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逆境からのスタートを克服して元気印企業に、九州日観植物に学ぶ -その2

~発想の転換で、日本ロジスティクス大賞技能賞に輝く~

九州日観の仕事は花の卸売り市場だ。品物を受け入れ、セリにかけて手数料をもらうというシンプルなもので、差別化の難しいビジネスのように思える。ところが、そんな業界で同社は同業他社の倍近い経営効率を誇っている。お客様までを巻き込んでのローコストオペレーションは、他の業界にも多いに参考なると確信して、紹介する。

鉢物の卸売市場として、広島以西で一番の取扱い量を誇る九州日観植物は、業界の中では群を抜いて経営効率が高い。業界では、一般的に従業員一人当りの年間取扱い金額は、Aクラスで1億円から1億2千万円だといわれているのだが、同社の場合は約2億円だと聞く。

前回書いたように、卸売り市場の収入源は、10%の取扱い手数料だ。それだけに、人手をかけないでローコストでオペレーションして、一人当りの取扱い金額を大きくすることが大切になってくる。九州日観の同業の倍近い数字は、同社のローコストオペレーションは見事に機能していることを意味している。なぜ、九州日観は、これほどまでに経営効率が高いのか。西川社長は次のように説明する。

「とにかく人手を使わない。全部機械化することが基本的な考えです。しかし、全部の機械化というのは、コストがかかって、採算面で問題があり、自ずと限界があります。ある程度やれるところまでを機械化したうえで、あとは、お客様にお手伝いいただくようなシステムを考えました」

このお客様にお手伝いしていただきます、というのが、西川さんならではの発想だろう。その具体的な例を西川さんは説明する。

「生産者なり、運送会社の人がトラックで品物を出荷してくるわけです。従来の市場では、品物を受けつけるのに『荷受け』という言葉を使うんです。それを私のところは、出荷する人の立場を考えた『出荷口』と名前を変えたのです。『荷受け』というと、私のほうで責任をもってやらないといけない雰囲気ですが、『出荷口』にすると、出荷する人の仕事という風に心理が変わるみたいなのです。当然でていくところも逆にしてあります」

『荷受け』のときには、九州日観の社員が4~5人で、受付をしてコンピュータで入荷登録をしていた。ところが、『出荷口』になってからは、品物を持ってきた人が、作業をしてくれるようになったのだ。

「最初は、50%ぐらいお客様にやっていただいて、あとはうちで手伝ってもいいなと思っていたのですが、初年度から70%、いまでは99%が自分でやってくださるようになりました。これまでは、『早くやってくれよ。いつまで待たせるんだ』と随分お叱りも受けたのですが、いまでは、『すいません、ちょっと分からないので教えてくれませんか』と立場が逆転しました」と、西川社長もその効果には驚いたという。

九州日観のローコストオペレーションぶりをいま少し説明しておこう。

『出荷口』ではバーコードが発行され、それが品物を入れたケースに貼られて、ローラーに出荷人の手で乗せられる。たとえば同じ品物が10ケースあるとすれば、1ケースが見本としてセリの場に行き、残りは倉庫内でローラー上で保管される。セリの風景も少しばかり異質だ。買受け人が競り落すと、セリ場のキーパンチャーが、価格、量等々のデータをコンピュータに入力していく。倉庫内の品物は、このデータに基づいて、ローラー内を自動的に移動して、買受け人毎に定められた出口に出ていき、買受け人はこれを積みこむシステムになっているのだ。

この九州日観の市場内ロジスティクスは、数年前に、日本ロジスティクス大賞の技能賞を受賞するほど、評価が高い。ちなみに、このセリは2003年1月からは、無人化にする予定だとも聞く。

同社では、場内の駐車場は、買受け人毎に指定されており、それぞれが1万円の駐車料金を負担するようにもなっている。これは営業外収益として計上されるが、その他のものも含めてこれが2億円弱あるという。紙面の都合で詳しくは書けないが、九州日観の経営は本当に示唆に富んでいる。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2003年2月28日 掲載]

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