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なぜ「ハウステンボス」は経営破綻したのか

~過剰投資の怖さ~

一時は、年間400万人を超える入場者を集めていた「ハウステンボス」が経営破綻してしまった。筆者は、数年前から、「ハウステンボスが心配だ」と、機会ある毎に話してきたが、今回は、その理由を改めて書いてみたい。
自慢話のようで恐縮だが、まず次の文章を読んでいただきたい。

「筆者がアスキーと同じ道を歩むのではないかと心配するのが、長崎のハウステンボスだ。こんなことを書くと、ハウステンボスはいま注目のテーマパークでにぎわいを見せているではないか、何をばかなことをといわれるかもしれない。たしかに、長崎県のあの恵まれているとはいいがたい場所に、年間400万人以上の人を集めているのだから、その点については素晴らしいといわざるを得ないし、筆者も高く評価したいと思う。しかし、経営という視点でみると、芳しい状況とはいいがたい。

赤字でどうしようもない不動産部門を切り離したうえで、創業以来120億円、239億円、204億円、135億円とかなりの赤字を出しているのだ。何も赤字が悪いとはいわない。しかし、許容できる赤字と許容できない赤字がある。ハウステンボスの場合、経営面ではかなり厳しい状況にあると筆者は考えている」

これは、筆者が1996年11月に上梓した「自分で仕事を創りなさい」の一文だ。杞憂で終わることを願っていたが、現実の姿になってしまった。なぜ6年も前にこんなことを書いたのか。その理由を今回は紹介したいと思う。

ハウステンボスの初代社長の神近義邦さんが、長崎オランダ村をオープンさせたのは、東京ディズニーランドと同じ1983年だった。オープン時は、入場券を買ったお客さんが、たまたま近くに立っていた神近社長に、「どこに行ったらオランダ村はあるのですか」と聞いたという逸話が残っているぐらい、当初はなにもなかったのだ。それが年々新しい設備を追加しながら入場者数を増やしていき、ディズニーランドに並ぶ評価を得るまでになったのだ。

筆者は、ここまでの神近社長は高く評価しているのだが、その後に問題があるのだ。オランダ村の成功を見て、マスコミは神近社長を頻繁に取り上げるようになる。当然、自信も出てくるだろう。今度は経営者としてより大きな夢を見るようになる。幸いなことに、その経営手腕を評価する企業がパートナーとして新しい事業への協力を申し出てくれるようになり、お金も集まる。結果、3500億円もの投資をして、ハウステンボスの登場となったのだ。

お金をかければ素晴らしい施設はいくらでもできる。しかし、問題はビジネスとして成り立つかどうかだ。ハウステンボスの場合には、途中バブルがはじけたという不運もあるが、あまりにも過剰な投資だったのだ。

たまさかハウステンボスを例にあげたが、この倒産劇は、日本のベンチャービジネスが、一時的な成功を手にしながら、あえなく破綻するケースとまったく同じで、最初は、自分の「分」にあった経営で頑張るのだが、うまくいき出すと、背伸びをしすぎてしまい、結果破綻してしまうのだ。

旧オランダ村時代の神近社長は、「分相応の経営」を実践しながら、自らの「分」を大きくし、その大きくなった「分」だけ設備を増強して、無理のない成長を成し遂げたのだ。ところが、ハウステンボスでは、「分」を大きく超えた投資をしてしまい、それが最後まで響いたといわざるを得ない。

筆者の持論のひとつに、「小さく生んで質良く育てる」というのがある。まさに、オランダ村は、「小さく生んで質良く育てる」ことで、ディズニーランド並みの評価を得たのだが、神近社長は、ハウステンボスでは、「大きく生んで大きく育てよう」として挫折してしまったのだ。

日本では、一度失敗した経営者が蘇えることは難しいといわれるが、神近社長には、今一度経営者として復活していただきたいと心から願っている。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2003年3月20日 掲載]

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