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高成長を続ける「成城石井」の経営に学ぶ
~「カテゴリーマネジメント」が元気印企業への道~
スーパーマーケットを展開する「成城石井」が高成長を続けている。2002年2月期のグループ連結売上は284億円で、申告所得は18億円を超えている。何より素晴らしいのは、坪効率(一坪当りの売上)の高さだ。「食品に限ってはバブル」だという同社の経営は実に興味深い。
作家であり経営評論家でもある江坂彰さんに、「日本的経営、アメリカ的経営というのは存在するのでしょうか」と聞いたことがあるのだが、そのときの答えは以下のようなものだった。
「そんなものはない。あるとすれば、IBM的経営であり、トヨタ的経営、ソニー的経営というものだろう。
まさに同感だ。なぜなら、20数年にわたって、企業を取材してきた筆者が持ち得た答えも、まったく同じだからだ。
成功するためのコツは、と聞かれれば、「経営の世界では成功にいたる道は無数にあるのだから、自分の会社ならではのやり方を見つけることです」と、答えることにしている。極論にすぎるかもしれないが、企業経営では、自社にとって最適のシステムを構築したところだけが勝ち残れるのだ。
本連載では、そうした考えのもと、「自社最適システムを構築」することで、元気印になり得た企業をいくつか紹介してきたが、スーパーマーケットで高成長を続ける「成城石井」も同じタイプといえる。
成城石井のある課長は、「デフレ、デフレといわれていますが、食品は違いますね。食品に限っては、いままさにバブルですよ。まあー、食べ物ぐらいしか贅沢ができないのかも知れませんが―――」というのだから、驚かされる。最近、同社の店舗を何回か訪れたが、商品の価格そのものは決して安くはない。イチゴを例にとれば、量販店の価格よりは二割程度は高いように思える。それでもお客さんは成城石井を支持している。
昨年は、既存店ベースで対前年比102%を売上げたというが、前年比割れが恒常化している流通業界にあって、この数字は見事というほかはない。なぜ、不況の中で、成城石井は高成長を続けることができるのか。それはひとえに、大手量販店とは、異なる道を歩んできた結果といえる。
最近の流通業は、低価格訴求、売れ筋商品への絞込みが主流となっているが、成城石井の目指す方向は違う。同社の場合は、「品質と品揃えの良さ、商品群の厚味」で、グルメ指向の顧客の支持を得ているという。成城石井の特徴は、よその店では手に入らないような食品を、世界中から自社で輸入しているところにある。例えば、ワイン2000種、ウイスキー、ハードリカー1000種、ジャム・紅茶・コーヒー・菓子類360種が品揃えされているのだ。
先の課長は、「カテゴリーマネジメントの成果です」というが、カテゴリー毎に、成城石井ならではの豊富な品揃えができていることが、同社の何よりの強みになっていると思える。同社の店舗では、お客さんが店員に声をかける姿を頻繁に見かける。「店頭でのコンサルティングセールス」という言葉を、課長は使ったが、これはそういうサービスが必要なほどに、同社の商品は個性的でアイテム数が豊富だということだ。
基本的には、セルフサービスのスタイルをとっているが、レジはふたりで対応し、袋詰は店員がやってくれる。当然、ほかのスーパーマーケットに比べると、人的コストは高いが、それを補うに余りあるほどに、同社のビジネスは、坪効率(一坪当りの売上)が高いのだ。成城駅前にある本店の場合、110坪の売場で日商1180万円だという。コンビニの雄、セブンイレブンは、平均30坪の売場で平均日販は66万円強だというのだから、成城石井の坪効率の高さは群を抜いている。
本連載の62回で紹介した「オオゼキ」といい、「成城石井」といい、いずれも大手量販店とはまったくといっていいほどに異なった戦略をとることで、勝ち残っている。流通業の世界では、「エブリディ ロープライス」をうたい文句にする「ウォルマート」の日本進出が話題になっているが、「オオゼキ」と「成城石井」の経営に、対抗策が隠されているように思うがいかがなものか。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2003年4月23日 掲載]
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