Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

組織を元気にするための処方箋

~元気はトップに求められる最低限の資質~

中堅企業の経営者に、いまの悩みはなんですかと聞くと、必ずといっていいほどに返ってくるのが、「中堅社員に元気がない」との答えだ。一方、そうした企業の中堅社員に聞くと、「部下社員に元気がない、やる気がないので困る」との答えが返ってくる。つまりは、組織ぐるみでの元気のなさが、大きな問題になっているということだ。それでは、どうすればやる気は出てくるのだろうか。

筆者が、企業を取材していて痛切に感じるのは、トップ自らに元気がない企業は、組織ぐるみで元気がないということだ。これは当たり前といえば当り前のことで、トップに元気がなくて部下社員に元気が出て来るわけがないではないか。元気というのは、リーダーに求められる最低限の資質だと思う。それだけに、組織を元気にしたいと考えるのなら、「トップ自らが元気な姿勢を見せる」ことだ。「勇将の下に弱卒なし」と、まずはお考え頂きたい。

ダイエーグループの福岡三点セット(ホテル、球場、球団)を黒字化させた高塚猛社長に、「日本のビジネスマンは、持てる能力が10あるとすれば、どれぐらい発揮しているのでしょうか。半分ぐらいは発揮していますかね」と聞いたことがある。そのときの答えは次のようなものだった。

「いや、半分も出していないでしょう。2か3ではないでしょうか」

ただし、高塚社長は、能力を発揮しきっていない社員を否定しない。たしかに、問題のある社員もいるが、それ以上に問題なのは、部下社員のやる気を削いでいる上司の存在なのだと高塚社長は指摘する。1999年春、請われて福岡三点セットの「再建」に乗り出した高塚社長は、社員の前では「再建」という言葉を使わなかった。

「再建という言葉には、過去を否定するという響きがあります。赤字は社員だけの責任ではありません。それに、過去を否定されたのでは、やる気が出て来るわけがありません。私は社員に、『過去赤字であったことの問題は問わない。しかし、赤字であることを知りながら改善しようとしないのは問題だ。これから、軌道修正をして、利益の出る会社にするためにどうすればいいのかを考えて頑張って欲しい』と話をしました」

高塚社長の話の中にも、組織を元気にするためのヒントがある。高塚社長は、「社員の過去やってきたことを否定しない」で、やる気を引き出したのだ。高塚社長は、持たざる能力を発揮しろと叱咤したわけではない。やる気がなくて潜在している能力を、やる気を引き出すことで顕在化させて、組織を活性化させたのだ。

沖縄県のスーパー「サンエー」は、年商1011億円で経常利益61億円をあげる優良企業だが、同社の今中泰洋取締役人事部長は、「どんなに社員を元気にするための制度を作っても、信頼関係がベースになければ、効果はでてきません」という。高塚社長は、「やる気を削ぐ上司に問題がある」と指摘する。なぜ、部下社員のやる気が削がれてしまうのか。それは、信頼関係がないままに、厳しい発言をしてしまうからだ。仕事を推進する上で、上司が部下に苦言を呈さないといけないことは往々にしてある。しかし、信頼関係がなければ、その苦言は部下のやる気を削ぎ、信頼関係があれば、その苦言が生きてくると今中部長はいう。組織を元気にするためには、「上司間に信頼関係を築く」ことが不可欠なのだ。

さて、信頼関係を築いた上で、仕事を任せたとしよう。組織を沈滞させる理由のひとつは、その先にもある。それは、任せた後の対応だ。上司は往々にして、「後の責任は俺がとるから思いきってやれ」と、部下を激励する。結果、思わしい成果が上がらなかったとする。そのときに、どう対応するかだが、失敗をとがめるばかりでは、部下のやる気は削がれるばかりだ。

会社のためを思ってチャレンジした結果、失敗してしまう。このとき、一番責任を感じているのは当事者であり、会社に迷惑をかけて申し訳ないとの思いを人一倍もっている。そんな状態の中で、追い討ちをかけて責任を追求したのでは、本人のやる気を削ぐばかりではなく、それを見ている周りの社員のやる気まで削いでしまうのだ。組織を元気にするためには、「失敗に寛容であり、敗者復活を認める社風」作りが求められると考えたい。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2003年12月25日 掲載]

ジャーナル最新のテーマ

今月のテーマ ユビキタス ビジネス現場を革新するユビキタスソリューション 最適な端末/ネットワーク/サービスをご提供 続きを読む


今月のアンケート 集計結果は9月9日から毎週公開 Q:ノートパソコンや携帯電話などモバイル端末を業務で使っていますか? 回答する


お客様の声をお聞かせください

富士通ジャーナルに掲載している記事やコンテンツについてのご意見・ご感想を、ぜひお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム いただいた、お客様の声


お寄せいただいたご意見・ご感想については、富士通からの回答をお約束するものではありません。ご了承ください。
なお、富士通からのご回答を必要とするお問い合わせについては、
富士通ジャーナルに関するお問い合わせをご利用ください。