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「接客力の強化」が元気印小売業への道
~イトーヨーカ堂はなぜ「接客の復権」をいうのか~
いま小売業界で、「接客」のありようを見なおそうとの機運が出てきている。
イトーヨーカ堂グループの代表鈴木敏文さんは、「接客力の復権」をいい、家電量販店トップのヤマダ電器は、「接客日本一プロジェクト」を、昨年スタートさせた。なぜ接客力が見なおされつつあるのか。
接客力見なおしの背景にあるのは、皮肉なことだが、接客に対してのクレームの多さだ。
セブン・イレブンに対する苦情を分析すると、一番多いのは挨拶についてで30%強を占め、二番目が従業員同士のおしゃべりで10%だという。なんと、クレームの40%が接客がらみのものなのだ。品揃えの豊富さと価格の安さを前面に出すことで、家電量販店のトップにたったヤマダ電器もほぼ同様で、クレームの35%は接客がらみだと聞く。両社に共通するのは、売上の増加につれて、接客がらみのクレームも増えてきたということのようだ。
接客がらみのクレームの多さゆえに、「接客の復権」に取組まざるを得なくなっているといっていいかもしれない。
セルフサービスが売りのスーパーといえども、「売場に人をおいて、人件費をかけた方が売上は伸び、利益もとれる時代」だと、鈴木敏文さんは、指摘し、「接客経費は先行投資」とまでいう。この鈴木さんの考えの正しさを証明してみせているのが、首都圏で人気の高いスーパー、「オオゼキ」と「成城石井」だ。
「オオゼキ」は年間売上高492億円で経常利益40億円。「成城石井」は、年間売上高296億円で経常利益14億円。両社ともにスーパーとしては群を抜いた好収益企業といっていい。オオゼキは大衆、成城石井は、どちらかというと高級イメージといった具合に、ターゲットは違うが、大きな共通点がひとつある。それは、「接客力の強さ」だ。
両社ともに、店員と顧客との間での会話が目立つ。顧客は遠慮なく店員に声を掛けるし、店員は、気持ち良くその声に応えている。
筆者は、オオゼキで次のような光景に遭遇したことがある
「このほうれん草、二束はいらないの。一束半にしてくれない」
「はい、わかりました。少しお待ち下さい」
たまたまあるスーパーの社員と一緒だったのだが、本当に驚いていた。この社員の会社も、好業績で知られるところだが、まず、お客さんからそうした声は出てこないという。スーパーでは、そこまで頼めないとの思いが、お客さんの側にはあるのだ。ところが、オオゼキでは当り前のように、そうしたやりとりが行われているのだ。たまたまオオゼキを例に出したが、成城石井にも同様の姿がある。
オオゼキは、鮮度と安さが、成城石井はカテゴリー毎の豊富な品揃えが、顧客の支持をえているのだが、それだけでは、好業績を手にすることはできない。接客の素晴らしさが、この好業績の支えになっているのだ。
ここでご理解いただきたいのは、オオゼキ、成城石井ともに、マニュアル型の接客ではないということだ。両社に共通するのは、顧客と十分コミュニケーションがとれているということだ。小売業の世界には、5大接客用語、7大接客用語といったものがあるが、これだけでは、顧客とコミュニケーションはとれない。
オオゼキの場合は、お客さんそれぞれに合わせた挨拶をキッチリしなさいと教えているし、売り場にない商品も、要望があれば必ず取り寄せるようにしていると聞く。小売業では、ローコストでオペレーションすることが何より重要になってくるのだが、売り場に出す人員を削減してのローコストでは意味がないと考えたい。いま一度、接客の重要性に目を向けていただきたいものだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2004年 掲載]
- 第94回 製造業の知恵を小売業に、小売業の知恵を製造業に
- 第95回 「接客力の強化」が元気印小売業への道
- 第96回 インターネットが生み出した調査事業のニュービジネス
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