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いまなお続く「10分1000円のヘアーカット」専門店、QBの好調
~進化するビジネスモデル~
ニュービジネスとして登場し、華々しく脚光を浴びた企業も、数年もすると輝きをなくしてしまうケースが意外と多い。かつてニュービジネス大賞を受賞した企業の何社もが、いまは存在すらしていない。それほど、ニュービジネスとして登場した企業が生残るのは難しいことなのだ。今回は、ニュービジネス大賞受賞後、一層輝きを増した、稀有な企業、QBネット(店名はQBハウス、以下QBと表記)を紹介する。
「10分1000円のヘアーカット」だけに特化したQBの1号店が出来たのは1996年11月だった。1998年度にはニュービジネス大賞を受賞し、一躍脚光をあびたものだが、当時の店舗数は50にも満たなかった。それがいまでは、160を超えるまでになり、昨年、四月には10分10シンガポールドル(約720円)でシンガポールにも進出。すでに4店舗を展開し、業績も日本同様に好調だという。特筆すべきは、首都圏での展開で、京王電鉄をはぶく全私鉄、JR東日本の駅構内への出店が加速するばかりなのだ。
なぜ、QBは、これほどまでに好調を持続できるのだろうか。その答えは、創業者で、現在会長を務める小西国義さんの次の言葉の中にある。
「毎日が不平不満撲滅運動ですよ。お客様が、いまのQBの店に99%イエスとおっしゃっても、1%のノーを大事に考えて、不満をなくすことに力を注いでいます」
QBのビジネスモデルは、ニュービジネス大賞を受賞するほど高く評価されたのだが、小西会長は、それに満足することはなかったのだ。例えば、クシは七回、調度品は六回、これまでにリニューアルしていると聞く。店舗管理用のIT(情報技術)システムも、創業時とは比較にならないぐらいに進化している。創業時のQBでは、スタッフが1日に何人ヘアーカットしたかは、センサーでチェックしていた。スタッフ毎に椅子が決められていて、その椅子で何人ヘアーカットしたかをセンサーで記録していたのだ。ところが、このシステムだと、午前中にA店にいたスタッフが、午後はB店に応援にいくといったときには、その都度手書きで記録せざるを得なかった。それがいまでは、スタッフがそれぞれIDカードを持ち、これをカードリーダーで読みとって、記録するシステムになっている。
「新しいシステムでは、誰がどの店で何時から何時まで仕事をしたのか、昼休みは何分休んだのかまで、コンピュータに記録されます。それと、いまは、お客様の性別、年代、リピータかどうか、来られた時間帯等々もテンキーで入力できるようになっています。新しいシステム開発に数億円かかりましたが、これで1000店舗までは対応できますから、一店舗当りにすれば何百万円にもなりませんからね」(小西会長)
10分1000円のヘアーカットに特化するという、基本コンセプトだけは変わることがないが、それ以外の経営のありようは、創業時から進化するばかりだ。
店舗開発についても、小西会長の考えは変わってきている。従来は、数脚の椅子を持つ店舗が標準形だったが、最近では、三脚から四脚で3坪から五坪程度の小さな店舗をいくつも出す戦略に切り替えてきている。その理由を小西会長は、次のように説明する。
「大型店をつくって、ここに来てくれ、というのは、本当のサービス業ではありません。QBがこれから目指すのは、限りなくお客様に近づいての店づくりです。例えば、デパートの各フロアーにあってもいいのではないかとまで考えています。QBは、便利さを売って、細かく儲けるビジネスを展開したいのです」
この考えは、ますます進化するばかりで、すでに、1脚での10分1000円のヘアーカット店舗を展開する準備がすすんでいる。この店舗は、カプセルの中に、ヘアーカットに必要な全ての調度品が組みこまれていて、一坪程度のスペースがあれば、内装工事不用ですぐに開業できるようになっている。
いかに高く評価されたビジネスモデルでも、同じことを続けていると飽きられてしまう。飽きられないために、経営上のあらゆる分野で絶えざるチャレンジを行う――これがQBがいまなお好調さを持続できる理由なのだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2003年4月9日 掲載]
- 第73回 なぜ「ハウステンボス」は経営破綻したのか
- 第74回 いまなお続く「10分1000円のヘアーカット」専門店、QBの好調
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