Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

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「提案力の強さ」が元気企業をつくる

~トレーでナンバーワン、エフピコの経営に学ぶ~

最近痛切に感じていることがある。それは提案力の強い会社が勝ち残るということだ。筆者にそんな思いを持つきっかけになったのが、広島県福山市に本社を構える「エフピコ」だ。同社は、簡易食器のトレーで50%を超えるシェアを持っているのだが、この分野では後発だった。それがなぜナンバーワンになれたのか。小松安弘社長の言葉を紹介しながら、その秘密に迫りたい。

エフピコの創業は1962年。創業当時は、ポリエステルで折箱の代用品をつくり、その後は、仕出し弁当用の容器、皿へと用途を広げていったのだが、エフピコの歩みは遅々としたものだった。関東や関西にある同業社は、当時台頭してきたスーパーマーケットに販路を開いていく。しかし、福山周辺にはスーパーの進出も遅く、エフピコはスーパー向けの販路開拓で出遅れてしまったのだ。

小松社長は、「我々は五番手ぐらいでしたね」と振り返るが、それがいまでは、群を抜いて一番になった。なぜなのか。

「当社が同業他社と違うのは、顧客先への訪問頻度の多さです。後発ですから、末端のお客様(スーパー)に直接お目にかかって説得しないといけません。必然的に訪問頻度が増えるわけです。訪問するたびに売場を見るから、見る目もできるし、変化の状況もよくわかります。当然、お叱りを受けることもありますが、相談すれば教えても頂けます。必然的に営業マンのレベルはあがっていきます」

営業マンは、素晴らしい売場を見れば、これをデジカメで撮影して、情報部に送る。情報部は、これまた自分の目で確かめて、すべての営業マンにこの情報を共有させる。こうしてデジタルでデータ化された情報を持って、エフピコの営業は、顧客に提案をし続けていくのだ。

営業マンが得た情報が、商品開発にむすびついていることはいうまでもない。

小松社長は、「情報収集能力と商品開発力が強さの源泉」というが、すべては、営業マンの訪問頻度の多さがもたらすものなのだ。

いま、量販店の売場では、一週間単位で売り方、売る商品が変わるといっていいほどに変化が激しい。当然のように、トレーでも変化が求められるのだが、スピーディーにそうした要求に応えることで、エフピコは量販店の支持を得てきたのだ。

「当社の大手ユーザーでもありますイトーヨーカ堂の鈴木敏文会長は、新しい提案を続けていかなければ、値段は通らないとおっしゃいます。自分たちの値段を通そうと思ったら、やり続けるしかないのです。いま業績を伸ばしておられる広島のイズミの山西泰明社長は、『新しいもの以外はいらない。新しい提案がなければお宅のシェアはゼロになるかもしれません』とまでおっしゃいます」(小松社長)

当然のように同業他社も、エフピコを真似て「提案営業」をすすめる。しかし、それらの企業は、問屋任せ、人任せが多く、そのスピード、情報量の多さ、提案力で、エフピコは圧倒している。

エフピコが提案するのは、トレーの新商品情報だけではない。惣菜や弁当、サラダ等々の売れ筋情報から、心理学的視点から分析した「売れる売場づくり」まで、ユーザーの立場に立った多彩な提案が、頻繁になされているのだ。

例えば、春の行楽シーズンの3ヶ月も前から、昨年の売れ筋情報の提供、さらには今年はこういう弁当をつくったらどうかといった提案が数度に渡って行われる。お盆、秋の行楽等々のときも同様だ。こうした地道な活動の積み重ねが、エフピコのシェアをアップさせてきたとご理解頂きたい。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2004年5月7日 掲載]

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