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「失敗に寛容」な企業が業績を伸ばす
~本田宗一郎氏の失敗についての考えに学ぶ~
企業は好むと好まざるとにかかわらず、時代の変化に対応してチャレンジするしかない。しかし、成功する保証はどこにもない。当然のように、失敗するケースが出てくる。問題はその後の対応なのだと、本田氏は指摘する。
不況にありながらも好業績を上げる企業の共通項のひとつは、「失敗」のあとの対応の上手なところだ。本田技研の創業者、本田宗一郎さんは、「失敗は将来の収穫の種といい、その著書「得手に帆をあげて」で次のように書いている。
「大切なことは『失敗を恐れるな』ということ。成功というものは、99%の失敗を土台にしている。その失敗すら、現在あらためて見直せば、成功につながるものもいっぱいある。結局、失敗であろうが、『やってみること』、そこに値打ちがあるのだと思う」
まったく同じ主旨の話を、ベストセラー「仕事ができる人、できない人」の著者、堀場製作所の堀場雅夫会長から聞いたこともある。
「商品開発をやっていると、なかなか結果の出ないことが多い。結果としてどこかで妥協してあきらめてしまう。失敗作に終わったものも、我慢して最後までかじりついてやっていれば、うまくいったのではないかと思えるものもいっぱいある」
本田技研、堀場製作所ともに、商品開発力で定評のある会社だが、両社の創業者が、失敗に対して同じような考えを持っていることは実に興味深い。かつて、アメリカのベンチャービジネスの経営者に、「失敗をしたら――」と聞いたことがあるが、間髪置かずに、「ビジネスで積極的にチャレンジしての失敗は恥ずかしいことではない」との答えが返ってきたことを思い出す。
日本の企業社会では、一度失敗すれば二度と浮かび上がれないような風土があるだけに、アメリカの経営者のような割り切った考えは持ちづらいだろうが、これからは、前向きに取り組んだ上での失敗には寛容でないと、企業は勝ち残れないと思える。
逆にいえば、この不況の中で、好業績をあげる企業には、失敗に寛容な社風があるということだ。事務用ファイル、電子文具で、次々と新商品を市場に投入してくるキングジムの宮本浩三会長に、なぜ、商品開発力が強いのかと聞いたことがあるのだが、その答えは、「失敗に対して寛容だからでしょう。わずかな失敗で芽をつむようなことをすると、その人は次のアイデアを出してきませんからね」というものだった。
最近は日本でも口では、「失敗を恐れずにチャレンジしろ」という経営者が増えてはきている。ところが、その言葉を信じて積極的に新しいことに取り組んで失敗すれば、手のひらを返したように、当の社員を攻め立てる。極端な例では、失敗の責任をとって、降格だ、昇給見送りだとなってしまう。
これでは、宮本さんが言うように、次のアイデアが出てくるわけがない。失敗で芽をつむようなことを経営者がすると、アイデアばかりでなく、社員はやる気も出さなくなると宮本社長は言う。
本田宗一郎さんは、「前向きな取り組みの結果としての失敗は表彰したい」といったと聞くが、こうした思いが、社員のやる気を引き出し、商品開発力につながり、伸びる企業の原動力になると考えたい。
しかし、失敗に寛容なばかりでは、将来の収穫は覚束ない。失敗の後の取り組みが大事なのだ。まず、失敗を恐れずにチャレンジしてみる。結果、失敗してもいいが、なぜ失敗したかを反省し、もう一度失敗を恐れずチャレンジしろ。その結果も失敗が多いだろうが、その後また反省してチャレンジすればいい、と本田さんはいっていた。
本田さんは、反省という言葉をよくつかったようだが、それは、科学的に失敗の原因を分析しろといった意味だ。挑戦――失敗――反省――挑戦――失敗――反省、これの繰り返しが、新しいものを生み出すのだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2003年2月3日 掲載]
- 第69回 自然界の法則を原理原則にするメガネの「三城」の経営
- 第70回 「失敗に寛容」な企業が業績を伸ばす
- 第71回 逆境からのスタートを克服して元気印企業に、九州日観植物に学ぶ --その1
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