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価格政策の見直しが元気印企業への道
~品質、サービスの質を落とさずに価格訴求を~
景気が回復基調にあるとはいうものの、消費者の価格に対する目は厳しくなるばかりだ。企業は、価値を訴求する一方で価格訴求にも挑戦せざるを得なくなってくる。価格政策の見直しをキーワードに、デフレ経済下での勝ち残り策を提言する。
1998年度の日本ニュービジネス大賞最優秀賞を受賞したQBネット(店舗名はQBハウス)の人気が高い。1996 年11月に一号店をオープンさせたのだが、現在250店舗を擁するまでに成長し、シンガポールにまで進出している。工事が急ピッチで進んでいる羽田空港の第二ターミナルビルへの出店も決まっていると聞く。
ヘアーカットサロンを展開するQBが、なぜニュービジネスの最高峰として認められたのか。一番の理由は、10分1000円のヘアーカットにサービスを特化したことだが、この価格設定には、デフレ経済を勝ち抜くためのヒントが隠されているのだ。
多くの人は、QBは価格破壊をしたことで消費者の支持を得たと思われるだろう。たしかに、消費者サイドからみれば、安さが魅力なのだが、QB は価格破壊型のビジネスではない。10分1000円ということは、60分6000円。時間当たりの単価では、通常の理・美容室よりも高いのだ。
デフレが進行してくると、価格訴求が求められるようになってくる。しかし、利益を落として安く売ったのでは、企業は立ち行かなくなってくる。また、サービスや商品の質を落としての安売りでは顧客に見向きもされない。そこで大事になってくるのが、価格政策の見直しということだ。30分いくらの駐車場も、価格政策を見直すことで成功したといえる。
例えば、200g200円のサラダのパックがあるとする。筆者が昼食の弁当を買った時に、少し物足りないのでサイドメニューとしてサラダを買おうと思う。しかし、サイドメニューに200円は払いたくないし、200gでは量が多すぎて残してしまうと考えて、買うことを躊躇したとする。
このケースで、価格政策を見直すとどうなるのか。量は、ひとりで食べ切れる90gにしたとすると、価格は90円である必要はない。消費者は、100円でも、リーズナブルと考えれば購入してくれるのだ。
最近、イトーヨーカ堂グループのトップの鈴木敏文さんが同様の指摘をされていた。2個の商品がひとつの袋に入っていて100円の価格がつけられた商品があった。同グループでは、これを1個単位の包装に変え、60円の価格をつけて販売したという。鈴木さんによれば、最初は小分けにした商品を少数売り場に置いたところ、売れ残った商品を分割して売っていると受け止められたのか、あまり売れなかった。ところが、売り場に大量に置いたところ、今度は飛ぶように売れたというのだ。
鈴木敏文さんは「ユニット当たりの単価を安くすればいいというのは過去の経済学だ」と指摘されているが、この考えが価格政策を見直す上では大事になってくるのだ。
東京のロイヤルホテル汐留には、会員に限ってではあるが、5時間8000円というルームチャージの設定があって、これの利用客が多いと聞く。同地域には、日本テレビ、電通、富士通等々があり、深夜まで仕事をしているビジネスマンが多くいる。終電後、タクシーで郊外の家に帰って、翌朝ラッシュにもまれて出勤していたのでは身体がもたない。そうした人たちにとって、5時間ではあるが8000円で泊まれれば、利用価値もあるというものだ。これも価格政策の見直しのいい例だろう。
価格政策の見直しでは、これまでの例のように、利用時間、販売量を、より小さな量に分割し、単位当たりの価格を若干高めに設定するというやり方があるのだが、いまひとつの方法も紹介しておこう。それは、利用する曜日、時間帯によって価格設定を変えるというものだ。東京の帝国ホテルでは、1週間単位で、それもウィークデイとウィークエンドに分けての価格設定がされていると聞くが、これも価格政策の見直しのひとつなのだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2004年8月1日 掲載]
- 第90回 私の見た藤田田さん
- 第91回 価格政策の見直しが元気印企業への道
- 第92回 ユニクロの復活劇に思う
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