が、「たこぶつ」のように分断されている、というのだが、これは企業経営でも同じことだ。製造と販売の間が分断されている、ひとつの会社で組織間が分断されている、チーム(組織)でもマンパワーが分断されている―――これでは、企業として大きな成果を手にすることはできないのだ。
逆にいえば、人を活かすばかりでなく、「たこぶつ」になっていない企業が勝ち残ることができるのだ。
ただし、「組織を活かす経営」といっても、難しく考える必要はない。同じ組織の人間が、当り前のように、それぞれをサポートしあえるような風土を作り上げていけばいいのだ。
企業の中で、全ての部門が同じタイミングで多忙になるということはあまりない。例えば、経理部門は、月末と月初に仕事が集中し、この時期に残業が発生するが、月半ばは仕事に余裕があるとする。とするなら、月末と月初が暇な部門の人間がその時期には経理の助っ人に入り、経理の人間は月半ばに忙しい部門の助っ人に入ればいいのだ。
そんなにうまくはいかないといわれるかも知れないが、意外とこうしたことができていなくて、非効率に陥っている企業が多いものなのだ。
そこで是非お考え頂きたいのが、「企業内、部門内でのコミュニケーションを密にする」ことと、「多能な人材の育成」だ。とりわけ、中小企業では、「多能な人材の育成」が重要になってくると、筆者は考えている。
いまをときめくトヨタ生産システムの原点は、多能工の育成にあったと聞く。旋盤工を溶接の仕事も、板金の仕事もできるように育成する―――これが経営のすべてのムダをはぶくトヨタ生産システムの原点にあるというのだ。
多能工の育成は、製造業だけに求められるものではない。それは、小売業もサービス業も同じことだ。
多能工の延長線上にあるのが、「セル生産方式」だが、この方式が人のモチベーションを高めるとも聞く。
「人を活かし、組織を活かす」ために、「多能な人材を育成する」――これが元気印企業への道だ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2005年4月1日 掲載]
- 第97回 人を活かす経営
- 第98回 組織で機能させる経営
- 第99回 「表の非合理化、裏の効率化」で躍進する「たねや」の経営
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